昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

曽称(そね)まさこホラー作品

今年の秋に弥生美術館で「なかよし」
65周年展が開催されるそうです。

個人的になかよしと聞くと、あさぎり夕さんと
この方が浮かびます。

初めて読んだのがコミカルな中世風ファンタジー
『不思議の国の千一夜』(80~)だったので
ホラー作品を目にした時は衝撃でした。

可愛らしい絵と、嫉妬や欲望から破滅に
追い込まれていくドロドロした人間模様との
ギャップがすごい。

 初期作品で印象深いのは、霊感の強い盲目の
美少年ダニエルが、幽霊の引き起こす騒動に
巻き込まれるオムニバス『幽霊狩り』(74~)

報われないダニエルが気の毒になりますが
美しい絵と悲劇的な物語がマッチした独特の
雰囲気が素晴らしい。

『魔女に白い花束を』(78~)には
ガチ凹みしました。

簡単なあらすじは魔女のウワサが
立ったヒロイン・グレートリを救うために
彼女に想いを寄せる青年アロイスが奔走するも
間に合わず、魔女として火あぶりにされてしまう。

(一度は希望が見えてからの暗転が惨すぎる)

傷心のアロイスは修道院に入ることを決意。

実はグレートリを魔女と言い出したのは
アロイスに片思いしていた美女スティーナだった。

想いが叶わないことを知った彼女は絶望し……。

ティーナが川に身を投げる前に叫んだ
「そうよ私はトーベルホッカーの女!
あたらしいユダよ!!」
のシーンが、小学生の頃から未だに忘れられません……。

なかよしコミックスには随分とヘビーな
話でした。(原作つきです)

『七年目のかぞえ唄』収録の短編で
王様に嫁いだ姉が溺れるのを見殺しにした妹が
姉の亡霊に復讐される中世ヨーロッパ風の
ファンタジー「金のベールに銀の針」(81)や

双子の姉妹が憧れの人を取り合った挙句に
ロシアンルーレットで賭けをして
負けた方が全てを諦めるという
『わたしが死んだ夜』(79年)
(オチがまた秀逸)

など、姉妹間のドロドロや三角関係は
お手の物という印象です。

女性向けホラー誌でも『呪術師カイ』シリーズなど
今なお精力的に活躍されてる方ですね。

わたしが死んだ夜

わたしが死んだ夜

 

 

幽霊狩り 三部作 完全版

幽霊狩り 三部作 完全版

 

高橋よしひろ『銀牙ー流れ星銀ー』その4

ベンにスナイパーが襲い掛かった時、
たまたまハイエナが目撃していました。

序盤ではスナイパーの腰巾着で
決して凛々しい戦士とは言えませんでしたが
この時は男を見せ、ベンを救います。

 その頃本隊では、スミスが負傷したのを皮切りに
赤目の部下の陣内や霧風など、名ありのキャラに
犠牲者が出始めます。

赤カブトに辿り着くまで、その部下
約50匹と戦わなくてはなりません。

そして赤カブト側近「片腕のモサ」と相打つ、
紅桜の奮闘と最期は涙なしには語れません……!

紅桜「案ずるなモス! 血まようほど
オレの体に血は残ってはおらん……」

重傷を負い、死に花咲かせる覚悟を決めた男の言葉は
重みが違う……!!

救けに来た銀たちを拒み、紅桜はモサを道連れに
沼の底へ沈んだまま、再び浮かび上がることなく……。

ジョン「あんなヤツ……あんなバカなヤツ
オレはいままで見たことがねえ……」

普段クールなジョンが泣いてるのも
また胸にきます。

そして遂に赤カブトとの最終決戦へ!!

ベンを囮にしての、記憶が戻ったリキと銀との
親子タッグに心が躍る!!

