昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

河惣益巳『蜻蛉(せいれい)』その2

第8巻、発売中です!!

久しぶりなので解説すると
架空の帝国「虯(キュウ)」を
舞台にした壮大な中華風
ファンタジー作品です。

大雑把なあらすじは

十年に一度、友好国の王族を
招いての会議にやって来た
小国・尚和(しょうわ)の
弥夜姫は、

皇太子に惚れられ、強引に
後宮に入れられてしまいます。

後宮に入れられたのは
弥夜姫(みやひめ)ばかりでなく、
他国の姫君たちも一緒でした。

実はその陰には暗躍する
ある国の陰謀が……。

物語前半では巫女のような
不思議な力を持つ弥夜姫の
キャラクターと、

皇帝や皇太子、姫君たちなど
様々な事情が描かれます。

皇帝が描いた鷹の絵を
実体化しちゃったら

化け物呼ばわりされるか、
惚れ込まれるかの二択
ですよね……。

皇帝は権力を振りかざす
タイプではなく、

その威を借る狐がやりたい
放題で、本人は政治より
絵を描くのが好きな温和な人。

そのわりには息子の嫁候補を
自分の妃にしたいとか
言うんだ……と思ってたら

8巻で先代皇帝=父親が
自分の正妃を横取りしてた
事情が明らかになります。

(前の正妃=皇太子の母は
既に亡くなっていて、
再婚相手に迎えられたはずの
姫君が皇太后にされた)

ある時、皆で海に行く機会を
利用し、弥夜姫と二人の姫が
脱走を図ります。

現在は「3人は波に攫われて
死亡した」ことになっていて
皇太子は深く嘆いています。

旅を通じて弥夜姫以外の2人、
ハリム国のアマーラ姫と
ミャオヤ族のクーラン姫の
個性が描かれます。

アマーラ姫はイスラム風の
深窓の姫君な印象。

大人しく気弱ですが、
弥夜姫の勾玉の放つ波動や
精霊の姿を見たりと
巫女体質。

リュートの達人で
あることも判明。

クーラン姫は遊牧民族
姫らしく、馬が得意で
勇ましく気丈な姫。

大国には逆らえないと
国や親族が自分を見捨てると
言うなら

ならば私が国を見限る!
自力でも逃げる!と
言い放つほど。
(台詞は意訳)

8巻ではクーラン姫が
愛する人と再会を果たします。

彼女はどうやらめでたし
めでたしのようですが

アマーラ姫は……?

