昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

『ジャイアントロボ~地球が静止する日』

ジャイアントロボ THE ANIMATION
~地球が停止する日』(92~)
横山光輝原作『ジャイアントロボ』をベースに
悪の組織BF団と国際警察の戦いを描いた
全7話のOVA作品です。通称「Gロボ」

特撮作品の『ジャイアントロボ』(67~)も
あります。

どちらも主人公は草間大作。彼が音声指示で
父が作った巨大ロボット「ジャイアントロボ」を
動かします。

監督は『Gガンダム』『ミスター味っ子』の
今川泰宏監督。この方の作品の特徴は

やたら強くてキャラの濃いおっさんが
めちゃくちゃ暴れまわる

というわけで、この「Gロボ」も大作少年より
ヒロインの銀鈴(ぎんれい)より
おっさんどもが大活躍します。

特に敵側の「十傑衆」と呼ばれるキャラたちは
今なお人気が高く、

最も活躍の場が多い「衝撃のアルベルト」は
当時FRでも話題になっていました。

この作品では、世界は「シズマドライブ」という
エネルギーによってインフラがまかなわれており

シズマシステムが静止する=すべてのインフラが
止まって地球は大変なことに。

序盤、銀鈴たちはBF(ビーエフ)団に
追われるシステム開発者のシズマ博士を助けます。

シズマ博士だけでなく、開発に関わった他の
研究者たちも次々に殺されていました。

シズマドライブ完成前にはフォーグラー博士による
大事故が起きていて「ヴァシュタールの惨劇」と
呼ばれていました。

BF団はそれを再現する気か!?と国際警察側は
阻止のため動き始めます。

実は事故を起こしたのはシズマ博士たちで
フォーグラー博士は彼らのミスを指摘し、
事故の際も命がけで防ごうとしたのですが

死人に口なし、全てはフォーグラー博士が
諸悪の根源ということにされていたのです。

復讐を企んでいたBF団の若き幹部「幻夜」の本名は
エマニュエル・フォン・フォーグラー。銀鈴の兄でした。

「遺言はわかりやすく」という教訓のような
オチなんですが、個性的なキャラも
セル画時代とは思えぬアクションシーンも
今なお評価の高い名作です。

詳しくはまた後日。

 

萩尾望都『残酷な神が支配する』その2

グレッグは死後も幻となってジェルミに
つきまとい、ことあるごとに彼を責め苛みます。

ジェルミを更に絶望に突き落としたのは
サンドラがグレッグとの関係を
知っていたという事実でした。

皮肉なことに、あれほど疑っていたイアンが
ジェルミの罪悪感が生み出した嘘に過ぎないと
結論を出した直後に、物証が出てきます。

それはイアンにとって尊敬していた父親像が
崩れることを意味し、

自分が何も知らずに過ごしていたと
認めることでもありました。

イアンが真相を知った時、ジェルミは
スラムで男娼となり、ドラッグに手を出して……。

救おうとして傷つくイアン、
傷つけたことで更に苦しむジェルミの姿は
断崖の上で揉みあっているようでハラハラしました。

そしてイアンの元にもグレッグの幻が……。

イアンとジェルミに見えるグレッグは
罪悪感だったり欲望だったりと意味合いは
違っても、自分を責める声の具現化です。

死んだはずのキャラと会話したり、
物理的にありえない表現ができるのは
漫画というコンテンツの強みです。

緻密で幻想的な精神世界と、そこに紡がれる言葉の
美しさは本当に素晴らしい。

グレッグとサンドラの死から一年後までが
この物語の大半を占めますが
たった一年が濃密すぎる……。

カウンセリングでジェルミが作ったオブジェが
最初は痛々しいデザインだったのが
ラストで完成形を見た時は泣けてきました。

創作物から心の変化が伝わるのもいいですね。

また、ジェルミ以外にも病んだ
キャラが多数登場し、互いに変化をもたらします。

イアンの彼女ナディアの妹・マージョリー
マージョリーを溺愛する母親と
ナディアの不安定な関係、

バレンタインも再登場し、双子の兄エリックとの
物語が語られます。

そして少しずつ明かされていくイアンの母・
リリアとグレッグ、ナターシャの過去の話、
そしてグレッグと母親の関わり。

ひねた子供だったマットも落ち着き、
成長を見せます。

ヘビーな話が連続しますが、一度読みだしたら
目が離せなくなる傑作です。

残酷な神が支配する(2) (小学館文庫)
 

