『エロイカより愛をこめて』(76~)は
美術品専門の怪盗エロイカことドリアン・
レッド・グローリア伯爵と、
NATOの堅物・エールバッハ少佐が
巻き起こす、世界を股にかけた大騒動を描く
時にコミカル、時にハードボイルドな
ドタバタアクションものです。
※エロイカはドイツ語の「英雄」
序盤は少佐が「西ドイツ」出身で
主な敵がKGBなのが時代を感じます。
1巻では伯爵も少佐も脇役で、視点は
シーザー、シュガー、レパードの
エスパーの男女3人組でした。
3人が美術館や富豪の屋敷で、金髪巻き毛の
ゴージャスな美形の伯爵と出会い
伯爵が美青年のシーザーを気に入った
ことから「怪盗エロイカ」騒動に
巻き込まれます。
しかし3人は早々にフェードアウトし、
シーザーの頭脳を調査に来たNATO情報部の
「鉄のクラウス」こと
クラウス・ハインツ・フォン・デム・
エールバッハ少佐と伯爵のコンビが
物語のメインになります。
だってこの2人の方がキャラ強烈だし……。
少佐はキザな伯爵が初対面から気に入らず
たまたま利害が一致した時でも「手を組もうか」
という伯爵の要請を断固断るほど。
伯爵の方も嫌っていましたが、少佐には少佐の
鋼鉄の美学があるとわかってからは
彼に好意を抱くようになりました。
(そして更に嫌がられる)
少佐の方は二度と会いたくないと
思っているのに、何の因果か常に
妙なタイミングで鉢合わせします。
挙句にバチカンへ忍び込む任務の際は
伯爵に協力を頼むよう上司に命令されたりと
苦労が絶えません。
ソ連の原潜で連行されそうになった時は
二人でミグ25を分捕って戻ってくるとか
やることなすこと滅茶苦茶すぎて大好きです。
少佐の主観はともかく、二人が組んだら
頼もしいことこの上なく
そういう意味では相棒モノと言ったら……
「アラスカ行きだーーー!!!」と
怒鳴り声が脳内に轟きますね。
76年という、まだまだ外国の情報の乏しい時代に
愉快痛快に世界中を飛び回るこの作品が
昭和の女子にどれほどのロマンを与えたことか。
続きます。
エロイカより愛をこめて (4) (Princess comics)
- 作者: 青池保子
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 1981/06/01
- メディア: コミック
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