昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

ヨシノサツキ『ばらかもん』

ばらかもん(08~)は長崎・五島列島
舞台に、東京からやって来た若き書道家
半田清舟と地元の人たちとの交流を描いた
ほのぼのでコミカルなマンガです。

ばらかもん」は方言で元気者という意味。

14年にはアニメ化しました。

先日最終巻の18巻が出たので記念に語ります。

主人公の半田清(清舟は雅号)は、ある受賞
パーティで「つまらない字だ」と批判した
館長を殴ってしまい、

父の命令で望まぬ島暮らしになったため
序盤、頑なで大人げない態度を取ります。

しかし、新たな住まいとなった家を元々
たまり場にしていた子供たち

特に小学一年生の女の子・琴石なるに懐かれ
彼女の素直さや無邪気さに

(そしてイタズラに翻弄されつつ)

少しずつ意固地な部分が取れ
丸くなっていきます。

最初は生きた魚を触れず、虫におびえるほどの
典型的な都会っ子で

距離の近い田舎の人々に、何かと困惑したり
することも多かったのが

次第になじみ、面倒見の良さを発揮して
子供たちの書道の先生にもなる
半田先生の成長物語であり、

自分の型にはまった字に行き詰まりを見せていた
書道家・半田清舟が新たな作風を得る物語でも
あります。

(館長を殴ったのは図星だったから)

五島列島は作者の故郷らしいので、
田舎暮らしの良さと、デメリットも
バランスよく書かれています。

だから田舎出身の私から見ても、
決して絵空事じゃないリアリティがあります。

登場人物たちは半田先生に何かと世話を焼いたり、
気を遣う時はあっても、決して都合のいい
善人というだけの存在ではありません。

困った部分も多く、それでいて人間味に溢れた
キャラクターたちに苦笑しつつも愛おしい、
そんな作品です。

半田先生自身も負けず嫌いで意地っ張りで
面倒くさい人ですが、

ピュアで努力家で、どこか抜けているのが
可愛いげがあるため、皆世話を焼くんだろうと
納得できます。

それは島の人々だけでなく、家族は勿論、
友人で仕事相手の川藤くんにも言えます。

他のキャラに関してはまた次回。

ばらかもん(1) (ガンガンコミックスONLINE)

ばらかもん(1) (ガンガンコミックスONLINE)

 

 

『仮面ライダーエグゼイド』花家大我

本日12月27日は仮面ライダースナイプこと
花家大我役、松本享恭さんの誕生日です。
めでたい!!!

というわけで今日は花家大我(はなや たいが)
について語ります。

時系列的には最初のドクターライダーで
患者の一人・百瀬小姫を救えず、消滅させて
しまったことで

その恋人・鏡飛彩に恨まれ

医療ミスとして医師免許剥奪、更に戦闘の
後遺症で体にもダメージを負い、
大我は全てを失います。

更に友人で同期の牧まで消滅するという
(このエピソードはブルーレイ特典)

重いバックストーリーを背負っての登場のため、
序盤はすっかりやさぐれてる印象。

他のライダーたちに対しても協力どころか
「オレが勝ったらお前のガシャットよこせ」
と変身アイテムを奪おうとしたり

倒すべきバグスターを人質にとってライダーたちに
勝負を挑んでくるなど厄介な相手でした。

しかしそれらは「戦って傷つくのはオレだけでいい」
という意味であったことが徐々に明らかになります。

大我の真意が見えてくるのは、12話で美少女
女子高生ゲーマー・西馬ニコが登場してから。

「永夢をぶっ倒して」と大我のもとを訪れた
生意気なニコに対する面倒見のよさで

(こいつ悪ぶってるけどイイ奴なんじゃ……)
と視聴者に伝わるようになります。

その後大我は遊園地のお化け屋敷が苦手だとか
可愛い一面を見せはじめ、

27話で大ゲンカの後、ニコに本音を打ち明けます。

「こんな俺を主治医と呼んでくれた……嬉しかった」
は名場面です!!!

