昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

雷句誠『金色のガッシュ!!』その1

『金色(こんじき)のガッシュ!!』(01~)
不登校ぎみの天才少年・高嶺清磨が、突如教育係を
自称してやって来た謎の少年ガッシュと共に
人間界で行われる、魔界の王を決める戦いに巻き込まれる
コメディ寄りの熱いファンタジーバトル漫画です。

03年に『金色のガッシュベル!!』のタイトルで
アニメ化されました。

魔物たちが人間のサポートで固有の能力を
使いこなす能力バトルものであり、

清磨とガッシュの相棒(バディ)もの
でもあります。

序盤の清磨(きよまろ)は優秀さゆえに
周りから孤立し、苛立ちと虚しさを抱えた状態。

ある日、海外にいる父親から「息子を鍛えて
くれと言われた」と記憶喪失の少年
ガッシュ・ベルがやって来ます。

大ワシにぶら下がり、鰤を背負った
全裸の子供。

清磨は即座に追い出そうとしますが、
ガッシュの口から電撃が……

母親はガッシュをあっさり受け入れ、
清磨に面倒を見ろ、嫌なら学校へ行けと
言い渡します。

清磨ママにガッシュが「清磨の友達を
作る」と約束するシーン、
両方の優しさが伝わっていいですよね……。

ここからしばらくは清磨とガッシュ
絆を育んでいくターンです。

真っ直ぐなガッシュは清磨を疑わず、
清磨がおせっかいのガッシュを邪魔に思って
タチの悪い不良生徒のいる場所に送った時も
信頼は微塵も揺るぎませんでした。

「これ以上私の友達を侮辱してみろ!!!
おまえのその口、切り裂いてくれるぞ!!!」

やっぱここは何度読んでも泣くとこですよ……。

その直後の

「清磨が今来ないのは
ウンコをしているからだ!!!」

アナコンダよりも太く
金魚のフンよりもキレが悪い……」

「誰がそんなウンコするか!!!」

ここで初の「ザケル」が発動します。

初めて会った時に電撃が出たのは
清磨の手が本に触れた状態で
「ふざけるな」と言ったからでした。

熱く泣かせるシーンの直後に
ギャグが入る展開がお約束。

読者は泣いたり笑ったり表情が忙しく変わるので
人前で読むことだけはおススメしません。

 次回に続きます。

金色のガッシュベル!! Blu-ray BOX

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青池保子『アルカサルー王城ー』その1

『アルカサルー王城ー』(84~)
実在した14世紀カスティリア(後のスペイン)
国王、残酷王ペドロ1世ことドン・ペドロを
主人公に、彼の熱く激しい生涯を描いた作品です。

