昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

江口夏実『鬼灯の冷徹』その2

鬼灯の冷徹のすごいところは
どんな小ネタや豆知識も、鬼灯様を中心に
据えることで、話の中に吸収できること。

例えば第一話、桃太郎ファミリーと対決した鬼灯様は
お供の動物たちを獄卒としてスカウトします。

※不喜処(ふきしょ)地獄は動物をむやみに
いじめたり捨てたりした者が落ち、
動物の獄卒たちから酷い目に遭わされる。

桃太郎は桃源郷にいる漢方の権威こと神獣・
白澤(はくたく)のもとで働きつつ、
薬学を学ぶことに。

鬼灯様が間に入ることで、日本の
おとぎ話キャラと中国の獣神に
繋がりができました。

(いいボケツッコミの師弟関係です)

白澤は酒と女が大好きなチャラ男で、
中身はだいぶオッサン。
あとファッションセンスが爺さんっぽい。

目が沢山ある牛ベースの獣が本体ですが
普段は人間の姿をしています。

真面目な鬼灯様とは馬が合わず、顔立ちが
似ていると言われるとお互い不愉快になります。

基本、冷静でどっしり構えている鬼灯様が
唯一大人げない対応をする相手が白澤です。

鬼灯様のキャラが揺るぎないだけに、
膨大なキャラとの関係性がくっきり際立ちます。

「かちかち山」の白ウサギ、芥子(からし
ちゃんも、元は桃源郷で働いていました。

普段は大人しく可愛いウサギですが「たぬき」の
一言で豹変します。

容赦ない性格が仕事に反映される者どうし、
鬼灯様とはとても仲良しで微笑ましい……。

一緒に猫又記者の小判さんのインタビューに
応えたり、ウサギ仲間の合コンに鬼灯様が
出たエピソード大好きです。

アニメでは種﨑敦美さんの可愛い声が
ハマっていて、実に素晴らしかった……!!

最近は狸娘の信楽太夫(しがらきだゆう)と
仲良くなってちょっと嬉しい。

桃太郎のお供の犬ことシロはすっかりレギュラー
キャラです。

素直で明るく、ちょっとおバカでトラブルを
引き起こすこともありますが
なんだかんだ鬼灯様は面倒見がいいので
可愛がられてますよね。

ピーチ・マキや座敷童ツインズ、唐瓜&茄子など
まだまだ語り足りないので続きはそのうちに。

鬼灯の冷徹 四 (モーニングコミックス)
 

 

鬼灯の冷徹(10) (モーニング KC)

鬼灯の冷徹(10) (モーニング KC)

 

 

江口夏実『鬼灯の冷徹』その1

鬼灯の冷徹(ほおずきのれいてつ 11~)
閻魔大王の第一補佐官、有能で厳格な鬼人・
鬼灯を主人公に、地獄の世界と住人たちを
コミカルに描くギャグ漫画ですです。
(ネタがネタだけにブラックコメディ?)

14年にアニメ化され、17・18年にも
分割で二期が放映されました。

本来「なんとなく怖いもの」だったり
宗教上の概念である地獄を「職場」と
したことで一気に親しみやすくなる
この発想が素晴らしい。

獄卒たちの仕事は主に罪人を苦しめることですが
職場や社会人あるあるのようなネタを
鬼やおとぎ話のキャラがやることで、
ギャップも生まれて効果倍増です。

ほぼ一話完結で、個性豊かな地獄の住人達に
対して、最強のツッコミ役が鬼灯様です。

目つきが怖く無口無表情、声は低音、金棒を
振り回す無敵の鬼人にして
実は動物好きでツッコミが時にオカンっぽく
趣味は植物?の巨大金魚草の栽培。

上司である閻魔大王にも容赦なく
「地獄一頑丈でヘコまない貴方を叩きながら
地獄の黒幕を務めるのが美味しいんじゃ
ないですか」

※念のため言っておきますが「鬼灯」という
名前をつけてくれたのは閻魔大王で、
二人は長いつきあいです。

閻魔大王に対してもこうだから、大半の人に
恐れられていますが、慕われてもいます。

シロや芥子ちゃんといるだけで何か和む……。
(二匹に関しては次回)

