昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

番長モノその3 平成の番長の扱い

80年代半ばには時代遅れとされながらも、
なんだかんだ90年代まで細々と登場し続けていた
「番長」

しかし死語になりつつあったはずの番長は
まだ絶滅してはいませんでした。

アニメ『勇者司令ダグオン』(96~)の
ゲキこと黒岩激がボロい学ラン+学生帽+下駄履きの
番長キャラにして追加戦士。

ゲキ一人だけの画像だと、90年代後半の
アニメキャラだと信じてもらえないかも……。

 

番長=暴力を伴っても秩序を与えるカリスマと定義
しましたが、暴力を振るう人間は昔より減ってはいても
決してなくなりはしません。

2000年代以降も

パチンコで押忍!番長

ゲームで喧嘩番長

少年マンガ鈴木央金剛番長(04~)と
思い出したように番長モノは登場してきます。

押忍!番長のように
ボロボロの学ラン・学生帽・下駄履き・
男臭く「~じゃい」などという口調でケンカっ早い、

テンプレイメージに沿った特殊なキャラとして
生き延びたかと思えば

2010年代には喧嘩番長・乙女』という
爽やかなイケメン揃いの乙女ゲーが登場。

「拳で愛を語る恋愛アドベンチャーゲーム」って何……?

EXILEのドラマ・映画『HiGH&LOW』シリーズ
(2015~)には

漆黒の凶悪高校こと鬼邪高(おやこう)の番長・村山良樹
(=山田裕貴)が登場しています。

別に「頭」とか「トップ」でもいいのに
あえて番長なのはあの世界のマンガ的な浮世離れ感が
出てて合ってると思います。

 

この調子で、頼れる男らしい兄貴分キャラとして
そのギャップを狙ってイケメン優等生の裏の顔として、

また裏をかいて戦闘狂のカリスマとして、
学園ものがある限り、様々な形の「番長」が
後に続いていくことを願っています。

 

また、男臭さやケンカ好きキャラが番長とは限りません。

個人的にはやはり、少々古風な美学や
ポリシーも欲しいところです。

……すると私の理想の番長は幽遊白書
桑原くんなのかも……。

スケバンに関してはまたそのうちに。

昭和のマンガにおける番長 その2

2;複数の学校にまたがる「番長」

総長や影の番長などとも呼ばれていました。

こちらの方が揃いの長ランなど、
服装から掟から組織だってる印象です。

やじきた学園道中記徳成雪也は
「関東番長連合」の総長。

美形の女顔のボンボンで「上様」もしくは
「バカ殿」の別称を持ち、

更に腹心の小鉄は忍者という
この設定の盛り具合がたまりません。

『伊賀野カバ丸』でも女顔の生徒会長・
優等生の目白沈寝が複数の高校を配下に置く
「関東諸星連合」の会長でした。

学園では番長格は柔道部の巨漢・白川と思われており
実際は彼の方が部下という構造。

あさぎり夕『アップルどりぃむ』(84~)では
ヒロイン・いつみの血の繋がらない兄で
女顔の白石由紀が「総長」でした。

番長さんは別にいます。

この3作の共通点は「少女漫画における総長は
女顔で普段は優等生タイプ」

何故か一つの学校の番長は男くさいタイプが
多いのに、それより上の立場のキャラが優男なのは
ギャップ狙いもあるのでしょうね。

少年マンガだと本宮ひろし『男一匹ガキ大将
(68~)では

主人公・戸川万吉が最終的に日本中の番長たちの
トップ「総番」になります。

男坂は本来これのオマージュ作品として
描かれたものでしたが……。

宮原ナオ『三軍神参上!』に登場する
敵側の組織が「関西番長連盟」

関東側にも対抗する組織があり、総長・神右衛門のもと
白い学ラン集団が実に昭和的でした。

舞台は東京ということもあり、刺客が送られるだけで
本体との全面対決はありませんでした。

3巻では関西番長連盟に依頼された
香港からの刺客・カンフー使い林家の三姉弟

「三軍神」こと主役三人が戦うという
トンデモ展開がありました。

 

個人的な意見ですが、

戦後の不安定な時期、学生運動の60~70年代、
校内暴力の嵐が吹き荒れた80年代序盤など
とにかく血の気の多かった昭和において

暴力によってでも秩序を与えたカリスマ、
それが番長という存在だったのかもしれません。

次回に続きます。

昭和のマンガにおける番長 その1

そもそも番長って何?と思ってググったら
1;律令制の役職
2;戦後の不良グループのリーダー

とのことで、名称自体は古くからあるけど
マンガなどに登場する「番長さん」は
戦後にできた概念ということになります。

一番古くて有名な番長ものマンガは
67~71年に「冒険王」で連載されていた
『夕焼け番長』みたいですね。

アニメ化もされていて、主人公の声が
サザエさんでおなじみの加藤みどりさん。

映画だと1968年の東映作品で
不良番長」シリーズ(主演・梅宮辰夫)があり

アメリカの暴走族映画などをモチーフに
作られたそうです。

日本のヤクザ映画+アメリカの暴走族映画+学園
→番長もの、という定義をここで主張してみる。

よくある「~じゃい」「~じゃけんのう」という
番長キャラの「男弁」(BY『すごいよ!マサルさん)は
仁義なき戦い』などのヤクザ映画の影響なんでしょうね。

 

