『G戦場ヘブンズドア』(00~)は有名漫画家の
父親に反発する堺田町蔵(さかいだ まちぞう)が
転校先の高校で漫画家志望の長谷川鉄男と出会い
一緒にプロを目指すことになる
熱い漫画家マンガです。
序盤、町蔵は自分の家庭が壊れた原因として
父とマンガを憎んでおり、教室で描いていた
鉄男の原稿を破ってしまいます。
次の瞬間、鉄男ラブな凶暴ヒロイン・久美子に
殺されかけたものの
鉄男の静止で「一番大事なモノを出せ」という
ペナルティで済まされることに。
町蔵の大事なモノは自作の小説で
鉄男は「すごくいい」と褒めてくれます。
内心喜んだのもつかの間、今度は久美子は
原作担当として鉄男と組めと脅すのでした。
最初は渋々協力していたものの、マンガ制作を
通じてクラスメイトたちと仲良くなったり
鉄男や久美子との絆が深まっていきます。
しかし心の荒れ具合をストレートに出す
町蔵よりも、久美子や鉄男の方が
闇が深いことが分かってきます。
鉄男の父は漫画雑誌の編集長で
町蔵父(PN坂井大蔵)とは古いつきあい。
鉄男がマンガを描いたきっかけは、家に帰らない
父親の目をこちらに向けるためでした。
そのせいで母親が血を吐いて倒れることに……。
編集長は「漫画の鬼」のような人で
情け容赦なく鉄男や町蔵の希望を
押し潰してきます。
その後、鉄男と町蔵は賞を取るのですが
編集長に次は町蔵もマンガを描くよう命令されます。
町蔵は授賞式で出会った猪熊宗一郎の紹介で
漫画家・町田都のアシスタントとして
修行することに。
個性的な新人・ベテラン作家たちとの交流の中で
人間的にも作家としても成長していく町蔵。
それに魅かれていく久美子。
一方、1人マンガを描き続ける鉄男は
次第に壊れていき……。
町蔵も鉄男も久美子も、青臭さや深い喪失感を
抱えて迷走する姿に心揺さぶられます。
日本橋ヨヲコ作品は普通は照れが入って
避けがちなところを真っ直ぐに抉ってくる
印象ですね。
全3巻、18話とは思えないほどの
濃密な物語です!!