昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

河惣益巳『ツーリング・エクスプレス』その2

『ツーリング~』で魅力的なキャラは
シャルルとディーンだけではありません。

シャルルの養父で上司でもあるエド
通称「鬼のエドアール」

正義感の強い有能な警部で、部下や他国の警察機関からの
信頼も篤く、ディーンからも一目置かれてます。

亡き妻・脚本家のフランとの純愛も素晴らしい
ギャップでした。

フランは本編開始時点で既に亡くなっていますが
回想シーンや彼女に関わりのある人々が次々に
登場するため、強烈な存在感を放っていました。

女優よりも美しい天才脚本家、取り巻きは皆
成功者で、夫も含めて今なお深く愛されており

性格は男前、人脈も豊富……。

この容赦ないプラス要素の盛り方が
昭和らしくて素敵です。

もう一人はシャルルの叔父(亡き実母の弟に
あたる)ジャーナリストのリュシー。

役割的には情報提供者で、シャルルを
甘やかしたり諌めたりと兄のような立ち位置。

(ゲイですがシャルルとは純粋に家族愛です)

そういえばシャルルが首相のボディガード兼
通訳でソ連に行った
「ロシアン・エクスプレス」編では

シャルルがディーンとリュシーに何度も
怒られてました。

子供の頃は「そこまで神経質に
ならんでも……」と思ってましたが

ソ連がどういう国かわかった上で読むと
シャルルの考えなしの行動に冷や汗ものです。

「ロシアン~」では暗殺の標的が、直前で
すり替えられたことに気づいたディーンが

替え玉を指示した若い将校ごと
本物の標的を見事一発で仕留めるという
ハードボイルドな場面がありました。

(将校はあえて殺さないのがイイ性格です)

断られましたが、各国の情報機関が揃ってディーンに
カダフィ大佐の暗殺を依頼したこともありました。

そんな男が案外ロマンチストで、
シャルルのところにはボルサリーノにスーツ姿で
バラの花束とお菓子を持って現れるって
実に昭和の乙女のロマンです……。

少女マンガ的「甘さ」とハードボイルドの
「苦み」が絶妙にマッチした作品でした。

章ごとに完結する話なので、
どこから読んでも問題はありません。

続きはまた後日。