昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

米原秀幸『ウダウダやってるヒマはねェ!』その2

『ウダヒマ』は個性豊かで魅力的なキャラ揃い
でしたが、その中でも特に強烈だったのが

天草銀こと「静岡の狂犬」アマギンでした。

初登場時は「ヒャッハー!」という叫び声が似合う
剥き身のナイフのような男で、

亜輝との対決の際、死の恐怖を味わい
白髪になって以降は

鞘に収まった日本刀を思わせる
静かな迫力のあるキャラになりました。

CV:関俊彦さんが素晴らしくハマってるので
OVAはもっと先まで作ってほしかったな……。

アマギンが荒場凪に殺され、
その写真が亜輝のもとへ送りつけられた時は

その死に凹むのと同時に、戦慄しましたね。

他のキャラは言動がアレでも人間味はありましたが
凪の子供時代からのサイコパスっぷりは本気で怖い。

話が進むうちに、二重人格と思われていた
凪が、双子であることが明らかになります。

双子の片割れ・楓(かえで)を死んだことにした
上でマインドコントロールを施し、「凪」を
演じさせていた……。

直巳と亜輝に敗れた楓は用済みとなり
凪に捨てられますが、二人に拾われます。

この後、楓がアマギンを殺した奴と思い込んでる
弐乃が仇を討とうとひそかに近づくシーンで

(アマギンのテーマ曲と言ってもいい)

グリーングラス・オブ・ホーム』を
楓が歌っているのを聞いてからの

「アマギンの知ってる男の中で
一番のお人好しの
弐乃学ゆうもんやっ!」
 

「ホンマごっつ 情けなくなるわ
こない歌ひとつで……くそっ」

殺意がすっかり削がれてこんな
自己紹介をする。

(お人好し……だと……!!?)と内心
ツッコミつつも、弐乃の気持ちにしんみり
する名場面です。

登場時の頭のおかしい具合は相当なものなのに、

亜輝がアマギンの死に自分を見失ってた間
ずっと面倒見てくれてたし、
何とも不思議な男でした。

というかウダヒマはキャラの立て方巧すぎる……!!

蘭岳家のやんちゃ可愛い末弟、四郎が大人になり
記者になってるスピンオフ作品

『報道ギャング ABSURD!』には
他のウダヒマキャラも登場していますよ♪

 

 

米原秀幸『ウダウダやってるヒマはねェ!』その1

『ウダウダやってるヒマはねェ!』(92~)
東京の桜城(おうぎ)高校を舞台に、
赤城直巳と島田亜輝の二人組が
日々ケンカに巻き込まれるお話です。

略称は「ウダヒマ」
95年には初期エピソードがOVA化してます。

当時はヤンキー・族ものマンガが
多かったのですが、そのカテゴリとは
違う気がするのは

ケンカなんかより、女の子にモテたい
願望の方が強いのに、結果的に揉め事に
巻き込まれるから……かな?

あらすじに「東京の」と書いたのは
序盤こそ入学した高校内での話ですが

静岡から狂犬アマギンこと天草銀が
直巳と亜輝の幼なじみ・あけみを追いかけて
上京してきたり、

皆で山梨に宝探しに行ってトラブルに遭遇、
長野の蘭岳(らんだけ)4兄弟を敵に回すことに。

その後アマギンにそそのかされた
弐乃(にだい)が大阪から転入して
念入りの罠で亜輝が殺されかけ、

九条が北海道からケンカしに来たりと

日本全国のイカレ……もとい強者が集うのも

通常、近隣の学校や地区でのケンカが多い
ヤンキーものとは違うところです。

直巳と亜輝に負けた上記の面々が仲間になって以降、
憑きものが落ちたように丸くなるのが微笑ましい。

主従関係だった九条とノボリ・ムカイが
友情と呼べる間柄になったり

弐乃は来夢を命がけで守ってくれて

蘭岳最強の長兄、ゴツくて強面の
宗一さんが「マジカルバナナ♪」を
始めた時は目が点になったものです。

※当時『マジカル頭脳パワー』という
クイズ番組があって、その中の歌う連想
ゲームが元ネタです。

「緑といったら♪」「うんこ♪」って
星さんどういうことなの……!?