日本の地獄だけでなく、
中国における天国=桃源郷
ヨーロッパを担当するEU地獄などもあり

神獣や悪魔、歴史上の人物や妖怪、
おとぎ話のキャラクターなどが次々に
登場します。

この何でもアリ感もいいですね。

パロディも多用されており、真面目に調べようと
しても情報量が多すぎて大変な分野でも、
簡単に頭に入ります。

元ネタを知らなくても面白いし、

知っているとなお
「そういう解釈なのか……!!」と
楽しむことができます。

ギャグのノリやテンポは岡田あーみんとか
柴田亜美といった「強烈なキャラが
一斉に騒ぐ」「絶妙な言葉でのツッコミ」
タイプ。

続きます。

TVアニメ『鬼灯の冷徹』第弐期 公式ファンブック

TVアニメ『鬼灯の冷徹』第弐期 公式ファンブック

 

 

 

 

『仮面ライダーアマゾンズ』その1

仮面ライダーアマゾンズ(16~)
人間の姿で世に潜み、人を喰らう人工生命体
「アマゾン」を駆除するアマゾンという
異色の仮面ライダーの物語です。

シーズン1は16年、2は17年に
Amazonプライムビデオにて配信。

18年5月に劇場版『最後の審判』が
公開されました。

仮面ライダーアマゾン
原典ですが、アマゾンという単語、腕輪、
バイクなど共通点はあっても完全に別物です。

一期のあらすじを大雑把に説明すると
主人公の青年・水澤悠(みずさわ ゆう)は病弱で
母と妹の美月、たまに来る医者以外とは
顔を合わせることもない日々を送っていた。

ある日、自己注射を嫌がって打たなかったことで
衝動に駆られて外へ出る。

そこでアマゾン狩りをする「駆除班」と
仮面ライダーアマゾンアルファ・鷹山仁
(たかやま じん)たちの戦いを目にした悠は
自らも仮面ライダーアマゾンオメガへと
変貌を遂げるのだった。

何も知らない悠を、仁は恋人の
七羽(ななは)の元に連れて行く。
(ここでベルトも貰う)

七羽も仁も味方が欲しかったのだが、
悠は駆除班の一員になることを選択する。

※駆除班はノザマ製薬という大手企業に
雇われていて、悠の母はそこの役員。

 

アマゾンは本来人間で、ある事故により
ノザマ製薬の開発した「アマゾン細胞」に
感染したこと、

仁は「アマゾン細胞」開発に関わっていた
元研究者で、責任を感じて自らアマゾンを
駆逐しているのが本編のバックストーリーです。

アマゾンは全て滅ぼすというスタンスの仁に対して
悠は(未覚醒アマゾンなど)「守りたいものを守る」という
覚悟を決め、それが勝手な自己満足であることも
受け入れます。

 

駆除班メンバーとも打ち解け
仲間意識も芽生えていく中、

無邪気な弟分の立ち位置だった、モグラアマゾンの
マモルが知らずに人肉を口にしてしまう……。

容赦なくグロいシーンが連続するため
苦手な人にはおススメできませんが
名作であることは間違いありません。

アマゾンマンション、アマゾンレストランとか
ホラー以外の何物でもない……。

続きはまた後日。

 

 

河惣益巳『ツーリング・エクスプレス』その2

『ツーリング~』で魅力的なキャラは
シャルルとディーンだけではありません。

シャルルの養父で上司でもあるエド
通称「鬼のエドアール」

正義感の強い有能な警部で、部下や他国の警察機関からの
信頼も篤く、ディーンからも一目置かれてます。

亡き妻・脚本家のフランとの純愛も素晴らしい
ギャップでした。

フランは本編開始時点で既に亡くなっていますが
回想シーンや彼女に関わりのある人々が次々に
登場するため、強烈な存在感を放っていました。

女優よりも美しい天才脚本家、取り巻きは皆
成功者で、夫も含めて今なお深く愛されており

性格は男前、人脈も豊富……。

この容赦ないプラス要素の盛り方が
昭和らしくて素敵です。

もう一人はシャルルの叔父(亡き実母の弟に
あたる)ジャーナリストのリュシー。

役割的には情報提供者で、シャルルを
甘やかしたり諌めたりと兄のような立ち位置。

(ゲイですがシャルルとは純粋に家族愛です)