14年に宝塚で舞台化されました。

※「ドン」はスペインの身分の高い男性の敬称で
本来は登場人物の大半につくものですが
紛らわしいので作中では主人公のみです。

不幸な生い立ちがあり、時に非情な手段も厭わないが
情熱的で人間味溢れるエピソードも山とあり、
生き急ぐように戦場を駆け抜けた王様。

(そりゃ青池先生の好みだろうな……)と
すごく納得しました。

ドン・ペドロの母は隣国ポルトガルの王女でしたが
彼女が嫁いだ時、宮廷は王の愛妾一族の天下で
庶子が何人も生まれていました。

王妃が政治的に立ち回れず、恨み言ばかりで
ろくに味方もいない状況にいたことが
ドン・ペドロの不幸でした。

父王には母子共々疎んじられ、初陣さえも
愛妾の子エンリケたちが優先されます。

実はエンリケもまた、庶子には決して
与えられない王位継承権を持つドン・ペドロに
嫉妬していました。

性格的にも二人は正反対で、頭が回るだけに
見切りも早く、計算高いエンリケ

カスティリアに絶対王権を築いて
真の王になるという壮大な野望を抱き、
それに真っ直ぐに向かっていくドン・ペドロ。

二人の確執と因縁が、この作品の
大きな核になっています。

やがてレコンキスタに出陣した父王が
遠征先で黒死病にかかり、急死。

そこから一気に愛妾一族は転落します。

宰相と愛妾一族に敵対する派閥がドン・ペドロを
王にしたものの、完全にお飾り状態。

それを不満に思ってエンリケたちを引き入れて
宰相から実権を奪うも、実の母親や従兄弟、
異母兄弟にも家臣にも裏切られ、幽閉されてしまいます。

とても浮き沈みの激しい人生ですが、
唯一ドン・ペドロが心を許す存在が
子供時代から傍に仕えるマリア・デ・パデリアでした……。

全然書き足りないので、続きはそのうちに。
重厚で美しい、歴史ロマンの傑作です!!!!

 

『ビーストウォーズメタルス』その1

ビーストウォーズメタルス 超生命体
トランスフォーマー(99~)
トランスフォーマーシリーズの一つ。

世界的に有名な変形するロボット、
正義のサイバトロン軍団と悪のデストロン軍団とが
戦うアクションアニメです。

当時としては珍しいCGアニメ。
略称は『メタルス』『BWM』

カナダ制作のアニメですが、シナリオが暗く
日本ではウケないと判断されたため

声優のアドリブ合戦会場と化し、
ハイテンションなギャグアニメに。

リアルタイムで観てた人にとっては同時期放送の
無限のリヴァイアスで喰らった精神的な
ダメージを癒してくれる貴重なアニメでした。

つまり笑いとは癒しだと教えてくれる
偉大なアニメなのです。

(詳しい話は)「影山さんの歌の後!」とか
メタ発言は当たり前。

高木渉さんの「了解、目黒警部!」など
セルフ中の人ネタにくすっとし、

ネズミ型メカのラットルがピカチュウ
対抗意識を燃やしてたりします。

全体的に何でもアリでバカ騒ぎする
ノリは、『銀魂』好きと相性がいいかも。

アドリブ大王・千葉繁さんの
台詞まわしはいちいち面白すぎる……。

もちろん、ただ声優さんがはしゃいでいるだけで
26話も番組が保つはずはなく
ちゃんとしたストーリーも一応あります。

基本的にはサイバトロンとデストロンたち
メインキャラは通常とは違う世界(古代の地球?)に
送られていて、そこで戦っています。

 ラスボス・メガトロンが所持する
未来が予言されたゴールデンディスクを巡り
ダイノボットのとの間で争奪戦が
繰り広げられるのですが

ダイノボットとラットルの素直じゃない
友情にうっかり感動します。

体がボロボロになったダイノボットの起死回生の
作戦により、人質の猿人が助かり

生き延びた猿人はそれをきっかけに斧=武器を
手に入れて、今まで恐れるだけだった蛇に立ち向かいます。

主人公側のピンチの演出のための人質作戦は
王道ですが、その場から逃がすだけでなく
人質にも成長をもたらすパターン、大好きです。

語り足りないので続きはまた後日。

ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー ~ビーストウォーズ・トランスフォーマー・ソング・ベスト

ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー ~ビーストウォーズ・トランスフォーマー・ソング・ベスト

 

 

『仮面ライダーエグゼイド』パラド

本日11月14日は仮面ライダー
パラドクス、パラド役
甲斐翔真さんのお誕生日です
めでたい!!