あと腕相撲大会話、心から好き!!!

そして仲間になったメンバーが一丸となって
ラスボスに挑む展開になります。

そのきっかけこそ先日、週刊チャンピオンの
50周年企画で再掲載された回、

アマギンが腹違いの兄・荒場凪によって
殺される衝撃の展開です。

当時まだ学生で、夏休み中でしたが
あれは打ちのめされました……。

まだまだ語り足りないので続きます。

 

 

『仮面ライダービルド』万丈龍我

本日3月1日は2号ライダーのクローズこと
万丈龍我役・赤楚衛二さんのお誕生日です
めでたい!!!

というわけでヒロイン愛され筋肉バカ、
プロテインの貴公子こと万丈龍我
(ばんじょう りゅうが)に
ついて語ります。

第一話、殺人の罪で服役中の元格闘家、
万丈龍我が脱獄。

しかし彼は無実で、免罪を晴らそうとしての
ことでした。

彼を信じることにした仮面ライダービルド・
桐生戦兎(きりゅう せんと)は万丈を
かくまい、共に戦うことに。

記憶喪失ながら天才物理学者の頭脳を持つ
ちょっとナルシストな戦兎と
単純熱血バカの万丈は見事なベストマッチで

ボケとツッコミの相性の良さだけでなく
次から次に苦悩する羽目になる戦兎を
真っ直ぐな万丈が励まし、
お互いにいい影響を与え合っていました。

とはいえ
いいこと言ってる間も
チャックが開いている男

というお約束のオチは第一話から。

第二話で戦兎に「何があったのかいきさつを
話せ」と言われて

横浜の産婦人科で3203gで生まれた
ところから始めるバカっぷり。

しかし彼の人生は実にハードモードで
病弱な恋人の治療費が必要になり、
八百長試合を受けたのがバレて出場停止。

金を稼ぐために被験のバイトに行ったら
そこで殺人者として逮捕され、

脱獄後に再会できた恋人は悪の組織に
怪人にされた挙句に死亡……。

全ては万丈を利用するため、ラスボスの
エボルトが仕組んだことでした。

ギャグだと思った誕生話は伏線で、
彼の体には地球外生命体・エボルトの遺伝子が
入っており、母親は二か月で出産していたのです。

それゆえにとんでもない力を秘めているのですが
肉体を敵に乗っ取られると厄介極まりないことに。

万丈は髪の一部に編み込みがあるのが
チャームポイントなんですが、
乗っ取られるとそれが消えます。

(通称エビフライ:BYカズミン)

エビフライなしの万丈は普段より賢そうに見える……。

バカな子ほど可愛いを体現する男・万丈龍我が
主役のVシネマ『仮面ライダークローズ』は
4月24日発売です!!

 

 

 

タイムボカンシリーズ その4

ゼンダマン(79~)は不老長寿の薬
「命のもと」を巡って、世のため人のため
使おうとするゼンダマン

自分たちが独り占めしようとするアクダマンとの
対決を描きます。

タイムトンネルを通過し、過去から未来へと渡る
タイムボカンに近い設定、

ヤッターマンから引き継いだ仮面の変身
ヒーローや、敗けた三悪へのおしおき設定なども
加わり、タイムボカンシリーズのフォーマットが
完成します。

「命のもと」を探す手がかりはゼンダマン2号の
祖父、紋者(もんじゃ)博士。

彼が「コレこそ手がかりでは?」というアイテムを
屋敷から見つけ出すたびに、

向かいに住んで監視しているアクダマン一味が
変装して登場、騙したり脅したりして持ち去ります。

それを追ってゼンダマンがゼンダライオンと
共に出動するのですが

(博士はゼンダマンの正体が孫娘と助手とは
知りません)

1号に手を繋がれてるだけの2号が
いつ見ても危なっかしい……。

ゼンダライオンのテーマを毎回視聴者の子供が
歌ってたり、

山本正之がゼンダライオン役で初の声優参加、

ゼンダマン、アクダマン共に名乗りの際に
「Z」「A」の文字を体で表現したり、

敵側のマスコット猫・ニャラポルタや、
おしおき用の「裁判マシーン」が登場するなど

フォーマットを踏襲しつつ、
新しい試みも沢山ありました。

 