そういえばシャルルが首相のボディガード兼
通訳でソ連に行った
「ロシアン・エクスプレス」編では

シャルルがディーンとリュシーに何度も
怒られてました。

子供の頃は「そこまで神経質に
ならんでも……」と思ってましたが

ソ連がどういう国かわかった上で読むと
シャルルの考えなしの行動に冷や汗ものです。

「ロシアン~」では暗殺の標的が、直前で
すり替えられたことに気づいたディーンが

替え玉を指示した若い将校ごと
本物の標的を見事一発で仕留めるという
ハードボイルドな場面がありました。

(将校はあえて殺さないのがイイ性格です)

断られましたが、各国の情報機関が揃ってディーンに
カダフィ大佐の暗殺を依頼したこともありました。

そんな男が案外ロマンチストで、
シャルルのところにはボルサリーノにスーツ姿で
バラの花束とお菓子を持って現れるって
実に昭和の乙女のロマンです……。

少女マンガ的「甘さ」とハードボイルドの
「苦み」が絶妙にマッチした作品でした。

章ごとに完結する話なので、
どこから読んでも問題はありません。

続きはまた後日。

 

 

河惣益巳『ツーリング・エクスプレス』その1

『ツーリング・エクスプレス』(81~)
ヨーロッパを舞台に、ICPOパリ本部の
青年刑事シャルルと、凄腕の殺し屋
ディーン・リーガルとの禁断の恋を描く
ハードボイルド風少女マンガです。

ヨーロッパ共同体がECで、主な悪役が
KGB赤軍テロリストの時代です。

※EU誕生は93年

二人の出会いは第一話。

スイスに主張中のシャルルは
帰りの列車の切符が二重売りになっていたため
先に乗っていたディーンと同じ部屋で
過ごすことに。

シャルルは実は囮(とは知らされず)で、
彼が持つマイクロフィルムをエサに
犯人をおびき出す作戦でした。

偶然乗り合わせていたディーンは
犯人逮捕に協力し、見事な銃の腕を見せます。

それを知ったシャルルの上司兼養父のエド
青くなって正体を教えるオチでした。

以降、シャルルとディーンはどこへ行っても
偶然顔を合わせるようになります。

シャルルは金髪碧眼、女装も違和感なしで
天使のようと言われる心優しい美青年。

戦闘力は今一つでも頭脳は明晰。

ただしよく迷子になってはディーンに
助けられてましたが……。

ディーンは長身で銀髪に暗い蒼の瞳の
北欧系美形。あと両刀使い。

傲慢で気難しい男ながら、シャルルには
優しい顔を見せてくれます。

シャルルはディーンが殺し屋と
分かった後も無邪気に慕い、
一緒に出歩いてはエドに怒鳴られます。

出張中の刑事がのんきに観光してる
場合かというツッコミは野暮というもの。

まだネットもなく、海外旅行が珍しい時代
シャルルの視点を通じて、当時の読者は
憧れの世界を楽しんでいたのです。

パリ、スイス、オランダ、ソ連、ドイツ、
スペイン、イタリア、香港(当時英領)、トルコ

クルーザーで過ごすクリスマスとニューイヤー、
モナコのカジノにF1、カード占いのジプシー娘……。

ヨーロッパのロマン溢れる夢を
フリルと花で飾りつけて魅せてくれたのが
この作品でした。

エドとフランが結婚式を挙げたのは
ノートルダム寺院でしたね……(泣)

 続きます。

 

平野耕太『ドリフターズ』その2

ドリフターズの魅力の一つはキャラクター。
どいつもこいつも強烈で、その中でも
突出して濃いのが主人公のお豊。

口癖が「首おいてけ」の薩人マシーン。

薩摩弁なのは素朴さとマイペースなキャラ立て
効果もあるのでしょうが、めっさ可愛い……。

常に死と隣り合わせの戦国武将が
普通の人間と感覚が違うのは当然とはいえ

お豊の「自分の命を放り投げて突進する」
行動はやはり頭がおかしい。

しかし決して猪武者ではなく
敵の力量や突進のタイミングを見極める
冷静な判断力もある。

「徹底して空気は読まない」と言われてますが
下手に読んで相手に呑まれるくらいなら、
度肝抜いた方が戦には有利でしょうね。

だからって初対面でジャンヌに
「お前は男か 女か」と
特大の地雷を踏み抜かなくても……。

(勿論あのジャンヌ・ダルクです)