ベンを守るために甲斐兄弟の赤虎が
赤カブトに特攻、命と引き換えに視界を
完全に奪って勝機を引き寄せます。

そこにスミスに導かれた竹田のじっさまが登場。
遂にリキ・銀・じっさまが揃って
赤カブトとの因縁の対決に終止符を打ちます。

とどめはリキが銀に伝授した「絶・天狼抜刀牙」

記憶が戻ったリキはやっと銀を息子と呼ぶのですが
その期間はあまりに短すぎました。

倒れたはずの赤カブトが起き上がり、
リキとじっさまに襲いかかり……。

最後は銀が再び抜刀牙で
赤カブトの首を飛ばします。

リキは「奴らに知られないよう、二度と
抜刀牙を使ってはならない」と言い遺して死亡。

じっさまはこの二子峠を犬の解放区にすると
駆けつけた大輔や秀俊、村長代理に宣言します。

(地主だったんだ……)

そして銀が新たなボスとなりますが
今度は抜刀牙を使う狼たちと戦うことになるのでした。

銀牙 真・外伝』には紅桜と甲斐三兄弟の
スピンオフが収録されてますよ。

銀牙―流れ星 銀― 真・外伝 第1巻

銀牙―流れ星 銀― 真・外伝 第1巻

 

 

銀牙―流れ星 銀― 真・外伝 第2巻

銀牙―流れ星 銀― 真・外伝 第2巻

 

 

高橋よしひろ『銀牙ー流れ星銀ー』その3

舞台が今月から公開らしいですね。
記念に続きを語ります。(今回は決戦前夜まで)

総大将リキの「三か月で全国から男を集めてこい」
という命令により南下したベンと銀たち第一班。

司令官スナイパーの謀略やベンの失明の危機なども
ありましたが、順調に仲間を増やしていきます。

ところが北へ向かった仲間が全滅したとの報を受け
銀やベンの不在時に、モス率いる群れの一部が
救出へとルートを変更。

北の奥羽四天王率いる犬の群れと戦うことに
なります。(途中ベンも合流)

伝説の闘犬・紅桜を仲間にするため
その場にいなかった銀や赤目たちは後を追い、

ウィルソン・ジョン・ビルたちは
そのまま南下し、同志探しの旅を続けます。

説明が長くなりましたが、要するに男たちは
揃ったけど準備万端とはとても言えない状態でした。

しかし五班のテリーの無念の死と、その遺骸が熊に
喰われたことで敵対していた奥羽四天王が
味方につく流れはめちゃくちゃ熱いです!!

見事一つになった犬の群れが熊たちに
襲い掛かり、撃破します。

「ウオオオオーッ!!」「ガホホーーッ」など
犬と熊の唸り声や呻き声だけが数ページに渡って
続くのはちょっとシュールでもある。

その後ジョンたちが南から新たな仲間を
伴って戻り、

北海道から北見の白狼が群れを引き連れて
合流します。

そして遂に、リキの下に全軍が集う……!!!

これだけ強く風格漂う犬たちが揃ってなお、
リキが別格のカリスマだと伝わるのはすごい。

決戦の日は1985年9月上旬。

リキは本隊とは別に、赤カブトの牙城を背後から
突こうと単独で進み、同行しようとするベンを
「掟を破って妻を娶った」と突き放します。

リキなりの思いやりなのはベンにもわかる。
そして傍らには「許して」と泣くクロス……。
なんという浪花節の世界!

リキを追うベンの目に再びの異変、そこにスナイパーが
ベンを狙って現れ、盛り上がりに拍車を掛けます。

80年代ジャンプの勢いと熱さ、このテンション
たまりません……!!!!

銀牙-流れ星 銀-コンプリートDVD(初回生産限定)

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日本橋ヨヲコ『G戦場ヘブンズドア』

『G戦場ヘブンズドア(00~)は有名漫画家の
父親に反発する堺田町蔵(さかいだ まちぞう)が
転校先の高校で漫画家志望の長谷川鉄男と出会い
一緒にプロを目指すことになる
熱い漫画家マンガです。

