昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

火鳥(ひとり)『ひとりぷれい』

『ひとりぷれい』(19~)
傑作歴史ギャグ漫画『快楽
ヒストリエ』の作者による
最新のギャグ短編集です。

主役は伝説のアナル
アスリート後崎さん

おっさんが下半身を晒しまくる
マンガが成人向け美少女誌から
出るとか

作者も編集部も頭がおかしいな!!
(大絶賛)

※この作品はギャグ枠なのでエロなしです。

あとお子さん誕生おめでとうございます!!

後崎(しりざき)さんは
前作短編集『ひとりあそび』にて
登場した謎の変態おじさん。

肛門括約筋の限界に日々挑み、
異物が取れなくなるたびに
肛門科のJB先生のもとを訪れます。

今回「後崎歩里雄(ほりお)」と
いうフルネームや家族関係、

意外にも親戚の女の子に
慕われてることなどが
判明しました。

アナルアスリートが他にも
いて、競技アナルやプロが
存在する世界とは一体……。

JB先生はツッコミ役も
兼任していて

後崎「先生!!どうして私の
尻から生えた豆の木に?」

JB「どうしてはこっちの
セリフだよ」

何だかんだ言いながらも
どんな超常現象にもつきあって
くれる先生はいい人だ……。

一緒に花見したり旅行に行ったり
仲よくて微笑ましい。

個人的に後崎さんのアナルが
美女の「お穴さん」に擬人化して
訪れた時の回想シーン、

JB「もっとお尻を大事にして
あげなさい……」

の何とも言えない顔が
ツボです。

ここに限らず、絶妙な表情が
素晴らしい。

ジャックと豆の木」や
オオカミ少年」「白雪姫」
「おむすびころりん」と
童話モチーフの話から

今はやりの異世界転生やVR、
映画「アルマゲドン」や
NARUTO』のパロなど
ギリギリアウトなネタが満載。

毎回ブッ飛んだギャグなのに
オチはいい感じに〆るのが
実にじわじわ来る仕様。

某社長を楽器ケースごと後崎さんの
尻に入れて、運び屋をやらせようとする
話は声出して笑いました。

というか「……っ、ふふ……っ」と
最初の数ページからずっと
笑ってました。

ケースに置かれた差し入れの
チョイスが嫌がらせすぎる……。

『ひとりあそび』も一緒に
読むと二倍楽しめますよ!

ひとりぷれい (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

ひとりぷれい (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

  • 作者:火鳥
  • 発売日: 2020/05/30
  • メディア: コミック
 

『仮面ライダーゲイツ、マジェスティ』その1

正確には仮面ライダージオウ
NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』
(20~)は『仮面ライダージオウ』の
スピンオフ作品です。

感想を簡単にまとめると

ゲイツ……青春だな……(萌)

ソウゴ、ツクヨミとの仲良しっぷりが
とても微笑ましい。
オーラ&ウールもいますよ!

・街の中は仮面ライダー
タマゴでいっぱいだー!!