というわけでパラドの話を。

序盤では話のラストに出てきて
「心が躍るな♪」と高いところから
笑顔で言う謎のイケメンでした。

彼が何者かは本編より先に
劇場版で明かされます。

主人公・永夢から分離された
バグスターという、いわば分身。

子供時代の永夢の「友達が欲しい」という
願いから生まれた存在なためか
性格は無邪気で見た目より幼いです。

気まぐれで、勝負に水をさされると
「しらけるぜ」と帰ってしまうことも……。

彼のガシャットが「ノックアウト
ファイター」と「ハテサテパズル」の
二つが組み合わさっているように

ガチンコ勝負だけでなく、謎解きや
作戦を立てることも楽しむタイプ。

そのため力押し一辺倒だった
グラファイトより、檀黎斗との方が
馬が合ってるようにも見えました。

やがて何かと管理したがる黎斗に反発
するようになったため、視聴者は
(味方になってくれるのでは?)と
期待したものです。

しかし23話、悪あがきを続ける黎斗の前に
現れたパラドは、助けに来たのかと思いきや
黎斗にとどめを刺してしまいます。

その際、黎斗が長年かけて準備していた
仮面ライダークロニクル」を奪い

バグスター有利に作り変えられたゲームの中で
参加した人間たちは次々に消滅していきます。

あれは衝撃のシーンでしたね……。

ポッピーが洗脳されて敵側についたり、
永夢はパラドに体を乗っ取られて操られたりと
ライダー側にとっては圧倒的不利が続きます。

パラドは何としても永夢と全力での対決に
こだわり、洗脳が解けたポッピーを殺そうとして
永夢の本気を引き出します。

しかし戦いの最中、邪魔に入ったのは
復活したゲンムでした……。

この後からの

「永夢ー、遊ぼうぜー♪」(笑顔)
立ちはだかる黎斗を見て
「……またおまえか」(心から嫌そうな顔)

の流れは自業自得でもパラドが気の毒になるほど。
神はしつこいからなぁ……。

全然書き足りなかったので続きはそのうちに。

 

河合克敏『とめはねっ! 鈴里高校書道部』その2

ひろみ部長の双子の姉妹、よしみの通う
鵠沼(くげぬま)学園書道部という
ライバルがいたのも、
目標がわかりやすくて良かったです。

よしみは嫌味も言うけどその分話の
発端になってくれるし、
勅使河原くんは人間が出来ている……。

一緒にお寺で合宿したりと
良き書道仲間でした。

当初は縁と結希の指導役は三人の
先輩たちと顧問の影山先生でしたが、

後に縁の祖母、英子おばあちゃんや
有名な書家の三浦清風先生に指導を
受けることになります。

(三浦先生は合宿時のみ)

初登場では一見厳しいお爺さんなのに
加茂先輩の胸が美点だとセクハラ発言する
スケベジジイの一面もあり、

前衛書は専門外だから審査できないと
高校生相手に頭を下げて謝ったりと
懐の深さもあるのはさすが大物です。

元は高校教師で、緑の祖母や
鵠沼書道部を指導する笠置先生の
師匠という関係性もいい。

お祖母ちゃんの回想エピソードにあった
「若き日の三浦先生がかなわないと
思った相手」=実在の書家、井上有一の
書が165話に登場します。

サブタイトルは「衝撃(ショック)」

芸術が「作者の気持ちを形にして伝える」
ものだとすれば

あれほど強烈に脳を揺さぶる作品は
なかなかないでしょう。

※本当にショックを受けるので
覚悟して見てください。
「噫(ああ)横川国民学校」です。

漢字の成り立ちや中国古典の生まれた経緯から
お酒やお土産菓子のロゴが実は書道家
書いていたとか、このマンガを通じて
知ったことも多かったですね。

そういう薀蓄も散りばめつつ、
縁と結希の成長と絆が丁寧に
描かれています。

淡々とした作風なのに、縁が合宿最終日に
書き上げた作品にみんながじんと来る
シーンでは私も涙ぐみました。

青春だなぁ……。

書道部三人の女子先輩たちもそれぞれに
キャラ立ちが良かったですね。

柔道に専念するために合宿を最後に退部すると
宣言した結希が、縁の作品を前にして考え直し
策士・三輪ちゃんに知恵を借りるエピソード好きです。

文字を書くって素敵なことだと思わせて
くれる名作です。

 

河合克敏『とめはねっ! 鈴里高校書道部』

とめはねっ! 鈴里(すずり)高校
書道部』(07~)
タイトル通りの書道マンガです。

地味ですが奥の深い書道というジャンルを
個性豊かな高校生たちによる「部活動」と
いう形でコミカルに描いています。

10年にNHKで実写ドラマ化しました。

主人公・大江縁(おおえ ゆかり)は
ガチャピン似のカナダからの帰国子女。
大人しく真面目な性格。

読み書きはできても、日本語はうまく
しゃべれないのが悩みでした。

ある日、担任から頼まれた荷物を運んだ先で
書道部の女子が着替えているのに遭遇。

人数が少なく、廃部の危機にある書道部員
覗きと言いふらされたくなかったら……と
縁を強引に入部させます。

(部長の日野ひろみは温和な常識人だけど、
三輪&加茂コンビは何かと策士なキャラ)