個人的にはドワーフたちを救出した回で
飢えている彼らに食事を与え、敵に対して

「今、飯ば食うちょる」

 「今逃げんと 飯ばすんだら
皆殺しになっど」

食事中という「隙」をあえて相手に伝えることで
猶予を与えているような余裕を見せる。

敵は完全に恐怖に駆られてしまいました。

与一も感心してましたが
これはお豊の指揮官としての有能さが
際立つエピソードです。

なお敵の指揮官には「腹を切れ、介錯してやる」
そんな慣習のない相手が拒否すると

「腹召す器にあらず」とバッサリ
首を切り落とす身勝手さ。

それでいて逃げた兵士たちを追い討つ必要は
ないと与一に釘を刺す。

お豊「助けるち言うた 違えば無しじゃ」

与一「つい昔のクセで……
そんな事ばっかりやらされてたんで……」

お豊「もうやらされば無か 
こいは我らの戦じゃ」

(意訳)「もうそんな嫌なことはしなくていいんだ」と
言われた与一の表情が実にいい……!!

めちゃくちゃな言動なのに優しい一面も
賢いところも見せる不思議な男、お豊。

ヒラコ―節の台詞回しも最高で
とにかく大好きです!!

でもつきあわされるお師匠様には同情するネ♪

まだまだ語り足りないですが、また後日。

ドリフターズ 3 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 3 (ヤングキングコミックス)

 

 

平野耕太『ドリフターズ』その1

ドリフターズ(09~)は主人公・
島津豊久をはじめとする古今東西の歴史上の
人物が、エルフやドワーフが存在する
ファンタジー世界に召喚されて闘う、
異世界バトルものです。

略称は『ドリフ』
16年にアニメ化しました。

誰だ最初に「戦だヨ!全員集合」って言ったの……。

序盤は関ヶ原から始まります。

撤退する島津軍を逃すため、殿(しんがり)を
務めた豊久は、重傷を負ったまま
奇妙な空間に迷い込みます。

沢山のドアが両側にある廊下の中央では
謎の男「紫」が役人のような風体で書類にサインし
訪れた人間の行先を決めているようでした。

異空間に呑み込まれ、倒れている豊久を
エルフの少年たちが森の奥の「廃城」まで
運んでくれます。

そこには織田信長那須与一がいて……。

異世界で戦う話も、歴史上の有名人たちが
時代や国に関係なく集まる話も沢山ありますし

主人公を助けたために権力者を怒らせてしまい
危機に陥る少年たちのもとに、
主人公が恩に報いようと駆けつけると
いうのは王道の展開です。

しかしこの作品が他と大きく異なるのは
キャラそれぞれの価値観の違いがはっきりと
描かれていること。

信長「よーし じゃあ 
むらを とりにいくか」

助けるのではなく、エルフの村の危機を
国奪り(くにとり)の好機と捕えます。

豊久は敵にいきなり襲いかかって殺戮しまくり
指揮官とみなした男に

豊久「首置いてけ なあ 大将首だ!!
大将首だろう!? なあ大将首だろお前」

首を取る=手柄という戦国武将らしい価値観。
共有していない人から見たら恐怖ですよ。

「妖怪首置いてけ」なんてあだ名もつくわけです。
普段の呼び名は「お豊」

「紫」の目的は、敵対している謎の少女
「EASY」が選んだ廃棄物の王
「黒王」が人類を滅ぼそうとしているので

人々を助けるためなのですが、
紫の思惑通りに動く連中ではありません。

紫が呼んだ側が「漂流者」(ドリフターズ
EASYが呼んだ側が「廃棄物」(エンズ)です。

語り切れないので続きます。

ドリフターズ 1 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 1 (ヤングキングコミックス)