念のため解説しておきますとソビエト連邦と、
いう国が存在したのが1922年~1991年。
(和暦で言うと大正11年~平成3年)
第二次大戦後以降、アメリカとは「冷戦」状態で
直接戦火を交えなくても
フィクション作品に大きな影響を与えました。
国際情勢を描く『ゴルゴ13』(68~)は
言うまでもありませんが、少女マンガにも
欠かせない存在でした。
『エロイカより愛を込めて』(76~)でKGBを
知った人は「カーゲーベー」とドイツ語式で
発音するのはお約束。
仔熊のミーシャをはじめとするKGB工作員が
何度も登場します。
『パタリロ!』(78~)もバンコランがMI6の
エージェントなので当然ながらKGBが絡む
事件が起きます。
『有閑倶楽部』(81~)ではKGBの怖い女エージェント
鋼鉄のモルダビアが美童をいたぶったり清四郎と
闘ったり。
同作者の『こいきな奴ら』(74~)にもKGBが
登場し、非道なエスパー研究をしています。
河惣益巳『ツーリング・エクスプレス』(81~)
には美女のKGB枕要員アリアズナがいます。
「ロシアン・エクスプレス」編は主人公のシャルルが
仕事でソ連に行き、またディーンと出会うエピソードでした。
ソ連という国を舞台にしたお話だと
山岸凉子のバレエマンガの傑作
『アラベスク』(71~)があります。
バレエが主軸なので当時の世界情勢のようなものは
詳しく語られませんが、
ヒロイン・ノンナと親しかったバレエダンサーが
西側に亡命というエピソードが実にソ連らしい。
また三原順『はみだしっ子』(75~)シリーズの
主人公の一人、サーニンの祖父が亡命ロシア人です。
ロシアを懐かしがる祖父と、サーニンの父親とは
仲が悪く、母親は板挟みで心を病んだ設定でした。
今思うと、亡命して来た人とはいえ冷戦まっただ中の
イギリスで、ロシアの素晴らしさを公言する親族がいたら
お父さんの職業によっては出世に響くどころか
スパイ容疑をかけられる危険性が……。
次回に続きます。