昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

青池保子『アルカサルー王城ー』その2

チャンピオン連載中の『逃亡者エリオ』
同時代のお話で、ペドロ王が登場します。

この作品だとエンリケ側が善玉で
ペドロ側が倒すべき悪として描かれます。

史実のドン・ペドロ(=ペドロ一世)も
「残酷王」「審判王」など
評価の分かれる人ですし、

フィクションならどう描こうと
自由なのは当然です。

でもこういう描かれ方をしてる
ペドロ王もいるんですよ、と
ここで主張してみる。

ドン・ペドロの不幸は母親との不仲と
すぐに裏切る臣下だけではありません。

フランスから嫁いできたブランシュ妃と
相性が最悪だったのです。

ドン・ペドロの唯一の安らぎは
愛妾マリア・デ・パデリアだけでした。

戦や裏切りの場面が多い中、マリアや
三人の娘たちと過ごすシーンは和みです。

とはいえスペイン男、それも中世の
王様のことですからしょっちゅう
女性問題を起こします。

臣下の妹を一夜で捨てて恨まれたり、

そそのかされた愛人が増長して
マリアとその親族を宮廷から
追い払おうとしたり……。

マリアの気苦労は絶えません。

幽閉状態の名ばかり王妃となった
ブランシュ妃は気の毒では
あるのですが、

プライド高いだけで自分では
何も行動しないタイプなので、どうにも
同情する気が起きないという……。

しかも後に彼女に同情したばかりに
忠誠心篤いマルティン・ロペスが
危うく死罪になるところだったので
ますますもって許しがたい……。

5巻登場マルティン・ロペス・
デ・コルドバは個人的に大好きな
キャラです。

無口な忠臣で王の懐刀。
直接粛清に関わる立場なので
怖れられますが、
本当は優しい人です。

初登場は5巻。
国境沿いの城を護る騎士たちが城主の娘を
手籠めにしようとするのを
止めようとして負傷します。

(それでも城主の娘と奥方を
男達から救い出し、隠れさせます)

その間にまともな兵士が脱出して
助けを求めていたところ、王の進軍に
行き当たります。

王に救われたマルティン・ロペスは
深く感謝し、王もまた誠実な彼を
見込んで重要な役割を与えるのでした。

続きはまたそのうちに。

アルカサルー王城ー 7 (秋田文庫 20-33)

アルカサルー王城ー 7 (秋田文庫 20-33)

  • 作者:青池 保子
  • 発売日: 2010/01/08
  • メディア: 文庫