萩尾望都『残酷な神が支配する』その1

残酷な神が支配する(92~)
母サンドラの再婚によって、義父グレッグから
性的虐待を受けるようになった少年・ジェルミの
絶望と再生の物語です。

舞台はアメリカ・ボストンから始まり、
再婚後はグレッグの屋敷があるイギリスへ。

男同士、しかも虐待やレイプシーンが連続するので
苦手な人にはおすすめできません。
そこはご注意ください。

序盤は葬式のシーンから始まります。

ジェルミの不審な言動から、義兄のイアンは
事故に見せかけて両親を殺害したのではと
確信しますが、一旦話は過去に戻ります。

ジェルミとサンドラがグレッグと出会った
ボストンでの出来事に……。

夫を失って以来、精神的に不安定なサンドラを
ジェルミの方が護ろうと心を砕いていました。

グレッグはそれにつけ込み、サンドラへの愛情を
出したり引っ込めたりしながらジェルミを
巧みに操り、支配下に置きます。

やがてグレッグとサンドラは結婚、
ジェルミと共にグレッグの屋敷に移り住みます。

そこには死んだ前妻の息子、イアンとマットが
いました。

マットは前妻の姉のナターシャにだけ
なつき、グレッグとは不仲。

ナターシャはジェルミとグレッグの関係に
気づいたものの、グレッグに脅され

マットとイアンを護るため
沈黙を貫こうと決めます。

ジェルミはイアンと同じ、寮のある学校へ
入学しましたが週末ごとにグレッグに関係を
迫られます。

病んでいくジェルミは学校でも「奇行」と
取られる言動が増えます。

ある心理学者の元で話を聞いてもらったり、
そこで知り合った孫で歳の近いバレンタインと
友達になるなど救いを得たのもつかの間、

博士は病気で亡くなり、バレンタインは
北欧の親戚の元へ。

イアンが善意で「みんな仲良くしよう」と
言うのがほんとにつらい……。

ジェルミは本当に殺人を犯したのか?

イアンは保険会社の調査員、リンドンに
協力し、真相を暴こうとします……。

嘘やミスリードが巧みに織り込まれ
何が真実かわからないミステリの一面も
ある作品です。

続きます。

残酷な神が支配する(1) (小学館文庫)
 

 

『爆竜戦隊アバレンジャー』その2 ヤツデンワニ

 歴代の戦隊のゲスト怪人の中で、最も変わり種が
このヤツデンワニでしょう。

頭に電話を乗せ、体からヤツデを生やした
二本足で歩くワニというデザインです。

登場回は18話。追加戦士アバレキラー
かませにされて一瞬で倒されます。

能力すら披露する間もなくやられたと思われましたが

捕獲され、アバレキラー宅で下僕として
こき使われていたことが21話で判明します。

隙を見て逃げ出し、頭の電話で生みの親である
敵幹部・ミケラに連絡。

しかし「お手伝いさんやってま~す」の能天気な一言に
「二度と電話してくんな!」と見放されます。

アバレンジャーでも倒して手土産にすれば
迎えてくれるだろうと街中で暴れ始めたところ

真っ先に駆けつけた紅一点・イエローのらんるの
軽蔑のまなこに恋してしまうのでした。

退却の際にも愛の言葉を放ち、ぞわぞわ痒くなった
イエローが「(背中を)掻いて!!」と叫んで
慌てて従うレッドとブルーが面白すぎる。

(ブラックは爆竜アンキロベイルス探索中)

