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『三千世の心中』(20~)は
呪われた運命に立ち向かう
主人公・山室一真と謎の女性、
三千世との愛を描く伝奇ロマン。
一巻完結の短編です。
大雑把なあらすじは
「山室家の男は先祖代々
厄を宿しており、
嫁いでくる女は息子を一人
産むと死んでしまう」
ある日、一真は父から
そう告げられます。
母もそれで死んだこと、
今まで家や自分に仕えていた
「福羽一族」は厄を利用して
栄えていたことも聞きます。
父はその厄を断ち切るため
「岸田三千世」という女性と
結婚しろと言いますが
一真は一生独身でいると決め、
父の依頼を断りに三千世(みちよ)の
もとを訪ねます。
三千世は不思議な女性で
応対に出た老婆は彼女を
「姉さん」と呼び、
追ってきた福羽の者たちを
手も触れずに吹っ飛ばします。
三千世「私はあなたの子を生みます」
断言する三千世に一真は……。
作者の公式ツイッターの
「縁談を断りに行ったら
思いのほか相手がグイグイ
来た話」という説明が
まさにその通りで
ふふってなりました。
家を出たものの行くあても
ない一真と、妹以外の家人に
厄介者扱いだった三千世は
貧しい長屋で一緒に暮らし始め
絆を育んでいきます。
無表情で「人形のよう」
だった三千世が次第に
人間らしくなっていく
過程がいい。
アイスクリームをはじめて
食べた時の反応すごく好きです。
明らかに風変りな三千世を
奇異の目で見るどころか
家事を教えてくれる長屋の
奥さんたちにほっこり……。
この方の作風は基本
淡々としつつユーモアが
あって優しいというのは
本作でも変わりません。
一真と三千世はやがて
本当の夫婦になり、息子の
真世(まさつぐ)が生まれます。
やがて真世も成長し、
山室家の厄を夢で
体感することに。
「厄」は何故発生したのか、
どうすれば祓えるのか?
詳細は言いませんがオチまで
読むとタイトルに納得します。
カップルで何かに立ち向かう話は
多いですが、夫婦愛ってなかなか
少ないと思うんですよね。
短編で(いい話だ……)って
思える作品を読みたい方に
おススメです。