『ばらかもん』(08~)は長崎・五島列島を
舞台に、東京からやって来た若き書道家、
半田清舟と地元の人たちとの交流を描いた
ほのぼのでコミカルなマンガです。
「ばらかもん」は方言で元気者という意味。
14年にはアニメ化しました。
先日最終巻の18巻が出たので記念に語ります。
主人公の半田清(清舟は雅号)は、ある受賞
パーティで「つまらない字だ」と批判した
館長を殴ってしまい、
父の命令で望まぬ島暮らしになったため
序盤、頑なで大人げない態度を取ります。
しかし、新たな住まいとなった家を元々
たまり場にしていた子供たち
特に小学一年生の女の子・琴石なるに懐かれ
彼女の素直さや無邪気さに
(そしてイタズラに翻弄されつつ)
少しずつ意固地な部分が取れ
丸くなっていきます。
最初は生きた魚を触れず、虫におびえるほどの
典型的な都会っ子で
距離の近い田舎の人々に、何かと困惑したり
することも多かったのが
次第になじみ、面倒見の良さを発揮して
子供たちの書道の先生にもなる
半田先生の成長物語であり、
自分の型にはまった字に行き詰まりを見せていた
書道家・半田清舟が新たな作風を得る物語でも
あります。
(館長を殴ったのは図星だったから)
五島列島は作者の故郷らしいので、
田舎暮らしの良さと、デメリットも
バランスよく書かれています。
だから田舎出身の私から見ても、
決して絵空事じゃないリアリティがあります。
登場人物たちは半田先生に何かと世話を焼いたり、
気を遣う時はあっても、決して都合のいい
善人というだけの存在ではありません。
困った部分も多く、それでいて人間味に溢れた
キャラクターたちに苦笑しつつも愛おしい、
そんな作品です。
半田先生自身も負けず嫌いで意地っ張りで
面倒くさい人ですが、
ピュアで努力家で、どこか抜けているのが
可愛いげがあるため、皆世話を焼くんだろうと
納得できます。
それは島の人々だけでなく、家族は勿論、
友人で仕事相手の川藤くんにも言えます。
他のキャラに関してはまた次回。