ゼンダライオンのテーマ曲の歌詞に
「胸に輝くプレートは 4×4=16♪」
とありますが

当時まだ幼稚園くらいだったので
聞こえた通り「ししのじゅうろく~」と
歌っていて、

数年後にふと「あ、これって九九だったんだ!」と
分かった時は、ちょっと大人になった気分でした。

それにしても、ピンチに陥るたびに

「愛のムチ」を喰らったゼンダライオンが
「効いたぁ~愛のぉ~っ目覚めっ♪」と
パワーアップするのは、よく考えたら
とんでもないような……?

 ラストは「命のもと」を原液のまま飲んでしまった
アクダマンたちが、若返りすぎて赤ん坊になって
しまうのは衝撃的でしたね。

そしてニャラポルタも、正体は長い時を生きた
化け猫で、命のもとの効果がきれてしまい……。

 やはり悪は栄えないのです。

タイムボカン・シリーズ ゼンダマン オリジナル・サウンドトラック

タイムボカン・シリーズ ゼンダマン オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

 

 

新宿が都会の真ん中だった頃

今でも新宿は都会ですが、やはり
都会の中心という印象があるのは
昭和の頃だった気がします。

ドラマ太陽にほえろ!(72~)も舞台の
七曲署は新宿区設定ですし、

『CAT' EYE』も犬鳴署は新宿区でした。

『CITY HUNTER』は言うまでもなく新宿が舞台。

田舎の小学生だった私には、憧れの大人の街でした。

 

菊池秀行の小説魔界都市新宿』82~)では
新宿が魔震(デビル・クエイク)によって
外界と遮断され、魔物とバイオレンスに
満ちた世界になります。

以降、同作者の魔界都市ブルース』(86~)や
『魔王伝』(86~)と続くと、魔物とバイオレンスに
エロスが加わります。

西新宿の美しき魔人(普段はせんべい屋さん兼
人探し屋)秋せつらの武器はチタン合金の細い糸。

HELLSINGのウォルターのモデルです。

魔界医師Dr.メフィストも大人気で
薄い本も多数作られたものです。

あしべゆうほさん作画の『ダークサイド・ブルース』
(またの名を新宿歌舞伎町……)なんてマンガもありました。

 

鎧伝サムライトルーパー(87~)も
第一話は新宿東口に妖邪が出現します。

遼が白虎の白炎連れて新宿のど真ん中を歩いて
機動隊に囲まれるとか、序盤からカオス。

スタジオアルタの大型ビジョンから妖邪兵が
出てきたり、新宿MY CITYのビルごと
ぶった斬るのもこの時代ならではの演出です。

EDもMY CITY前(アニメだとNY CITY)
でキャッチボールしてましたが
今はもうルミネエストに変わって……。

 

90年代序盤でも大沢在昌原作の小説、新宿を舞台にした
刑事モノ新宿鮫が実写映画になってました。

しかし踊る大捜査線(97~)になると
湾岸署はお台場で、

『SPEED GRAPHER』(05~)で「セレブが集まる
闇の社交場」が六本木倶楽部という名前。

六本木ヒルズが03年に出来たばかり。

(昔なら新宿だったかも……)と当時思ったものです。

今は大都会を象徴する場所ってどこだろう……?

萩尾望都『王妃マルゴ』その2

ノストラダムスの予言は当たり、

マルゴの恋人はギーズ公アンリ
カトリック勢力代表)

マルゴの夫はナヴァル王アンリ
プロテスタント勢力代表)

そして敵は、兄王アンリ3世
となりました。

序盤のまだ子供だった頃から伏線が
仕込まれているのが、読み返すとわかります。

兄アンリは母后に一人だけ溺愛された
狡猾で歪んだ性格というだけでなく

少年時代からその場のテンションに
身を任せるタイプとして描かれています。

パーティでノリノリで仮装して皆を
驚かせるくらいなら可愛いものですが

恋したり、大事な人の死を大袈裟に
騒ぎ立てては周りを振り回し、

すごく自分勝手なくせに相手が怒ると
被害者ヅラで逆ギレという迷惑な人物。

(恋の使者よ!
とうとう私を捉えたな!)

