『ツーリング~』で魅力的なキャラは
シャルルとディーンだけではありません。
正義感の強い有能な警部で、部下や他国の警察機関からの
信頼も篤く、ディーンからも一目置かれてます。
亡き妻・脚本家のフランとの純愛も素晴らしい
ギャップでした。
フランは本編開始時点で既に亡くなっていますが
回想シーンや彼女に関わりのある人々が次々に
登場するため、強烈な存在感を放っていました。
女優よりも美しい天才脚本家、取り巻きは皆
成功者で、夫も含めて今なお深く愛されており
性格は男前、人脈も豊富……。
この容赦ないプラス要素の盛り方が
昭和らしくて素敵です。
もう一人はシャルルの叔父(亡き実母の弟に
あたる)ジャーナリストのリュシー。
役割的には情報提供者で、シャルルを
甘やかしたり諌めたりと兄のような立ち位置。
(ゲイですがシャルルとは純粋に家族愛です)
そういえばシャルルが首相のボディガード兼
通訳でソ連に行った
「ロシアン・エクスプレス」編では
シャルルがディーンとリュシーに何度も
怒られてました。
子供の頃は「そこまで神経質に
ならんでも……」と思ってましたが
ソ連がどういう国かわかった上で読むと
シャルルの考えなしの行動に冷や汗ものです。
「ロシアン~」では暗殺の標的が、直前で
すり替えられたことに気づいたディーンが
替え玉を指示した若い将校ごと
本物の標的を見事一発で仕留めるという
ハードボイルドな場面がありました。
(将校はあえて殺さないのがイイ性格です)
断られましたが、各国の情報機関が揃ってディーンに
カダフィ大佐の暗殺を依頼したこともありました。
そんな男が案外ロマンチストで、
シャルルのところにはボルサリーノにスーツ姿で
バラの花束とお菓子を持って現れるって
実に昭和の乙女のロマンです……。
少女マンガ的「甘さ」とハードボイルドの
「苦み」が絶妙にマッチした作品でした。
章ごとに完結する話なので、
どこから読んでも問題はありません。
続きはまた後日。