主治医=伊達さん、
刑事=照井さん、
自称クラスメイト=海東、

潔癖症の助っ人=草加
黒ウォズに白ウォズと
会う人会う人みんなライダー……。

・結局、海東が元凶。

でも事態収束にはいないと困る
相変わらずの厄介さんです。

大雑把なあらすじは

本編終了後、戦いがリセットされた
世界で平和な高校生活を送る
ソウゴ・ゲイツツクヨミたち。

相変わらず「王様になる」と
言っておじさんを心配させてる
ソウゴ。

ゲイツは真面目な性格は変わらず。
柔道でオリンピックに行くという
夢に一途に努力していました。

ある日、自分を救世主と呼ぶ
謎の男=白ウォズと出会います。

ゲイツはその後、大事な試合の
最中に足に選手生命に関わる
大ケガを……。

落ち込むゲイツの前に謎のロボ
(カッシーン)が現れて
ゲイツを殺そうとしますが、
主治医の伊達さんに救われます。

物陰から意味ありげに眺める海東。

夢を突然失ったゲイツは混乱
したままで、心配するソウゴと
ケンカしたり

ツクヨミの言葉に傷ついたりと
そこだけ見ると学園青春モノのよう。

カッシーンは何度もゲイツ
抹殺しようとし、

そのたびに伊達さんに続いて
草加や照井さんたちが
様々な事情から助けてくれます。

ゲイツが覚悟を決めた時、
記憶を取り戻して変身し
カッシーンを倒します。

実は白ウォズの狙いは、ゲイツ
力を奪って自らが救世主と
なることでした。

黒ウォズも合流して4人で
白ウォズ&カッシーンの群れと
戦うのがクライマックス。

白ウォズに苦戦するゲイツに海東が
ゲイツマジェスティのライド
ウォッチを与えます。

ものすごく嫌そうに「祝え!」
する黒ウォズは見所の一つ。

続きはまた後日。

(作画)小山ゆう・(原作)武田鉄矢『お~い!竜馬』

『お~い!竜馬』(86~)
坂本竜馬の生涯を軸に創作部分を
巧みに織り込み、幕末の土佐藩
日本を描いた歴史マンガです。

コミカルなシーンもありますが
残酷なシーンも多いので
グロが苦手な人には
おススメしません。

92年にTVアニメ化しました。
関俊彦さんの竜馬、素敵に
ハマってた……。

第一話は当時不吉とされていた
ほうき星(ハレー彗星)を
屋根の上から眺める姉の乙女から
始まります。

流れる彗星の軌道に
登る竜や馬を連想した乙女は
直後生まれた弟に「竜馬」と
名付けます。

姉の思い入れとは裏腹に、
竜馬は泣き虫で武道も勉強も
全くダメな子でした。

平民にまでお菓子を
カツアゲされたり、
塾の先生からクビにされ
町中の笑いものに……。

坂本家の苦労は絶えません。

反面、いじめた子も「友達」と
言いきる竜馬の純真さに絆されたり、
優しすぎて攻撃できないけど
かわす能力は高かったりと

カードを裏返すように短所が
長所になっていくのが素晴らしい。

しかし愉快な出来事が起きると
オチをつけるように気軽に
奈落に突き落すのが
この作品の特徴。

土佐には厳しい身分制度があり、
侍でも竜馬たち「郷士」は
「上士」にとっては奴隷でした。

そのため理不尽かつ惨い
出来事が次々に起きます。

まだ子供の竜馬や仲間が
因縁つけられてボコボコに
殴られるなど日常茶飯事。

遂には肺を病んでいる母が竜馬の
身代わりになり、獄中で
死亡することに……。

この作品では武市半平太
岡田以蔵が幼なじみとして
描かれていますが

今読むと、武市さんの扱いが
気の毒……。

5巻で竜馬は江戸へ行き、
吉田松陰佐久間象山高杉晋作など
幕末お馴染みのメンバーと出会い、
彼の人生が大きく動き始めます。

個人的にアニメ版の山内容堂
暗殺シーンでの

(さんざん虐げられ、踏みつけられて
きた憤怒が爆発する)

「俺たちは人間ぞ……!!!!!」

という以蔵役、千葉繁さんの
血を吐くような叫び声が
忘れられません。

やりきれない、辛い展開が多いのに
読みだすと止まらない不思議な
作品です。

野田サトル『ゴールデンカムイ』その8

第22巻、本日発売です!!

