昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

池野恋『ときめきトゥナイト』その1

ときめきトゥナイト(82~)は
吸血鬼と狼女のハーフの主人公・江藤蘭世(えとう らんぜ)が
人間の男の子・真壁俊に恋するラブコメものです。

同年にアニメ化もされました。
EDで蘭世が黒マントの下は全裸で踊る姿は
今でも語り草になっています。

一言で説明すると
ときめきトゥナイト』には乙女の夢が詰まってる。

当初は真壁くんの幼なじみ・神谷曜子も
含めた三角関係のさや当ての中で

魔界人に生まれながら何の能力も持たなかった
蘭世が「かみついた相手に変身する」能力に目覚め

鳥やネコに変身して真壁くんに近づいたら
くしゃみで戻ってしまうため大ピンチに、とか

過去に行ける扉や、願った場所へテレポート
できる池、

夢の中に入る呪文が
「チョイトオジャマイタシマス」の逆読みとか
コミカルで楽しいノリでしたが

蘭世を気に入った魔界の王子アロンも加わり、
次第に話は壮大かつシリアスな方向へ……

そもそも何故、蘭世の両親が人間界に住んでいたかと
いうと「魔界と人間の世界をつなぐ扉」の
管理人というだけでなく、

密かに「人間界にいる王子を探せ」という
魔界の大王の命令を受けていたからでした。

調査は遅々として進みませんでしたが
ある日、真壁くんこそが探していた王子であり
アロンの双子の兄なのが発覚します。

①「こんなことできたらいいな」のお手軽な
呪文や能力や便利アイテム。

②恋した人は訳ありの王子様で、双子の
弟王子からも求婚される。

結局親子は和解し、めでたしめでたしですが
平和になったのもつかの間でした。

次なる敵・冥王ゾーンが復活し、その際

③二千年前にも蘭世と俊は恋人どうしで
その時も俊は王子様だった。

④その子孫である危険な香りの大人の男・
東欧マフィアのボス、ダーク=カルロが
蘭世を気に入って壁ドンプロポーズ!!!

100万乙女のバイブル「りぼん」の看板に
相応しいロマン溢れる設定だと思いませんか!!(力説)

カルロ様が死んだ時はショックでねぇ……。

書き足りないのでまた次回。

 

 

冨樫義博『幽・遊・白書』その2

今日は桑原くんの魅力を語ろうと思います!

決して美形キャラではない、
けどものすごく男前な人です。

90年代はヤンキーものや族ものマンガが多く、
桑原くんも髪型やセンスはそれっぽいんですが

勉強も好きだし人一倍優しいし、
「教師からは不良扱いされてるけど
雨の日に捨て猫とか拾ってくる」タイプの
昭和の理想の番長像ですよコレは。

実際に「番格」と言われながらも人質ならぬ
猫質で悪い奴の命令に従ったことがありました。

(万引きしろと言われたが、レシートが
見つかって買ったのがバレた)

逆に言えば他校の、むしろ嫌われている相手にも
ケンカは強いがお人よしだと認識されていると
いうことでもあります。

コエンマの指令で、幽助と桑原くんの二人で
雪菜ちゃんを助け出した際

「人間全部を嫌いにならないでくれ……たのむ……」

涙(=宝石)目当てに彼女が垂金にひどい仕打ちを
受けていたのを知ってこの一言。

先に雪菜ちゃんの画像で一目惚れしており、
だからこそ幽助につきあって来たのに
口説くとかアピールもなしにこの台詞が出る。

いい男ですよ……!!!としか言えない!!

戦歴は負けも多いのですが、その敗北は
だいたい幽助の勝利に貢献しています。

(乱童や戸愚呂弟戦など)

ギャグにせよシリアスな場面にせよムードメーカーで
彼の一言で場が和んだり、大事なことを教えて
くれたりします。

「ムカつくまんま暴れるだけなら、
奴らと変わんねーぜ。

キタネェ奴らにも筋通してから勝つから
かっこいいんじゃねーか?大将」

名言すぎる……!!!!

