昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

萩尾望都『王妃マルゴ』その2

ノストラダムスの予言は当たり、

マルゴの恋人はギーズ公アンリ
カトリック勢力代表)

マルゴの夫はナヴァル王アンリ
プロテスタント勢力代表)

そして敵は、兄王アンリ3世
となりました。

序盤のまだ子供だった頃から伏線が
仕込まれているのが、読み返すとわかります。

兄アンリは母后に一人だけ溺愛された
狡猾で歪んだ性格というだけでなく

少年時代からその場のテンションに
身を任せるタイプとして描かれています。

パーティでノリノリで仮装して皆を
驚かせるくらいなら可愛いものですが

恋したり、大事な人の死を大袈裟に
騒ぎ立てては周りを振り回し、

すごく自分勝手なくせに相手が怒ると
被害者ヅラで逆ギレという迷惑な人物。

(恋の使者よ!
とうとう私を捉えたな!)

と、自分に酔いまくってるシーンは
面白いですけどね。

ギーズは幼い頃からプロテスタント
激しく憎む、狭量な性格で

(マルゴが惚れたのは吊り橋効果では……?)

ナヴァルは子供時代から陽気で器が大きく、
ニンニクくさい(史実)として
描かれています。あと女好き。

マルゴと相性は悪くないのに、すれ違いや
間の悪さのせいでどんどん距離が遠ざかる。

結婚式の夜に歴史に残る大虐殺ですからね……。

兄アンリがはっきりと敵になったのは
ギーズとつき合いだしてから。

ギーズとの結婚を夢見ていたマルゴは

兄アンリが戦争に行く前日に部屋に呼ばれ、
レイプされてしまいます。

その後兄アンリは、マルゴが密かに産んだギーズとの
子を連れ去ったりと彼女を苦しめます。

ギーズと引き裂かれ、子供は死に(と思い込んだ)
夫ナヴァルとは政治的な関係でしかない。

史実でも「淫乱のマルゴ」呼ばわりされる
恋多き女性ですが

文化人でもあり、陰謀と悪意渦巻く状況の中で
美しい夢に強く生きようとした女性では
ないでしょうか。

カトリーヌ母后やダイアナ様など、印象深い
キャラも多く、歴史モノとしてだけでなく
人間模様も楽しめる作品です。

王妃マルゴ 4 (愛蔵版コミックス)

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王妃マルゴ 7 (愛蔵版コミックス)

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