昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

よしながふみ『大奥』その9(19巻感想)

最終巻19巻、発売中です!!

漫画史屈指の珠玉の名作が
今ここに完結!!

なるたけボカしますが
ネタバレにはご注意ください。

18巻末は大政奉還からの
王政復古の大号令

武家による政の仕組みそのものが
この世から消えうせてしまった」と
天璋院たちは新時代の訪れを
実感するのでした。

19巻を大雑把に3つに
分けると、

薩長軍の挑発により
内戦の危機が勃発するも
史実通り無血開城を果たす。

江戸城明け渡しに向けて
大奥の人々の動き。

・大奥を出た主要キャラたちの
その後。

箇条書きするとこうなりますが
もうどのエピソードも
素晴らしいのですよ……!

でもその前に一言。

慶喜この野郎……!!!!)

そう思わない読者は皆無
でしょうが、

慶喜がいけしゃあしゃあと
勝海舟天璋院に丸投げ
したからこそ

大奥メンバーが重要な
談判に関われたわけで……。

詳細はあえて言いませんが、
西郷隆盛に最後に決断
させたのは和宮

黒船来航、攘夷、公武合体
日本中が揺れ動く中で自分の
ことだけしか考えてなかった
和宮が……。

(ああ……こんなにも……)と
彼女の成長をしみじみ読者が
感じているところに

瀧山の一言がスーっと効いて
涙が溢れてきます。

ここは本当に読んで
確かめてほしい!!

本作に限らず、よしなが作品は
絵も話もあっさり淡々として
いながら、

ラストで突然、読者は絶望に
突き落とされたり、号泣する
ことになるのが特徴。

あと独特のユーモアがあります。

西郷隆盛も理性では講和に応じるのが
正解とわかっていたものの、
感情が邪魔していた部分を

和宮の言動により、何とか自分を
納得させた形でおさめます。

そこは以前から語られていた
薩摩の男尊女卑の気風が
伏線となっています。

有能な中澤さんの珍しい大失敗も
それが原因な中、天璋院様は
本当に希少種だったんだなぁ……。

今回、水戸黄門の印籠にも似た
薩長軍の切り札を岩倉具視
用意するシーンで

五百円札、ホントに曲者だな……!)

って思った人は昭和生まれ。
(硬貨になったのは82年)

続きます。