また彼が持つ次元刀という能力は「魔界の扉編」に
おいて仙水たちが探していたもので、

この章で桑原くんはあまり戦う機会がないのに
超重要キャラになっています。

御手洗くんを救う場面とか最高だよ……!!!

(本人は何も語らず疲れ果てて寝ている中、
幽助が説明するのもまた心憎い演出です)

ラストで雪菜ちゃんが桑原家にホームステイ
する描写がありますが

頑張れ!!!と大きな声で叫びたい。

 

幽☆遊☆白書 2 桑原和真 ビジュアルバスタオル 約600×1200mm

幽☆遊☆白書 2 桑原和真 ビジュアルバスタオル 約600×1200mm

 

 

冨樫義博『幽・遊・白書』その1

『幽・遊・白書』(90~)は一度死んだはずの
主人公・浦飯幽助が霊界からの温情で
「霊界探偵」として蘇り、様々な妖怪たちと
戦うお話です。

92年にはアニメ化もされました。

序盤の蘇りのための試練などはほのぼのとした
人情モノでしたが、

蔵馬と飛影が味方になって以降、人気に比例する
ようにシリアスなバトル物になっていくのは
ジャンプのお約束です。

今なお人気のエピソードは戸愚呂兄弟を始めとする
強敵たちと戦った「暗黒武術会編」と

特殊能力による頭脳戦も加わった「魔界の扉編」です。

『HUNTER×HUNTER』もそうですが
知略で相手を倒す作風が
はっきりと出てきたのがこの辺りですね。

あと敵の病んでる……というか独特のイカレ具合も。

普通、マンガの「ヤバい敵」というと残忍だったり
容赦なかったりという描写ですが、
仙水とか樹とか明らかにベクトルが違う。

骸の設定も大概ですが。

当時の人気はすさまじく、私の周囲はみんな夢中でした。

飛影・蔵馬は勿論、コエンマ、幽助、鴉、左京、
戸愚呂兄とか。ちなみに私は桑原くん推し。

第3期ED『アンバランスなKISSをして』を
カラオケで歌うと、本編が編集された映像が見れますが
思い入れのある人が関わっているのか

「暗黒武術会編」ラストで幻海が地獄へと向かう
戸愚呂弟を見つめるシーンと

アニメ版のオリジナルシーンでこれから死にゆく
左京が静流にライターを渡すシーンなどが挟まれており
歌ってて泣きそうになりました。

幽白に限らず、当時アニメのオリジナル部分に
原作にはない恋愛フラグを入れるのが流行っており
この二人もそんな感じでした。

ただ左京の場合、死を前に誰かに形見を託すという
ような「人間味」を加えることは、

自分も含めて人の命なんか何とも思っていない
サイコパスっぷりを損なうことにもなるのですが

たった独り死ぬのは気の毒だと思ってつけられた
エピソードだと思うと責められません……。

語り足りないので続きます。特に桑原くんについて!

 

 