とはいえ、一口に番長と言ってもマンガによって
役割も規模も違います。

1:一つの学校のみで「番長」と呼ばれるタイプ

車田正美『スケ番あらし』に登場する番長
大河内徳三郎は主人公・荒神山麗のライバル兼
理解者のような立ち位置。

奇面組似蛭田妖率いる番組も
あの世界での番長グループでしょう。

少女漫画だとあさぎり夕『あいつがHERO!』では
ヒロインの相手役、風見竜が高校の番長でした。

車田正美男坂(84年~)では第一話で
主人公の菊川仁義が三年生の番長をKOし
新番長を宣言します。

それを聞いたヒロインの島村春奈

「番長なんて時代遅れのものに、ケンカしてまで
なりたいなんて並外れたバカね」
と言っており

80年代半ばになると番長がアナクロ
存在になっています。

それでも梅澤春人『BOY』(92~)には
番長として揉山正象ことモミ―が、

『ウダウダやってるヒマはねェ!』でも住崎玲央
ことレオさんが番長だったので、90年代前半までは
マンガに番長が登場していたことになります。

 

 長くなるので続きはまた次回。

萩岩睦美『パールガーデン』

『パールガーデン』(85年連載開始)は
人間の王子様との恋に憧れる人魚の少女ピアが
嵐で船から投げ出された三流サギ師の
グリーンと出会い

彼を王子様と思い込み、共に地上に出て
デンマークにいるという実の(人間の)父親を探す
現代が舞台のファンタジー作品です。

海底から上がる際に巨大魚に呑みこまれ、
引きあげられた先はロンドンでした。

というわけでロンドンからデンマーク
目指すことになります。

 

サギ師といっても、グリーンはそこまで
悪人ではなく、不幸な出来事が続いて
心がすさんでる状態。

その後出会う少年スリのマルコも同様で、
ピアの純粋さ、優しさにほだされていきます。

しかしピアは先日亡くなった富豪の伯爵夫人の
孫娘に似ていたため、グリーンの元恋人
カレンによって連れ去られてしまいます。

「王子様はお姫様としか結ばれないから
お姫様になる修行をしなさい」と
カレンはピアを丸め込み、
伯爵夫人からお金を受け取って去ります。

結局諸事情あってピアはそこから逃げるのですが、

たまたま出会った人間に人魚の姿を
見られて捕まりそうになり、

伯爵夫人が依頼した男たちも執拗に追ってきます。

助けに来たマルコが警官の息子だとわかり
「マルコにも裏切られた」とグリーンが思い込んで
しまったりと、しばらく辛い話が連続します。

そんな中の名場面

「さっきのあれ……うろこをはいだのか……」

「だって……グリーン……おなかいっぱい食べさせたいもの」

無一文の中、ピアが差し出したものを宝石と思って
質屋で換金。
後で苦しがっている時に発覚します。

ここはもう涙が止まりませんでした。

マルコやその父親の刑事、
助けに来たカレンの粋なはからいに
「人間っていいな……」と思わせる場面も多数あります。

父親とは会うことは叶いませんでしたが、
彼のメッセージは受け取ります。

最終的にピアは人間になり
ハッピーエンドを迎えるのでした。

 

銀曜日のおとぎ話』とか、この人の作品は
泣かせる名作ファンタジーが多いです。

(小ネタ)『熊元拳』を知っていますか?

週刊ジャンプ42号からの新連載、

林聖二『ジモトがジャパン』

コレ読んで81年頃に同じくジャンプで連載していた

にしまじん『熊元拳』を思い出した人は
どのくらいいるだろう……

(間違いなくアラフォー以上ですね)

主人公は熊元拳という拳法を使うお爺ちゃん
沢田研神(けんじん)
弟子の一人は西条秀金(ひできん)

名前からして出オチです。

※若い人向け解説;当時のトップアイドルが
沢田研二と西条秀樹だった頃です。

おじいちゃんが沢田研二の「TOKIO」を
熱唱していた場面があったような。

「こいつを倒せば世界一だ!」という刺客が
やって来ますが、頭の中の世界地図が
熊本県しかなかったり、

お爺ちゃんもコテコテの熊本弁だったりと
熱い熊本推しマンガでした。

コミックスにもなっていないらしいので
当時の評価はお察しください。

あまり詳しくは覚えてませんが、お爺ちゃんが
主役のマンガはこれと『サイボーグGちゃん』
くらいでは……?