※この回は脚本:浦沢義雄

約束されたカオスがヤツデンワニの
やりたい放題に拍車をかけます。

ヤツデンワニがらんるに電話をかけ、
ものすごく音痴な愛の歌をわめくので
公園で倒れる人が続出したり。

らんるに構ってほしくて仕方ないヤツデンワニですが
爆竜アンキロベイルスが見つかったため
アバレキラーも参戦、それどころではなくなります。

「無視されてる!?オレって
キャラが薄いのかな……」

つ……ツッ込まないぞ!!

アンキロは無事アバレンジャー側に保護されましたが
ヤツデンワニはアバレキラーに連れ戻され
おしおきをくらうのでした。

ウザいテンションのおバカキャラですが
憎めないお茶目な可愛さがあり、

何より最終回間際まで徹底して悪役だった
アバレキラーの傍にいることで

子供たちが「キラー怖い!キライ!」とならないように
適度なギャグを挟んでくれていたと思います。

最終回まで生き延びた上に、その後も
他作品とのコラボにも登場する
愛されキャラですね。

爆竜戦隊アバレンジャー超全集

爆竜戦隊アバレンジャー超全集

 

アイドル・アーティストが歌うアニソン その2

80年代にはOVA(オリジナルビデオアニメ)も
登場し、アニソンの量も増えました。

『吸血鬼ハンターD』(85年)原作は菊池秀行の小説。
TM NETWORK「YOUR SONG(“D”MIX)」は名曲です。

これを皮切りに

劇場版『機動戦士ν(ニュー)ガンダム 逆襲のシャア』(88年)
TM NETWORK「BEYOND THE TIME~メビウスの宇宙を越えて」

そしてTMといえば
『CITY HUMTER』(87年)
GET WILD」!!

『CITY HUMTER2』大沢誉志幸「ゴーゴーヘブン」
EDに岡村靖幸「Super Girl ~CITY HUMTER2」

『CITY HUMTER3』小室哲哉
「RUNNING TO HORIZON」

一般の音楽シーンだと平成序盤が小室哲哉
全盛期でしたね。

アーティスト・アイドルが主題歌を歌うことが
珍しくなくなると、作品とは関係ない曲も増えました。

SLAM DUNK』(93年~)
大黒摩季のED「あなただけ見つめてる

るろうに剣心(96年~)
JUDY AND MARY「そばかす」に至っては

「ああ関係ねーな……主人公が明治の人斬りの話なのに
主題歌がそばかす少女の初恋くらい関係ねえ」
と『Mr.FULLSWING』でネタにされていたほどです。
(台詞はうろ覚え)

EDはTHE YELLOW MONKEYT.M.Revolution
L'Arc~en~Cielと今見ると豪華ですね。

『地獄先生ぬ~べ~』(96年)
ED「ミエナイチカラ」はB'zが歌うのに驚きましたが
まだ許容範囲だと思います。

『すごいよ!!マサルさん』(98年)
PENISILLIN「ロマンス」はあれがベストな
気がする不思議!