あしべゆうほ・池田悦子『悪魔(デイモス)の花嫁』その2

『悪魔の花嫁』の魅力は、何といっても
美麗かつ緻密な絵で繰り広げられる
基本1話完結の様々な物語。

デイモス・美奈子・ヴィーナスは
狂言回しで、だいたいゲストキャラが
話の中心となります。

ミステリー、ホラー、ファンタジー
分類に困るほどバリエーションが多く、

美奈子が出る時は現代日本が舞台ですが
海外が舞台の時もあり、ギリシャ神話の
時代からフランス革命、江戸時代に
唐の時代の中国、

幽霊や人間の復讐、殺人事件、
吸血鬼や死神、天使が登場したりと
色んなお話が楽しめます。

基本的には悪魔の誘いに乗って破滅する
因果応報が多いですが、たまにハッピーエンドも。

個人的に好きなエピソードは

牡丹の精になった皇帝の元寵姫が
鳥になった恋人をデイモスのおかげで
探し当て、悲恋が報われる『寒牡丹夜話』

フランス革命の時代、デイモスの懐を狙った
女スリ兼娼婦が「ほどこしをしてやろう」と言われ
願いが(ある意味)叶った
『ギロチンが招いた女』

ヴィーナスが好きなので
ちゃんとデイモスと恋人っぽい
オリンポスの果実

(王者の恋とか御託はいいから
早く美奈子の骸を持って来い!)と
ヴィーナス派の私は思うのでした。

シリアスな話ながら、ツッコミどころも多く

1:美奈子の友達、みんな性格悪っ!!

短いページ数でゲストキャラの人となりを
説明したり、話をスムーズに進めるためと
わかっていてもだいぶひどい。

2:そんな雑な死体遺棄や証拠隠滅で
ごまかせるほど警察は甘くないぞ。

これも短いページ数で(以下略)ですが
その後どうなったかは想像が膨らむところです。

3:お城みたいな館とか馬車で移動とか
本当に現代日本の話?

ゴージャスな夢の世界にうっとりしつつも
ついツッ込みたくなるのもファンのサガ。

真面目な話をすると絵やストーリーだけでなく

台詞回しやモノローグのボキャブラリーも
本当に詩的で素晴らしい。

70年代の作家さんたちの語彙が
いずれも見事なのはインプット量の
差なのでしょうか?それとも質の問題?

 

悪魔の花嫁―幻の未収録作品&秘蔵原画集

悪魔の花嫁―幻の未収録作品&秘蔵原画集

 

 

あしべゆうほ・池田悦子『悪魔(デイモス)の花嫁』その1

『悪魔の花嫁』(75~)は池田悦子原作、
作画・あしべゆうほ
分類するとホラー要素のあるファンタジー
でしょうか。

大雑把にあらすじを説明すると、
普通の女子高生・美奈子のもとに
ある日悪魔(デイモス)が現れ、
「お前は私の花嫁だ」と宣言。

黄泉の国へ連れて行くため、
嫌がる美奈子に次々に
人間の愚かさを見せつけるのでした。

※デイモス=ギリシャ神話の恐怖の神ですが
キリスト教の悪魔の役割も兼ねてるようです。

基本的には黒髪長髪のミステリアスな
美形で、ねじれた細い二本の角と
黒い翼が生えています。あと半裸。

実は黄泉の国にはデイモスの本当の
恋人ヴィーナスがいて、兄妹で愛し合った罰に
生きながら腐っていく体を取り替えるため
生まれ変わりである美奈子の体を必要としていました。

しかし、デイモスが美奈子自身に
惹かれはじめる……。

というか、デイモスが美奈子を殺す
OR美奈子が現世に絶望して
デイモスの手を取れば
話が終わってしまいます。

そのため、美奈子とヴィーナスの間で
デイモスは延々悩み続けるのでした。

また美奈子も、幼なじみにクラスメイト、
恋愛フラグが立った人など
自分に関わった人間がデイモスによって
ことごとく不幸な目に遭っても

悲しみはしても絶望することはないため
(メンタル強えなこの女……)と
読者にツッ込まれ続けます。

序盤はデイモスが現れるたびに敵意や
警戒心をあらわにしていた美奈子ですが、

デイモスが周囲をうろつくだけで
自分には危害を加えないのがわかったためか
いつしか「なんだデイモスなの」呼ばわり。
ピンチの時は助けてくれますしね。

寝てる時にベッドの横に現れても
「そんな話をなんだって夜の夜中に……」(呆れ)
枕抱きながらこのリアクション。

もう男としても警戒されてない有様。半裸なのに。

なお文庫版は話がシャッフルされてるので
美奈子の反応が情緒不安定な人みたいです。

絵が全然違うので、時系列順の収録じゃ
ないのは見て分かりますけどね。

長くなるので続きます。

 