序盤、町蔵は自分の家庭が壊れた原因として
父とマンガを憎んでおり、教室で描いていた
鉄男の原稿を破ってしまいます。

次の瞬間、鉄男ラブな凶暴ヒロイン・久美子に
殺されかけたものの

鉄男の静止で「一番大事なモノを出せ」という
ペナルティで済まされることに。

町蔵の大事なモノは自作の小説で
鉄男は「すごくいい」と褒めてくれます。

内心喜んだのもつかの間、今度は久美子は
原作担当として鉄男と組めと脅すのでした。

最初は渋々協力していたものの、マンガ制作を
通じてクラスメイトたちと仲良くなったり
鉄男や久美子との絆が深まっていきます。

 しかし心の荒れ具合をストレートに出す
町蔵よりも、久美子や鉄男の方が
闇が深いことが分かってきます。

鉄男の父は漫画雑誌の編集長で
町蔵父(PN坂井大蔵)とは古いつきあい。

鉄男がマンガを描いたきっかけは、家に帰らない
父親の目をこちらに向けるためでした。

そのせいで母親が血を吐いて倒れることに……。

編集長は「漫画の鬼」のような人で
情け容赦なく鉄男や町蔵の希望を
押し潰してきます。

その後、鉄男と町蔵は賞を取るのですが
編集長に次は町蔵もマンガを描くよう命令されます。

町蔵は授賞式で出会った猪熊宗一郎の紹介で
漫画家・町田都のアシスタントとして
修行することに。

個性的な新人・ベテラン作家たちとの交流の中で
人間的にも作家としても成長していく町蔵。

それに魅かれていく久美子。

一方、1人マンガを描き続ける鉄男は
次第に壊れていき……。

町蔵も鉄男も久美子も、青臭さや深い喪失感を
抱えて迷走する姿に心揺さぶられます。

日本橋ヨヲコ作品は普通は照れが入って
避けがちなところを真っ直ぐに抉ってくる
印象ですね。

全3巻、18話とは思えないほどの
濃密な物語です!!

 

『仮面ライダーエグゼイド』九条貴利矢 その1

本日6月29日は仮面ライダーレーザー、
九条貴利矢こと小野塚勇人さんの
お誕生日です。めでたい!!!

というわけで貴利矢さんの話を。

貴利矢さんは丸いサングラスにアロハ、
ワインレッドの革ジャンという
絶妙にうさんくさいスタイルの監察医。

小児科の研修医の永夢に会うために
「くじょうきりや 6さい」を名乗り

知らずに診察室に呼んだ永夢を
戸惑わせたのが二人の出会い。

人を驚かせるのも、変なあだ名つけるのも
多分主導権を握るためでは?

何かと曲者な印象のキャラなのに
レーザーレベル1はつぶらな瞳で
めちゃくちゃ可愛いというギャップ。

本来は明るい人でしたが、親友にお前は
ゲーム病だと告知したところ、ショックで
飛び出し、交通事故で還らぬ人となった
過去がありました。

そのため「真実を打ち明けることが
正しいとは限らない」と心に刻まれており

バカ正直に話しすぎる永夢の胸ぐらを掴んで
怒鳴りつけたこともありました。

陽気さの中に翳りを持ち、飄々としてるのに
実は熱い男というのが九条貴利矢の
魅力でもあります。

 その後貴利矢さんは、当時味方のふりを
していた檀黎斗がゲンムだと知ります。

ライダーたちに話しても日頃の行いが
たたって信じてもらえず、
檀黎斗サイドに逆手に取られて
孤立する羽目に。

皆の冷たい視線を受けながらの

「あれ?もしかしてノせられちゃった?」
うそぶく姿に胸が痛む……。

信じてくれてありがとう永夢!!(泣)

貴利矢さんはその後もゲーム病根絶のために
調査を重ね、収監中の檀正宗に辿り着きますが
それは死亡フラグが確定したことを意味しました。

よりにもよってクリスマス当日に
貴利矢さんは永夢に熱いメッセージを遺して
ゲンムにより消滅に追い込まれるのでした。

Aパートはクリスマスらしい浮かれたエピソード
だっただけに、落差でより凹んだ……。

そんな散々な目に遭わされたのに、復活後は
黎斗と一緒に行動し、ツッコミ役まで
引き受けてVシネでは(以下略)

貴利矢さんは天使に違いない!!!