その直後、縁はひそかに憧れていたクラスメイト
望月結希(もちづき ゆき)が男子に絡まれて
いるのを助けようとして

結希の一本背負いに巻き込まれ
救急車で運ばれる羽目に……。

実は結希はオリンピック出場を期待される
柔道の選手。

書道部の先輩たちは柔道部と直接交渉し、
縁を骨折させた償いに結希もかけもちの形で
書道部に入部させます。

負けず嫌いの結希は、縁の字の上手さに
一方的にライバル意識を燃やすのでした。

一応この二人のボーイ・ミーツ・ガールの
お話でもあるのですが、奥手と鈍感同士で
色気も進展もほとんどありません。

習字の授業を受けたことがない縁と、
母の字の書き順も知らなかった結希という
超初心者の視点で、書道の世界が語られます。

誰にでも読みやすい「楷書」と
字が繋がっている「行書」の違いや

「一」「十」をひたすら書く練習法など
基礎中の基礎から始まり、

「臨書」=古代中国の伝説級の書家の
残した文字や、漢字のなりたちの説明など
マニアックなネタも入ってきます。

書道というと特殊な部活のようですが
書の甲子園」など大勢で競う大会があり、

他校に目標とする人がいたり、合宿もすると
言うと他の部活動と変りませんね。

 

折角だから続けます。

 

松井優征『魔人探偵脳噛ネウロ』その4

印象深いキャラといえば、怪盗X(サイ)と
i(アイ)=イミナのコンビも好きでした。

登場時のサイは人間をガラス詰めにした
「赤い箱」を作る猟奇的なイメージに加え、

犯人のお祖母さんや予告先の犬にまで
化けたりとまさに怪物でした。

しかし見た目は華奢で中性的。
後に少女と判明。

怪盗という設定のために微妙なモノ
ばかり盗んだり、天然気味でアイと
ボケツッコミを繰り広げる茶目っ気も見せます。

「一度姿を借りたから」という理由で弥子の
頼みを聞く妙な義理堅さや

盗みに入ったはずなのに、娘に残したもの
だからと、絵石家由香に形見の宝石を渡す
シーンも好きですね。

自分の中身がわからないと悩んでいたら
答えは思わぬ形でつきつけられました。

「シックス」のクローンであり娘。

観察するために人をガラスの箱に詰めていた奴が、
ガラスの試験官の中で生まれ育った実験動物
だったのは皮肉なオチでした。

アイを殺害され、シックスに連れ去られた後は
洗脳され、「イレブン」という名の
忠実な手駒となります。

(こんなのどうやって倒すんだ?)と
思ってたら、物理で上回るのではなく
元のサイに戻すことで対処しました。

「吾輩は……貴様ならそれができると
信じている」は名シーンです。

ネウロがそこまで言ったのだから
戻ってきたネウロは偽者と断定する弥子。

以前はサイを怖がっていた弥子が
心の奥底に彼女を招き入れ、アイの
記憶を見せます。

サイ(……思い出した 私は 俺は
俺達は 二人で……!!)

弥子を殺して戻ってきたように見せかけての

「怪盗“X”が……あんたの心臓いただくよ」

シックスに散々ヘイトを溜めこんだ読者が
心から「ざまぁみろ!!!」と思った
シーンですね。

しかし反撃もここまでで、シックスに
あっさり処分されます。

最期に弥子に「何が何でも
泣かせてやる」と笹塚さんの姿に……。

笹塚さんの姿と言葉を借りてお礼を言ったとも
取れるシーンは泣きました。

吾代さんの絶妙な補足もいい……!

笹塚さんに関してはまた後日。

魔人探偵脳噛ネウロ 4 (集英社文庫(コミック版))

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