記念に語ります。
肝の部分はぼかしますが
ネタバレにはご注意ください。

今巻は大雑把に言うと

・鶴見一派からの逃亡に成功。

・北海道へ戻り、金塊を探していたら
新たな囚人と出会う。

・引き続き鶴見サイドVS土方サイド。

前巻で鶴見中尉には頼らず
逃げることを選んだ杉元と
アシリパ

頭巾ちゃんと白石も合流します。

白石「悪いな谷垣
この馬は四人乗りなんだ」

スネ夫っぽい言い回しですが
インカラマッが人質にされてる
谷垣を心配しての台詞なのがいい。

谷垣も離脱を決めますが
その辺りは次巻で描かれます。

今回はシリアス大目なのに
鯉登パパにべったりくっついてる
鶴見中尉が怖いんだか面白いんだか
どんな顔をすればいいのかわからない……。

流氷に乗って逃亡成功した
杉元・アシリパたち4人が

シーツをかぶったまま
クリオネ話で盛り上がってる
シーンは癒し。

見た目もゆるキャラみたいだし
アハハウフフ
ドンブラコドンブラコが
すごく微笑ましい。

クリオネの捕食シーンを知ってると
生で食べるのはちょっと……。

緩急ジェットコースターは
相変わらずで、

和気藹々の後に死体から追剥ぎ
する尾形の不穏なシーンや

アシリパが杉元の盾となり、
共に地獄へ堕ちる決意を
してる横で

白クマに襲われ水落ちする白石……。

「鼻からクリオネ出てるぞ!!」

安定の白石オチです。

北海道に戻った後半は軍資金に
砂金を掘ろうとして、掘り師の
平太と名乗る男と出会います。

平太の周囲には家族か仲間
らしい人物がいて、杉元たちを
怪しんでいるのですが

実は彼らは……(内緒)という
ホラーじみたエピソードでした。
いやほんとに怖いよ!!!

第二のゴールドラッシュと聞いて
手と手を取り合う杉元&白石。
ほんとに仲いいなこいつら……。

アシリパさんが絶妙な表情で
引いてるのもじわじわきます。

ところで杉元と戦ってケガを負い、
「情けんなか……」と
凹んでる鯉登少尉にパパが

「生きちょりゃよか」と
声をかけるシーンは萌えどころ。

アニメ第三期も楽しみです!!

村上もとか『仁ーJIN-』

『仁ーJIN-』(00~)
脳外科医、南方仁がある患者と
接触した直後、幕末の江戸時代へ
タイムスリップしてしまい、
その時代で医者として生きていく
SF要素を含んだ時代劇モノです。

09年にTVドラマ化、
11年にも続編が作られました。

第一話序盤の舞台は現代で
仁先生は運び込まれた急患を
手術します。

その患者は数日後、摘出した
奇形腫の瓶や医療器具を持って
逃走しようとし、

止めようとした際に仁先生は
階段から落ちてしまいます。

(その後ラスト近くまで
患者と腫瘍の謎は明かされません)

目が覚めると江戸時代。

数人に取り囲まれて、襲われる
若侍を救いますが、侍は
頭を斬られ、重傷。

髪型や白衣から不審がられるも
医者だと言い張って若侍こと
橘恭太郎を手術、見事成功して

彼の妹、咲の絶対の信頼を
得ます。

仁先生はその後橘家の
居候となり、

咲はヒロイン兼看護助手として
本編で活躍していくことに
なります。

異世界へ飛ばされた先で元から
持ってるスキルで大活躍、
町の庶民だけでなく次第に
その世界の大物とも親しくなり……

と書くといわゆる「なろう小説」
のようですが、

仁先生の場合、認められるまでの
苦労が段違い。

コレラ予防の対策を教えても、
怪しげな札の方を選んだ人が
罹患して死亡したり、

重傷を負った子供を救ったのに
母親が無礼撃ちされて孤児に
なってしまい、

「助からなければよかった」と
言われたり、命を狙われたり……。

しかし苦難が続くからこそ、
成功や気持ちが通じた時の
喜びが沁みるのです。

やがて仁先生は評判となり、
勝海舟坂本竜馬西郷隆盛
新撰組など幕末にはお馴染みの
メンバーたちと顔を合わせることに。

仁先生はなんとか竜馬を
暗殺から救おうとしますが……。

沖田総司を美形に描かない
漫画は珍しいのでは?

時代劇としても医療モノと
しても細部まで調べられていて
リアリティ溢れる傑作だと思います。

本作と『狂四郎2030』が連載
されていた頃のスーパージャンプ
本当に毎回楽しみでしたね……。

 