続きはまた後日。

 

 

藤栄道彦『妖怪の飼育員さん』

『妖怪の飼育員さん』(15~)は動物園のように
妖怪が集められ、お客に見られる「妖怪園」が
当たり前に存在するという設定の
現代日本が舞台のファンタジー漫画です。

天然の新米飼育員・鳥月日和(とりつき ひより)が
主人公ですが、彼女視点が多いというだけで
メインは妖怪たちの生態と人間との交流です。

「すねこすり」の可愛いけど足にまとわりついて
離れなくなる習性に苦戦したり、

「さとり」が心を呼んで喋ってしまうため
お客の抗議が殺到、「人間関係を破壊する
怖れがある」と対策を立てたところ
斜め上の需要が生まれていた……。

など、言葉が通じない苦労もあれば
人間の言葉を理解するからこそのトラブルも
発生します。

個人的に餓鬼のエピソードが秀逸だと思いました。

お菓子を食べている子供のお客に絡んで
「我々は飢えているのに!償(まど)うて
くれガキ!」

しかしあげたらあげたで
「これっぽっちで足りると思うか?
償うてくれガキ!」

要求は次々エスカレートし、泣きわめいたり
歌ったり踊ったり芝居したりして
自分たちが被害者だとパフォーマンス。

とにかく謝らせ、何かを得ようとします。

それを目にしたお客の一人が
「こんなに必死に訴えてるんだから
聞いてあげたらどうなんだね?」

その「良心的な人間」は新聞記者で、
よく調べもせず、園側のインタビューも
適当に切り取ってでっち上げ
国会で取り上げられるほどの大騒ぎに……。

これ以上は書きませんが
皮肉の利いた展開とオチが実にいい。

風刺的な話ばかりでなく「屏風のぞき」という
覗く習性のある女妖怪が、育児放棄され
閉じ込められていた子供を見つけて救ったり

子供を攫う姑獲鳥(うぶめ)が
保育園に入れない子供を迎えに来て
預かってくれたりと

子供と妖怪、妖怪と飼育員、あるいは妖怪同士の
ほのぼのとした交流も描かれます。

時折挟まれるパロディもいいアクセントです。

基本一話完結ですので、どの巻から読んでもでも大丈夫ですよ。

妖怪の飼育員さん 1巻: バンチコミックス

妖怪の飼育員さん 1巻: バンチコミックス

 

『新・コータローまかりとおる!』鮫島春樹

『新・コータローまかりとおる!(94~)
女好きの長髪の空手使い・新堂巧太郎が
やりたい放題まかり通る、コメディ多めの
格闘マンガ『コータローまかりとおる!』の
柔道編です。

今回は鮫島春樹ことハルちゃんについて
語ります。萌えキャラですよね。

「新~」では巧太郎が
幼なじみの渡瀬真由美と共に

新キャラの柔道少女・三船クミ、
気弱な柔道少年・三四郎とチームを組んで
校内の大会に出場することになります。

ハルちゃんは途中参加メンバーで
元チーマーの頭(懐かしい響き……)

彼の父親は第13柔道部顧問。通称
「ぶっこわし柔道」と呼ばれる反則上等の
物騒な柔道をやっていました。

登場したての頃は荒れていて、ヤクザ
相手でもケンカを売る狂犬タイプでしたが
諸事情あって改心、だいぶ丸くなりました。

パパが指導者なこともあって、教え方も
解説も上手。

反発しまくってる割にはボキャブラリーが
古風で、影響をしっかり受けてます。

要するにやさぐれファザコンなんですよね。

メインキャラの大半がボケなので
貴重なツッコミ要員でもあります。

グレてる間に体力が落ちていて
それが弱点と言われてましたが

後百太郎(うしろの ももたろう)との
レギュラー争いに必死に食らいつき
モモちゃんも認めるド根性を見せます。

帝国柔道部戦では反則してきた相手に対して
あくまでも正々堂々と戦い

やがて「ぶっこわし柔道」の本質に
辿り着きます。

第13柔道部にはパパに心酔しきっている部長・
竜野新吾くんがいて、ハルちゃんとはケンカが
絶えませんでしたが、

たまに同じタイミングでパパの言葉を引用して
気まずい雰囲気になってるのも
かえって仲良しに見えます。

そんな竜野くんを倒し「残心」を実践した後に
パパから「99点だ」と認められた後の
涙シーンは胸が熱くなりましたよ……!!!

その後ハルちゃんは竜野くんの不器用な
説得で第13に戻り、

竜野くんや醍醐くんとほっこり愉快な
ボケツッコミを繰り広げるのでした。

名作ですよね『コータロー』(だから続きを……)