太公望やダークシュナイダーなど、見た目と実年齢が
一致してない人は別枠。

『ジモトがジャパン』本編でネタにされたら
それはそれですごい。

でも熊本出身者は尾田っちとうすた京介
この二人だけでも十分すぎるメンツだからな……。

蔵王炎殺黒龍波」

これツボったので『ジモトがジャパン』には
ぜひ続いてほしいものです。

 

空知英秋『銀魂』

遂に終わってしまう『銀魂』に愛と感謝を込めて
語りたいと思……ってたら終わらなかった!!

真の最終回は別雑誌でって、実は『聖闘士星矢』も
最終話はVジャンプ創刊号だったんですよ(遠い目)

銀魂(2004~)は念のため説明すると
幕末の江戸時代をベースにSF要素をぶっこんだ世界で
銀髪の侍、坂田銀時が大暴れする話でした。

勢いで畳み込む会話劇に影響され
「オィィィィィィ」って文章でマネした
人も多いはず。

カッコいい&可愛いのに強烈な欠点を持ち、
それがまた彼らを魅力的に見せているという
不思議なキャラ造形。

ギャグにアクション、人情モノ、暴走下ネタ、
始末書を覚悟したパロディ、
メタネタ・時事ネタ使い放題。

そのくせシリアスや人情モノでは泣かせてくる。

 何でもありの作品だっただけに、この最終回でも
銀魂らしい気がしてくる不思議!


個人的にお気に入りの話は

・食堂のおやじさんの葬式回。
(土方さんと銀さんにだけ幽霊が見える)は
声出して笑いました。

・銀さんと神楽ちゃんが布団並べて寝てるだけの
「眠れないアル……」回も好き。
あれで一話成立するのがすごい。

・近藤さん推しなので、お妙さんと少し距離が
縮まった夏祭りの「ゴキブリ仮面」回。

・怪談してたら階段→12宮、と飛躍して
聖闘士星矢パロになった回

アニメでは更に悪ノリし、ED『永遠ブルー』も
途中まで再現され、銀魂キャラがオリジナル聖衣を
まとって登場。

口ポカーンと開いたよ!本当に!

・竜宮編の序盤、無人島に流れ着いたいつものメンバーが
「一人だと思って自由を満喫するが、見つかってしまう」
エピソードも何度見ても笑えます。

・あと速水奨さんの超絶いい声に何言わせてんだと
何回ツッコんだかわからない星海坊主回。

将軍回に文通回、ヅラ関連……
結局のところ数え切れません。

今まで本当にありがとう『銀魂』!!
そしてこれからも大好き!!

 ところでラストで皆と一緒の登場になった
結野晴明さんにも見せ場をください……。

紫堂恭子『辺境警備』

辺境警備(88~)は
優しく美しい中世風ファンタジー作品です。

主人公が女好きのヒゲの曲者おじさん
サウル・カダフ(若い頃は美形)
というのも珍しいですが

この人が辺境西カールに左遷され
隊長として赴任してくるところから
話は始まります。

素朴な兵隊さんたちに、
銀髪に菫の瞳の美形神官さん、
ジェニアス・ローサイ。

やさぐれた黒呪術師(でも面倒見はいい)
カイルや

謎を秘めた剣の賢者「背高さん」など
魅力的なキャラクター揃い。

 

児童文学のような季節ごとの田舎の暮らしや
神官さんへの少女の切ない恋とか、

都から隊長さんを訪ねてきた
元恋人のその理由は?など

1話完結の平和な話も多数ありますが、
そこにも伏線が張られていたり。

 

中盤以降、神官さんが
辺境に赴任するきっかけになった
過去の悲しい事件、

出生の秘密と、そこに関わる
背高さんの正体など、

千年前の伝説も絡んだ
壮大な話になってきます。

その辺りはだいぶ話が重いのですが、
中和してくれるのが隊長さんの存在。

登場の際は女でしくじって左遷されたとか
怠け者の昼行灯として描かれますが、

時にツッコんだり茶化したりでシリアスを緩和し
時に大人として優しく励まし、

悪意を持ってたり、欲深い相手にも
堂々と駆け引きできる人脈の広さと
したたかさを持つ理想の上司でした。

今読み返してみても隊長さん
いい男だなぁ……。

兵隊さんたちもすごく重要な癒しキャラです。

 

あと作者が「これからもおいしそうな
食べ物描きに精進します」と
別作品『癒しの葉』で宣言してる通り

作中の食べ物は本当に美味しそうです。

秋のタルトバイキング、冬にフライパンに
敷き詰めた雪の上に、溶かした砂糖で飴作り。

ランプやちょっとした小物までデザインが
凝ってるんですよね。

燃える(というより輝く)銀青草の花に
胡桃の実に入った極上の果実酒、
水に沈めれば幻影を見せる「精霊の映し玉」など

絵も設定も作風も、繊細で実に美しい……!

良質なファンタジー世界に浸りたい人には
おススメです。