『銀河烈風バクシンガー』

銀河烈風バクシンガー(82~)
J9シリーズ二作目のSF版
新撰組

「烈」の旗のもと、動乱のドーエ星に
一旗揚げようと集った銀河烈風隊の
活躍と終焉までを描くロボット
アニメです。

宇宙船が飛び交う世界で
何故バイクで宇宙を駆けるのか
そこは気にしないように。

前作『ブライガー』ラストで木星
爆破されたため、太陽系の構造が
変り、600年が経過しています。

被害を最小限に抑えたJ9が
英雄になっていて、烈風隊も
彼らに憧れ、J9Ⅱを名乗ります。

第一話では近藤・土方・沖田を
モデルとするディーゴ、シュテッケン、
ビリーの3人がならず者バイク集団に
襲われる移民船の人々を助けます。

その戦いをフォローしたのが
流れ者の「かっとびの佐馬」
(モデルは原田左之助

ビリーはひそかに地元で仲良しだった
ジャッキーとファンファンの
孤児の兄妹を呼び寄せていて、

二人が合流の途上で襲われている
ところを「不死蝶のライラ」に
救われます。

このメンバーに基地のバクシンバードや
バクシンガーを提供した闇商人、
スリーJ(ジェイ)を含めた
8人がメインキャラです。

伝説の「ポンチョのかくし財産」を
エサに、莫大な金額使わせておいて
「金は後で払う」って、
副長えげつない……。

※スリーJもヤバいとこから
金借りて踏み倒してるので
似た者どうしではある。

「破産だー!いっそ殺せコンチクショー」
と荒れるスリーJを「手間が省ける」と
本当に刀突きつけるシュテッケンと
宥めるディーゴ。

人格者で豪胆なトップと
怒りっぽいが強かな鬼の副長、
子供好きな優しい弟キャラと
新撰組を踏襲したキャラ造形です。

スリーJもJ9に憧れる一人で
ラストはしっかり仲間として
離れがたくなってるのがいいんだ……。

新撰組がモチーフということは
当然、物語の流れも
悲劇に向かって動きます。

そこが明るいノリだったブライ、
サスライとの最大の違い。

当時小学校低学年で新撰組
知りませんでしたが、次々に
戦死していくメインキャラと
ほぼ全滅の物悲しいラストは
ショックでしたね……。

木原敏江『天まであがれ!』

『天まであがれ!』(75~)
沖田総司とヒロイン・こよりの
恋を軸にした、新撰組モノです。

試衛館時代から壊滅までを
史実をベースにオリジナルキャラも
交えて少女漫画風に描いた名作です。

まず前提として、この当時は
ベルばらブーム。

その影響で、西欧が舞台だったり
ドレスやレースひらひらの衣装が
当たり前だった時代に日本史、

それも幕末の新撰組視点で描いた
挑戦がまず素晴らしい。

どうしても野郎ばかりのむさ苦しい
話になるためか、会津藩の男勝りの
蓉姫が土方さんに惚れ込んだり、

たきぎ売りの最中に試衛館を
訪れたのが出会いという田舎娘の
こよりが

実は公家のお姫様で、数年ぶりに
会った兄・羽林中条風守は
長州藩の協力者という

ロミオとジュリエット展開で
昭和の読者を引きつけます。

とはいえ試衛館時代からの
つきあいなので、新撰組からは
「こよりんぼ」とあだ名つきで
可愛がられています。

あか抜けない田舎娘が
ちゃんと着飾ると美しい姫に
なるのも昭和の乙女のロマンです。

こよりには恋のライバルは
いませんが、風守に片思いする
公家の姫・るり子が

兄に大事にされてるこよりに
嫉妬して、何かといじめるのも
70年代作品らしい。

るり子はこよりを陥れようと、
こよりを通じて新撰組に志士たちの
会合の情報が伝わるよう企みます。

仲間がこよりのせいで捕えられたら
風守は妹を嫌いになるはず、という
目論みから

新撰組の一大捕り物、池田屋
事件が起きる流れになっています。

(しかし風守も池田屋に向かって
しまい、るり子は気が触れてしまう)

仲間を斬られた志士たちは
償いにこよりに協力を強制します。

この頃には既に総司は
胸の病が進行していて……。

基本的には史実に基づいて
いますが、総司の死の床に
こよりがいたり、

土方さんの傍らにぎりぎりまで
男装の蓉姫がいたりしますが
物語上の演出というよりは作者の
愛を感じます。

土方さんの死からのラスト
数ページのエピローグや
ノローグはただただ
素晴らしいの一言。

詳しくはここには書きません。
木原先生特有の美しい世界を
堪能してください!!

天まであがれ! 1 (秋田文庫)

天まであがれ! 1 (秋田文庫)