と、自分に酔いまくってるシーンは
面白いですけどね。

ギーズは幼い頃からプロテスタント
激しく憎む、狭量な性格で

(マルゴが惚れたのは吊り橋効果では……?)

ナヴァルは子供時代から陽気で器が大きく、
ニンニクくさい(史実)として
描かれています。あと女好き。

マルゴと相性は悪くないのに、すれ違いや
間の悪さのせいでどんどん距離が遠ざかる。

結婚式の夜に歴史に残る大虐殺ですからね……。

兄アンリがはっきりと敵になったのは
ギーズとつき合いだしてから。

ギーズとの結婚を夢見ていたマルゴは

兄アンリが戦争に行く前日に部屋に呼ばれ、
レイプされてしまいます。

その後兄アンリは、マルゴが密かに産んだギーズとの
子を連れ去ったりと彼女を苦しめます。

ギーズと引き裂かれ、子供は死に(と思い込んだ)
夫ナヴァルとは政治的な関係でしかない。

史実でも「淫乱のマルゴ」呼ばわりされる
恋多き女性ですが

文化人でもあり、陰謀と悪意渦巻く状況の中で
美しい夢に強く生きようとした女性では
ないでしょうか。

カトリーヌ母后やダイアナ様など、印象深い
キャラも多く、歴史モノとしてだけでなく
人間模様も楽しめる作品です。

王妃マルゴ 4 (愛蔵版コミックス)

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王妃マルゴ 7 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 7 (愛蔵版コミックス)

 

 

 

 

萩尾望都『王妃マルゴ』その1

王妃マルゴ(12~)は16世紀フランスの
宮廷や内戦を、フランス王女マルグリット・
ド・ヴァロア(愛称マルゴ)の視点で描く
歴史モノです。

本日7巻が発売されたので記念に語ります。

序盤のマルゴはまだ6歳。素敵な結婚や王子様に
憧れる、夢見るお姫様でした。

他の兄弟や幼なじみたちもまだ幼く、
ケンカしたり泣かされたりはあっても
無邪気にじゃれ合っていました……(遠い目)

しかし子供たちの周りでは、当然ながら
様々な国際情勢・政治闘争の駆け引きが
繰り返されています。

花嫁のベールを被ったまま、姉たちの会話を聞いた
マルゴが「結婚の秘密って何?」とはしゃぐ中、

大人たちの話題は
「和平の証に同い年のスペイン王太子に嫁ぐはずが
その父王と結婚することになる姉王女」
サヴォア公国との戦争終結のために嫁ぐ叔母」と

王族の結婚は政治的な意味があることが
読者に示されます。

王の死によって、残された愛妾や王妃に対する
周囲の扱いが激変したり

次々に起こる叛乱、その首謀者の処刑を
10歳の次男シャルルが王太子として見届ける
ことになり、悪夢にうなされたり。

意味も分からず口にした言葉のせいで
母后に本当に処女か検査されたりと

王女といえど夢見てるわけにはいかない
厳しい現実が次々に突きつけられます。

それでもマルゴは恋に憧れることを
やめませんが

時代はプロテスタントカトリック
そして王家の三つ巴の内戦、
ユグノー戦争へと突き進んでいくのでした。

ある日マルゴはノストラダムスと出会い、
引いたカードから予言されます。

「あなたの恋人の名は“アンリ”
あなたと結婚する相手の名は“アンリ”
そしてあなたの敵の名は“アンリ”」

この時のマルゴには誰を指しているのかわかりません
でしたが、次第に意味が明らかになります。

敵対する三つの勢力の代表の名前が全員アンリという
ややこしい史実を、その三人全てと
関係が深いマルゴの視点にすることで
分かりやすくしています。

語り切れないので続きます。

王妃マルゴ 1 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 1 (愛蔵版コミックス)