続きます。

浦沢直樹『YAWARA!』その8

このユーゴ世界選手権は
ケガが治ってからの
大事な復帰戦なのに

柔の不調に振り回され
心配するジョディが
気の毒でならない……。

加賀邦子は松田・柔の間を
引っ掻き回すお邪魔虫の
役割とはいえ、

仕事意識の低さに
今更イラっとします。

むしろ大人になった後の
方がムカつくキャラかも。

風祭さんは松田さん視点だと
お邪魔虫ですが

コーチとしては有能だし、
さやかさんには振り回される
側だったりと、ヘイトが溜まらない
ようになってますね。

ユーゴでは富士子さんが
大活躍します。

怯えながらもテレシコワ
相手に渡り合うのがすごい。

滋悟郎「裏投げと大内刈りの
真っ向勝負ぢゃ!!」

このシーンでお祖父ちゃんの
表情が真剣なことで、本当に
どっちが勝ってもおかしく
ないと伝わるのが素晴らしい。

流石にテレシコワには
及びませんでしたが
いい勝負でした。

不調の柔を見て侮る
新キャラ・フルシチョワ
でしたが

試合に間に合った松田さんの
姿を見た柔がようやく
いつもの調子を取り戻し、
電光石火の一本背負い炸裂。

タクシーのおじさんも
「いいもの見た……」って
感動するよね……。

呆然とするフルシチョワに

テレシコワ「やっとわかったか!
ヤワラのおそろしさが!!」

このシーン好きです。

無表情だけど味方が勝つより
ずっと嬉しいんだろうなぁ……。

松田さんが楽しそうに
話してるのを聞いて涙ぐむ柔。

松田「お……おい なんだよ!?
泣くなよ!」

松田さんが知る由も
ないことですが、
柔→松田さんのフラグが
確定します。

滋悟郎お祖父ちゃんは
富士子さんのことを
「ライバル第二弾」と
言ってるのに

当の富士子さんには
全然響いてない……。

世界選手権後も
就職したい柔と、西海大へ
編入させたいお祖父ちゃん
との攻防は続きます。

何度もすれ違いを繰り返した
ものの、柔は正直に本音を
打ち明けてくれた社長のいる

鶴亀トラベルに就職を決意
していました。

しかしスムーズに運ぶ
はずはなく、

お祖父ちゃんは
三つ葉女子短大柔道部の
卒業記念試合さえも
利用しようとするのでした。

続きはまたそのうちに。

浦沢直樹『YAWARA!』その7

祐天寺監督とお祖父ちゃんは
柔と富士子さんを西海大学に
編入させようとします。

しかし富士子さんは快諾でも
柔は旅行会社に就職希望。

父を探す手がかりに
なると思ったからですが
お祖父ちゃんは大反対。

柔が面接に来た会社から
電話&パンフレット郵送の
会社まで丸ごとシャットアウト。

西海大になんて行かないと
言う柔にお祖父ちゃんは

富士子さんが心から
西海大編入を望んでいること、

そのためにはもう少し
実績が必要だが一人では
不安だろう、

彼女のために一緒に出ろと
柔に全日本体重別選手権
出場を承知させます。

お祖父ちゃん本当に策士……。

ここからは柔の就職騒動と
富士子さんの試合の行方とで
読者をハラハラさせます。

大会当日に、連絡を遮断されていた
会社の社長たちが押しかけたり

柔が社長たちに囲まれてる間、
富士子さんは不安と緊張で
ガチガチのまま試合を……。

さやかさんが山籠もり中
なのもあって、
風祭さんが富士子さんに
コーチしてます。

短期間に内股刈りを
身に着けさせたりと
指導者としては本当に
頼りになる……。

そして富士子さんを
励ますための一言は

柔「一緒にユーゴスラビア
(世界選手権)
行こうって言ったじゃない!」

ばっちりとお祖父ちゃんに言質を
取られてしまうのでした……。

ソ連もそうですが、この数年後
ユーゴという国が無くなると
誰が予想したでしょう?

その世界選手権では
柔が大不調。

負けはしないものの、危うい
勝利ばかりが続きます。

理由は松田さんの不在。

試合直前に松田さんのお父さんが
倒れ、持ち直した後に乗った
飛行機は霧のため、
試合場のはるか遠くに着陸。

タクシーのおじさんは呑気で
大声で歌いまくるわ、タイヤは
パンクするわであてになりません。

また不在の理由を邦子が
柔に対して「冷めちゃった」からと
言われたことが尾を引きます。

松田さんは間に合うのか、
柔は負けてしまうのか……!?と
読者をハラハラさせると共に、

松田さんがいないと
不安で仕方がない=
柔が自分の気持ちに気づく
重要エピソードでもあります。

続きます。

絹田村子『さんすくみ』その2

※後半のネタバレが含まれ
ますので、未読の方は
ご注意ください。

恋愛フラグをお祓いして
しまった3人でしたが

年が明けてお祓いの効果が
切れたためか、恋の気配が……。

物語中盤からは日常話の
合間に、成就が前提の
恋愛エピソードが入ります。

(それ以前は失恋エピ)

