昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

河合克敏『とめはねっ! 鈴里高校書道部』その2

ひろみ部長の双子の姉妹、よしみの通う
鵠沼(くげぬま)学園書道部という
ライバルがいたのも、
目標がわかりやすくて良かったです。

よしみは嫌味も言うけどその分話の
発端になってくれるし、
勅使河原くんは人間が出来ている……。

一緒にお寺で合宿したりと
良き書道仲間でした。

当初は縁と結希の指導役は三人の
先輩たちと顧問の影山先生でしたが、

後に縁の祖母、英子おばあちゃんや
有名な書家の三浦清風先生に指導を
受けることになります。

(三浦先生は合宿時のみ)

初登場では一見厳しいお爺さんなのに
加茂先輩の胸が美点だとセクハラ発言する
スケベジジイの一面もあり、

前衛書は専門外だから審査できないと
高校生相手に頭を下げて謝ったりと
懐の深さもあるのはさすが大物です。

元は高校教師で、緑の祖母や
鵠沼書道部を指導する笠置先生の
師匠という関係性もいい。

お祖母ちゃんの回想エピソードにあった
「若き日の三浦先生がかなわないと
思った相手」=実在の書家、井上有一の
書が165話に登場します。

サブタイトルは「衝撃(ショック)」

芸術が「作者の気持ちを形にして伝える」
ものだとすれば

あれほど強烈に脳を揺さぶる作品は
なかなかないでしょう。

※本当にショックを受けるので
覚悟して見てください。
「噫(ああ)横川国民学校」です。

漢字の成り立ちや中国古典の生まれた経緯から
お酒やお土産菓子のロゴが実は書道家
書いていたとか、このマンガを通じて
知ったことも多かったですね。

そういう薀蓄も散りばめつつ、
縁と結希の成長と絆が丁寧に
描かれています。

淡々とした作風なのに、縁が合宿最終日に
書き上げた作品にみんながじんと来る
シーンでは私も涙ぐみました。

青春だなぁ……。

書道部三人の女子先輩たちもそれぞれに
キャラ立ちが良かったですね。

柔道に専念するために合宿を最後に退部すると
宣言した結希が、縁の作品を前にして考え直し
策士・三輪ちゃんに知恵を借りるエピソード好きです。

文字を書くって素敵なことだと思わせて
くれる名作です。