33話では飛彩が消滅した恋人を復活させるという
条件で敵側に回ってしまうのですが

願いが叶わず憔悴していく飛彩のために無茶をして、
大我は瀕死の重傷を負ってしまいます。

確執のあった大我を救うべく医者に戻る飛彩先生と
遂に和解する二人……朝から号泣モノでした。

最終回まで観た後、一話からまた視聴すると
大我の態度にニヨニヨできます。

不器用で頑なでツンデレなめんどくさい
ポエマーですが、言いたいことはただ一つ。

大好きだ!!幸せになれ!!!

 

 

青池保子『イブの息子たち』その2

3人が召喚される世界は男と女が分かれて
暮らしており、

天国と地獄、ソドムとゴモラなど
名前はそれぞれですが

常に仲が悪いため、ふとしたきっかけで
戦争になるのがお約束の流れでした。

変態だらけの世界でも、常識人の美形もいて
ヤマトタケル森蘭丸、アポロ、シンドバッドや
高杉晋作ジークフリートなどそれぞれ魅力ある
キャラでした。

※例の黒髪アラブゲリラはシンドバッドです。
別の名前などありません!!!!(強調)

毒薬マニアの「端役」の正体に大分後になって
気づいた時はあれがアハ体験か!と思いました。

アポロとヒースが一緒にピアノリサイタルを開くも
音楽の趣味が合わずケンカになった後、

ラストに互いの好きな曲を別の世界で弾く場面は
認め合う感じがたまらない名場面です。

しかし70年代に主役格のイケメンの特徴に
「胸毛」ってのも画期的すぎる……。

あと常にさらわれる立場だったジャスティンが、

ソドムとゴモラ編では一人バージルを助けに行く
エピソードも好きです。よく頑張った!!

このハチャメチャな世界と同時進行で
エロイカより愛をこめて』が生まれ、
(ここまではわかる)

更にどシリアスな『エル・アルコンーー鷹ーー』が
連載されてたとか、青池先生の頭の中は
一体どうなってるんだろう?

エロイカ』のジェイムズくんに
ヒースが振り回されたり

少佐とバージルの目力合戦の果てに、
バージルが動物園のゴリラを相手に特訓して
「ゴリラおとし」と呼ばれるようになります。

3作のキャラが一同に会するお話もあるのですが、
ニジンスキーが間近にいても動じない
ティリアンすごい……。

しかし一番すごいのは、これだけ悪ふざけを
詰め込んだ世界を描いてさえ、

古今東西の歴史・文学・詩などに精通していることが
わかる青池先生の知識でしょう。

24年組辺りの大ベテランたちの
ボキャブラリーや台詞回しの素晴らしさは
やはり優れた古典教養がしっかり身についている
からではないかと思うのです。

 

イブの息子たち 3 (プリンセス・コミックスα)
 
イブの息子たち 2 (プリンセス・コミックスα)
 

 

青池保子『イブの息子たち』その1

『イブの息子たち』(75~)は、
人気歌手のジャスティン、詩人のバージル
ピアニストのヒースの三人が
男だけの異世界に召喚されて大変な目に遭う
ドタバタコメディです。

一言でいうと
華麗なるカオスの極み

ジンギスカンと大仏が合体し
聖徳太子が札束を飛ばし、

(※当時の一万円札は聖徳太子だった)

北条政子が巨大化して尼将軍ならぬ
アマゴジラと化し、

ヤマトを思わせる宇宙戦艦ムサシの
エプロンの下には大仏の巨大唇がついている……。

本当にこのままなんです!!