孝仁の妹の担任教師・
真弓先生は初登場が
男子トイレで競馬中継
聞いてるシーン。

たまたまそこに入った
孝仁に見られてしまい、
妹を盾に口止めされます。

孝仁の相手かと思ったら
百合属性!?からの
まさかの恭太郎とのフラグ。

孝仁の恋の相手はお茶の
先生である母親の生徒さん、
桐野さん。

性格はすごくいい人で
短所は字が下手なことくらい。

今までが今までなので
何か裏やオチがあるのかと
深読みしてしまった……。

工は一番モテるのに、恋愛
エピソードがありません。

かわりに仲間や家族絡みの
話が多いです。

ヘビメタ趣味なのに仲間がおらず
披露する機会もない後輩のために
教会のイベントに自分たちと
一緒に出演させたり、

大学の学祭で恭太郎と孝仁を
使って、占いで大勢の女性客を
集めてゼミに貢献しようとしたり。

孝仁の妹・七緒の長年の
片思いが最後の最後に
実を結びそうでよかったね……。

恋愛が成就してもしなくても
ずっと3人一緒なのかと
思ってたら

工が研究のためにドイツへ
行くと言い出します。

孝仁もハワイにあるお寺に
勤めに行くことに。

プロポーズOKしてもらった
直後に知らされるという……。

日本に残った恭太郎は、
自分を孫のように可愛がって
くれた総代(氏子代表)の
おじいちゃんが亡くなり、

その神葬祭神道式の
お葬式)の斎主を勤める
ことになります。

ためらう恭太郎の背中を
押してくれたのは真弓先生。

3人は一度離れ離れになる
ことで一人前になるのでした。

ラストでは5年後に工が帰国、
また改めて3人のつきあいが
再開されます。

ハッピーエンドでほのぼので
いい話だなぁ……ってなります。

全10巻ですがこれとは別に
同じ設定の全1巻の短編、
『読経しちゃうぞ!』
ありますよ♪

『ジャッカー電撃隊』その4(ダイヤジャック話)

ビッグワン登場以前の
ジャッカー電撃隊」で
目立ってたのは

青に当たるダイヤジャックこと
東竜(ひがし りゅう)

元ボクサーで、八百長
嫌がって試合放棄し、渡米。

ラスベガスでハスラーしてたら
殺人事件に巻き込まれるなど
波乱万丈な人生です。

最初の見せ場=お当番回
第二話。

あらすじは連続無差別狙撃事件が
発生、被害者は車内で真っ黒に
炭化していました。

実はクライムが500メートル
先から射撃可能な高性能ライフルの
実験をしていたのでした。

「このライフルを世界に輸出して
内戦を引き起こす気だ」

※子供番組の台詞です。

東は知人のバーのマスターから
「客がヤバい密輸品をくすねたと
言ってる」(意訳)

という電話を受けて出かけますが
バーはクライムに襲撃された後。

(バーではピンクレディー
「SOS!」が流れてるのが
時代を感じます)

マスターは瀕死の状態で
ロッカーの鍵を東に渡します。

ライフルの調査中、使われていた
薬品をビーカーの中のモルモットに
垂らす

→消し炭になるというのは
今は放送できそうにない……。

殺されたマスターは東の
ボクサー時代の仲間だった
らしく、

思いつめた東は一人で
クライムのアジトへ
潜入、ピンチに陥ります。

(ライフルの秘密工場は
オフィスビルの地下に
あった)

その場で変身できず、
強化カプセルに
入らないといけないのは
面倒だなって……。

美味しいところはスペード
エースが持って行きますが

アクティブな性格の東竜は
脚本的にも動かしやすいのか
出番は多いですね。

6話ではハスラー経験を
活かしたエピソードが。

その回のクライムボスと
一緒にいた謎の美女との
デートをかけての
トランプ勝負。

こう書くとカッコいいですが、
美女が正体を現し、敵ロボの
デビルアマゾンの姿になった途端、

(デザインもアレだけど)
声がやんちゃ小僧みたいな
ダミ声に……。

あっさり倒されましたが
平成以降ならもう少し
色っぽい話になったかも?

 「ダイヤジャック!」の
低音の名乗りがなんか好き……。

続きはまたそのうちに。

『勇者指令ダグオン』

勇者指令ダグオン(96~)
勇者シリーズ7作目。

宇宙警察機構のブレイブ
星人に選ばれた男子高校生・
大道寺炎たち5人が
勇者「ダグオン」となって

地球を侵略しに来た宇宙人の
脱獄囚、サルガッソ囚人たちと
戦うロボットアニメです。

 97年にはOVAも作られた
人気作。

※ダグオンはブレイブ星の
言葉で「勇者」の意味で、
主役メカの名称ではありません。

監獄から脱走した囚人たちを
追ってきたブレイブ星人は

地球人に力は貸してやるけど
自分の星は自分で守れって、
そもそも脱走を招いた責任は……?
などとツッコまないように。

また、主役の炎(えん)以下、
5人の男子高校生が
渡されたダグコマンダー
変身、

強化服を纏った上で
各自一体ずつロボットと
融合するというのも他の
勇者ロボと一線を画しています。

(後に追加戦士が二人登場する)