ヤマトタケル』(94年)の主題歌が
GLAYだったり

『D.N.A2』(94年)EDがシャ乱Q
「シングルベッド」とか書いてみると
平成も遠くなったと実感します。

タイアップもすっかり定着しましたが、
最近の曲はわりと作品に合わせてくれてるような……。

アイドル・アーティストが歌うアニソン その1

たまには作品でなく歌の話を。

60~70年代はアニソンはアニメの
ためだけに作られたものという印象です。

タイトルやキャラ名、必殺技などが歌詞に入っており
アニメを観たことがなくても主題歌を聴けば
内容はだいたい分かりました。

劇場版の主題歌は有名歌手が歌うことも。

ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』
(78年)主題歌は三波春夫の「ルパン音頭」

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』
(78年)沢田研二「ヤマトより愛をこめて」

劇場版『銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)』
(79年)ゴダイゴ銀河鉄道999」

『劇場版 スペースアドベンチャー コブラ
(82年)松崎しげる「DAYDREAM ROMANCE」

いずれも名曲ですが、国民的歌手の
「オレ~はル~パンだぁぞ~♪」をリアルタイムで
聴いた人はどう思ったんだろう……。

80年代、杏里の『CAT'S EYE』が大ヒット(83年)
これ以降はアイドルの曲が増えた印象です。

超獣機神ダンクーガ』(85年)
藤原理恵「愛よファラウェイ」

『機動戦士Zガンダム』(85年)
森口博子水の星へ愛をこめて

がんばれ!キッカーズ』(85年)
西村知美「君は流れ星」

あんみつ姫』(86年)
おニャン子クラブ恋はくえすちょん

ハイスクール!奇面組』(85年~)
ついでにとんちんかん』(87年~)では
おニャン子クラブのユニット「うしろゆびさされ組」や
うしろ髪ひかれ隊」などが主題歌を担当しました。

名作劇場の『愛の若草物語』(87年)
新田恵利「若草の招待状」(14話まで)

ピーターパンの冒険』(89年~)
ゆうゆ「もう一度ピーターパン」など
当時のおニャン子ブームの影響が伺えます。

機甲戦記ドラグナー』(87年)
山瀬まみ「スターライト・セレナーデ」

アニメ三銃士』(87年~)
酒井法子「夢冒険」

 

この当時はまだまだアニメに合わせた曲が
多いのですが、次第に内容とそぐわない
曲も徐々に増えていきます。
続きます。

野田サトル『ゴールデンカムイ』その4

この作品読んでて思うんですが

作者は血液のかわりに体内に
脳内麻薬が駆け巡ってませんか……?
そうでなければ、こんなに次から次へと
頭のおかしい個性あふれる変態どもが
度肝を抜いてくるわけない!(力説)

序盤はまだ脱走した囚人たちと殺し合う
エピソードが多かったですね。

まずは熊撃ち猟師でレタラを狙う二瓶鉄造。
(にへい てつぞう)
倒したヒグマは200頭越え。

助けられた谷垣に口癖「勃起!」が
移ってしまう影響力がありました。
大塚明夫さんに何言わせてんだ)

殺人犯とはいえ、動機は理解の範囲内だし
豪放磊落で愉快なオヤジでした。

最期に谷垣がマタギの言葉で送るシーンは
しんみりしました。

二瓶が連れていた猟犬・リュウはすっかり
準レギュラーになっていて、あちこちで
活躍していますね。

そして変態殺人鬼・辺見和雄。

アニメ版の声は関俊彦さんで、温和で気弱そうな
中に狂気が同居する最高の辺見でした。

なんで作者の自画像辺見なの……?

アニメといえば股間が輝く演出もすごかった。

杉元と殺しあってる最中にシャチに攫われた時は
読んでて声が出てしまい、電車内とか外で
読んでなくて良かったと思いました。

オソマを我慢して脂汗かいてるアシリパさんの
変顔可愛い。

(この作品の魅力の一つに、表情の絶妙さも
あると思います)

ニシン御殿にピアノが置いてあったりと
当時ニシン漁がどれだけ儲かっていたか
さりげなく時代背景が描かれるのもいいですね。

鶴見中尉、ピアノ弾けるんだ……。

単独行動する囚人ばかりでなく、元新撰組
土方歳三はある目的のため、他の囚人たちを
仲間に引き入れようとします。

「いくつになっても男子は
刀を振り回すのが好きだろう?」
中田譲治ボイス)

この一言で渋さとカッコよさと
お茶目さが表現されている素晴らしさ。

それだけ刀好きなのに、チカパシと一緒に
刀でチプタプしてるシーンはおじいちゃんと
孫のようで微笑ましかったですね。

続きはまたそのうちに。どのキャラも好きすぎる……!