序盤、ある日3人は変な天使ドジエルから
「お前たちは男でも女でもない。
天使のミスで作られた、男しか愛せない
ヴァン・ローゼ族」と言われ、連れ去られます。

異世界召喚もの」であり、

ヤマトタケルVSジャンヌ・ダルクなど古今東西
偉人英雄がその世界で戦う。

・BLも百合もアリ。
・主人公は何もしなくてもモテモテ。

こう書くと今時のラノベみたいですが、
70年代の作品なんだから
青池先生の偉大さがわかろうというもの。

もっとも、モテモテとは言ってもキワモノ揃いで
自分から美形を口説きにいく百戦錬磨のゲイ、
バージルはともかく

「ゲテモノ受けする」と作中でも断言されてる
ジャスティンはノーマルなのに常にさらわれ、襲われ、
男からも女からも狙われます。

まともに女の子と恋愛したかと思えば悲恋に
終わったり、実は女装した男だったりと可哀想なことに。

ヒースに至っては、ニジンスキーという
白鳥に変身する、常に苦悩している変態に
惚れられてつきまとわれます。

(白鳥の姿はサッポーの呪いを受けたせいです)

このニジンスキーが『イブの息子たち』を
忘れられない作品にしている元凶……いや、
最高に個性的なキャラクターなのですが

彼の印象が強すぎて、モデルである本物の
天才バレエダンサー・ニジンスキーにまつわる
作品を見ても

「ヒース、わたしを見て……」
「苦苦苦、快感……」がよぎってしまう副作用が。

語りきれないので次回へ続きます。

 

イブの息子たち 1 (プリンセス・コミックスα)
 

 

『仮面ライダードライブ』その2

本日12月24日は泊進ノ介こと進兄さんの
誕生日です、おめでとう!!

11話で霧子に誘われて(特状課の忘年会兼
クリスマスパーティ兼お誕生日会)デートと
カン違いする進兄さんの青さがまぶしい……。

本来もう少しクールな大人のはずが、演じる
竹内涼真さんに合わせて青臭い熱血漢に
なったとムック本にあります。

しかしそんな進ノ介だからこそ、ロイミュード
たちと後に共闘できたのではないでしょうか。

三条脚本の特徴として、ライバル格の敵キャラは
美学を持った尊敬できる相手であることが多く、

ハート、ブレン、メディック、魔神時代のチェイス
本当に魅力的に描かれていました。

その代りゲスなキャラは本っ~~~~当に嫌な奴で
中盤、進ノ介の父を殺したことが判明する仁良や
ラスボスに当たる蛮野などは容赦なく悪党です。

この蛮野の子供が、ヒロインの詩島霧子と
二号ライダー・マッハこと詩島剛です。

剛は父親がロイミュードに殺されたとして
(間違ってはいない)全てのロイミュードを憎み、

ベルトさんが正義側として造ったチェイスさえも
嫌悪していました。

蛮野はそんな息子の心を利用しますが、
結局は剛とチェイスの熱い友情パワーに討たれる
ことになります。(超名場面です)

そして蛮野こそ真の悪、としたことで進ノ介と
ロイミュードたちは共闘します。

ドライブ主題歌『SURPRISE-DRIVE』をカラオケで
入れると、クライマックスでハート、メディックと
3人のライダーが並び立つ映像が出て

その辺りで涙腺が緩むのに、名場面ばかり入れおって
歌わせたいのか泣かせたいのかはっきりしろ!!
でもありがとう!!

また、コミカルなシーンもとても微笑ましく

チェイスが進ノ介に「霧子を愛しているのか?」と
訊いた際に進ノ介が動揺しまくってベルトさんに
恋愛相談をし、

「私、ベルトだよ!?」と慌てて返されるシーンが
大好きです。

剛や霧子やロイミュードたちなど
まだまだ語り足りないのでそのうちまた。

 

