『お~い!竜馬』(86~)は
坂本竜馬の生涯を軸に創作部分を
巧みに織り込み、幕末の土佐藩や
日本を描いた歴史マンガです。
コミカルなシーンもありますが
残酷なシーンも多いので
グロが苦手な人には
おススメしません。
92年にTVアニメ化しました。
関俊彦さんの竜馬、素敵に
ハマってた……。
第一話は当時不吉とされていた
ほうき星(ハレー彗星)を
屋根の上から眺める姉の乙女から
始まります。
流れる彗星の軌道に
登る竜や馬を連想した乙女は
直後生まれた弟に「竜馬」と
名付けます。
姉の思い入れとは裏腹に、
竜馬は泣き虫で武道も勉強も
全くダメな子でした。
平民にまでお菓子を
カツアゲされたり、
塾の先生からクビにされ
町中の笑いものに……。
坂本家の苦労は絶えません。
反面、いじめた子も「友達」と
言いきる竜馬の純真さに絆されたり、
優しすぎて攻撃できないけど
かわす能力は高かったりと
カードを裏返すように短所が
長所になっていくのが素晴らしい。
しかし愉快な出来事が起きると
オチをつけるように気軽に
奈落に突き落すのが
この作品の特徴。
土佐には厳しい身分制度があり、
侍でも竜馬たち「郷士」は
「上士」にとっては奴隷でした。
そのため理不尽かつ惨い
出来事が次々に起きます。
まだ子供の竜馬や仲間が
因縁つけられてボコボコに
殴られるなど日常茶飯事。
遂には肺を病んでいる母が竜馬の
身代わりになり、獄中で
死亡することに……。
この作品では武市半平太や
岡田以蔵が幼なじみとして
描かれていますが
今読むと、武市さんの扱いが
気の毒……。
5巻で竜馬は江戸へ行き、
吉田松陰や佐久間象山、高杉晋作など
幕末お馴染みのメンバーと出会い、
彼の人生が大きく動き始めます。
個人的にアニメ版の山内容堂
暗殺シーンでの
(さんざん虐げられ、踏みつけられて
きた憤怒が爆発する)
「俺たちは人間ぞ……!!!!!」
という以蔵役、千葉繁さんの
血を吐くような叫び声が
忘れられません。
やりきれない、辛い展開が多いのに
読みだすと止まらない不思議な
作品です。