何度でも書いてますが
「個性的なイケメンキャラ」と
「その関係性」を巧みに描いた
作品は特に女性に大ウケします。

ダグオンは熱い友情は勿論、
学園モノ要素も入って
たのが強かった。

炎(エン)は熱血おバカ、
海(カイ)は堅物風紀委員、

森(シン)は女好き、
翼(ヨク)は好奇心旺盛な
頭脳派メガネ少年、
竜(リュウ)はミステリアスな
忍者……?

90年代後半にあえて
竹刀を持った堅物の
風紀委員や

下駄履きの番長(激 ゲキ)
といったわかりやすい
属性持ちも個性を強調
していました。

激は服装はコテコテの昭和なのに
顔立ちが90年代のあっさり
風味なので、ちょっと不思議な
感じ……。

海「Don't say 4or5」
(子安ボイス)

=四の五の言うな、は
彼オリジナルの口癖。

典型的な風紀委員長キャラに
独特の味付けを加えていました。

ちなみにもう一人の
メンバー、雷(ライ)は
宇宙人。

主題歌が珍しく男性ボーカルで
しかも歌詞がレトロなロボット
アニメらしいという異色な曲。

サビのところの「打撃の夜」って
何……?

ずっと「嘆きの夜」と思ってました。

続きはまたそのうちに。

ヒロインがオカルト娘
なのも珍しいかも……。

松井優征『暗殺教室』その2

明らかに化け物の教師を
隙あらば殺しにかかる生徒と
いう異常な教室が成立する
ためには、

当然人目につきにくい
場所が必要です。

そして生徒を即席の殺し屋に
されても学校側は受け入れるし、
生徒も了承せざるを得ない状況。

それが「学校公認で
見下していい落ちこぼれ集団」
通称「エンドのE組」設定でした。

第一話で暗殺者となるのは
生徒たちの中でメイン格の
潮田渚くん。

大人しく優しい、小柄で
中性的な美少年。

彼の視点とモノローグを通じて
世界観や設定の説明、
3年E組の生徒たちに共通する
悩みが描かれます。

E組行きが決まった途端、
友達が一斉に離れていったり
前の先生から暴言吐かれた
回想から

渚(先生にはわからないよね)

(認識さえされない
人間の気持ちなんて)

渚くんが抱える無力感と
悔しさが先生を前に
殺意に変ります。

渚(殺れるかもしれない

だってこの怪物“せんせい”にも
暗殺者“ぼく”の姿は
見えてないから)

物語開始早々からメインキャラが
自爆テロってガンダムWじゃ
ないんだから……。

しかし先生は渚くんを
ちゃんと見て、受け入れて
いました。

渚くんが見事に隙を
ついたことは褒めつつ

「ただし!寺坂君達は
渚君を

渚君は自分を大切に
しなかった
そんな生徒に暗殺する
資格はありません!」

暗殺とか殺すとか物騒な
単語を除くと、とっても
まともなこと言ってるのにな……。

そして第一話ラストで
殺せないから「殺せんせー」と
名前がつくのでした。

この後も生徒たち一人一人に
メイン回があり、それぞれの
悩みと暗殺に、先生が全力で
応えます。

暗殺とか触手とかトンデモな
設定を除くと、とても真っ当な
教師と生徒モノなのがミソ。

この当時(といっても
少し前のことですが)

男がカチューシャやヘアピンを
つけるのが漫画の中でも
珍しくなかったため、

渚くんの女の子のような
二つ結びもそこまで違和感は
ありませんでした。

まさかあの髪型に
そんな意味があったとは……。

そして先生の隙をつけたことが
後の伏線になろうとは……。

続きはまたそのうちに。