昭和の局地的流行4 厳しい風紀委員

昭和の頃は今より校則が厳しかったこともあり
マンガの中にも取り締まり役の「風紀委員」が
よく登場しました。

美内すずえ『聖アリス学園』(76)では
一般生徒には厳しく、

「貴族」と呼ばれる一部のエリートの
違反は見て見ぬふりの嫌な奴らとして描かれ、

こいわ美保子『真夜中のシンデレラ』でも
ハーフの瑠璃の髪を「こんなに赤く染めちゃって……」と
絡まれるシーンがあります。

だいたい敵役か、真面目すぎて融通の利かない
キャラとして描かれており、

徳弘正也『シェイプアップ乱』(83)では
長髪の左京くんがセーラー服を着て髪を
結んでいたら検査する風紀委員がスルーで、

ハゲの先生に「剃りこみは禁止」と
ダメ出しするギャグ場面がありました。

作品中で重要なキャラとして描かれているのは
蛭田達也コータローまかりとおる!(82~)
で、

ヒロインの渡瀬真由美とライバルキャラの
天光寺輝彦が風紀委員で、コータローの
長髪を切ろうと年中追いかけ回していました。

こちらは巧太郎の方がフリーダムすぎる
キャラなので、この二人がツッコミ役も
兼ねています。

風紀委員でなくても『あいつがHERO!』では
教師がジョーの髪を切ろうとハサミを
振り回すシーンがあり、

当時生徒の人権など髪の毛ほどもなかった
ことが伺えます。

平成以降はあまり髪型・服装でうるさく
言うことはなくなりましたが
マンガの中では風紀委員は健在です。

『勇者司令ダグオン』(96~)では
メインキャラの一人・広瀬海が学園の風紀委員長で
常に竹刀を持って生徒たちを取り締まっていました。

『家庭教師ヒットマンREBORN!』(04~)の
雲雀恭弥トンファー使いの風紀委員長兼不良。

「噛み殺すよ」が口癖の
戦闘狂キャラとして描かれており、

下ネタという概念が存在しない退屈な世界
(12~)の風紀委員兼アンナ会長の護衛、
月見草朧は自分の意志を持たないような機械的
キャラとして描かれました。

日教組の管理教育が逆手に取られ、面白いマンガや
キャラがこの世に生まれたのかと思うと
実に痛快ですね!

佐々木倫子『動物のお医者さん』その2

動物のお医者さんには魅力ある
キャラが揃っていて

主人公・ハムテルはツッコミ役の常識人枠。

とはいえだいぶマイペースな人で、

「じいさんっぽい落ち着き」と漆原教授に
ノローグで評されています。

顔は怖いけど温和な性格のチョビとは
相性ピッタリで、漆原教授は流石に慧眼です。

ハムテルの言動に対してのツッコミは
同級生の二階堂の役回りです。

ハムテルが表情や言葉に出さないため
代わりにリアクションしているのかも。

獣医を目指しているのに極端なネズミ嫌い。

嫌いすぎて教科書のマウスの写真に
「私はリス しっぽをそられたの」と
書き込むほど。
(しかもページはテープで閉じてある)

「まさか受かるとは思わなかったんだ」
「なら第一志望に書くなよ」

とのやり取りで済まされましたが、
人生の重要な選択がそんなノリでいいのか……?

ドラマ版二階堂は要潤で(学ラン姿以外)素晴らしくハマってました。

ハムテルのおばあさん、西根タカさんも
濃いキャラです。

いつも着物姿で趣味は園芸、三毛猫の
ミケを可愛がっている上品なおばあさんなのに

ハムテルを振り回すフリーダムなところがあり
たまに困ることがあっても

(孫が獣医学部に受かったと言いふらしてたら
卵の詰まった文鳥を持ち込まれた)

本当になんとかした挙句に調子に乗っちゃうあたりが
すごいキャラだ……。

 ミケのセリフは関西弁で書かれるのが
不思議と似合っていましたね。

猫たちの間では「姐さん」キャラで通っていて

誰にでも噛みつく猫・ガブリエルが
ミケの元に行儀見習いに来た回など、
猫や犬が主役のエピソードも多数ありました。

基本的にはチョビとミケ、凶暴ニワトリの
ヒヨちゃん、スナネズミ一家と西根家ペットの
出番は多いですが

ハムテルの同期・清原くんの犬の平九郎や

「オレはやるぜ」でお馴染み、犬ゾリ話に
登場するハスキー犬のシーザーなど

他にも多数の動物やエピソードが登場します。

今見ても十分面白いので、世代でない人も
動物好きにはぜひ読んでほしい名作です。