悪魔(デイモス)の花嫁 (1) (秋田文庫)

悪魔(デイモス)の花嫁 (1) (秋田文庫)

 

 

平野耕太『HELLSING』その2

90年代には緻密な絵柄のガンアクションものが多く、
その中でもこの作品が突出しているのは

ヒラコー節」と呼ばれる独特の台詞回しと
一癖も二癖もある濃いキャラ造形。

殺伐とした世界の中で「やはり人間は素晴らしい」
という一貫した人間賛歌のポリシー。

ペンウッド卿のエピソードにそれが特に現れています。

無能だと散々言われながらも、最期までつとめを
果たそうとする彼に

「いつも通り座っててください。仕事の邪魔ですから」
「彼は無能だ。だが彼は男の中の男だ」

これが英国式ツンデレか……!!

ツンデレといえばインテグラが吸血鬼部隊に
一人で囲まれても臆さず

「人間をなめるな化け物め。来い、闘ってやる」
宣言したら助けに入ったアンデルセン神父。

大喜びして「こいつらこそが我々の宿敵。
誰にも渡さん」と熱く語ってますが素直に
「勇敢だったぞお嬢さん」と
褒めればいいのに英国式ツンデレは面倒くさいな!

半人前の吸血鬼だったセラスが覚醒したのも
ベルナドットさんの活躍あってこそです。

そんな彼女たちを裏切ってでもアーカード
戦いたい願望の方が勝ってしまったウォルター……。

 

若き日のウォルターと何故か美少女姿のアーカード
少佐たちと出会う本編の前日譚『THE DAWN』
まだ途中なんですよね。

何があったのかすごく知りたい……!!
あとドクは少佐が好きすぎだと思います。

HELLSINGはどいつもこいつもイカれたキャラが
揃ってますが最も狂ってるのはこの少佐。

「諸君、私は戦争が好きだ」
から始まる長い演説シーン、

言葉が重複するのはヒラコ―節の特徴ですが
少佐が言うとより偏執的な感じが出て
ゾワゾワしますね。

個人的にラストで「死の河」にシュレディンガー
混ぜたらアーカードが一時的に消滅したのは

シュレディンガー=「われ思うゆえにわれあり」と
いう近代哲学が実体化したようなキャラなので

中世生まれのアーカードアイデンティティ崩壊を
起こした説をこっそり唱えてみる。

 

 

平野耕太『HELLSING』その1

HELLSING(97~)は現代の英国を舞台にした
吸血鬼退治&ガンアクションものです。

メインキャラとあらすじを簡単に説明すると

吸血鬼退治専門の「HELLSING機関」に所属する
最強吸血鬼アーカードとその下僕にされた女吸血鬼、
元婦警のセラス。

彼らの主インテグラと執事のウォルターが
基本のキャラです。

あとセラスとアーカードをフォローする
傭兵隊長ベルナドットさんも実にいい男。

目的は同じ吸血鬼退治ながら、英国=プロテスタント
側である「HELLSING機関」とは犬猿の仲の

カトリック側の組織、バチカンの特務局第13課
イスカリオテ機関」のアンデルセン神父もいます。

(一緒に共闘して人間を護る気はないんだ……)
と読んでてツッ込みたくなる人多数。

序盤はザコ吸血鬼退治、それを陰から操っていた
真の敵が出てくるのは物語の自然な流れですが

敵の正体が判明しても13課のスタンスは変わらず
「最高のタイミングで横あいから思い切り
殴りつける」とアンデルセンの上司・マクスウェルが宣言。

実際に「最後の大隊」ことナチスの残党の
吸血鬼軍団がロンドンに上陸、
破壊と殺戮の宴の最中に

救出ではなく「熱狂的再征服」(レコンキスタ)を
成し遂げるために十字軍を派遣。

ロンドンの人々は双方から殺されまくることに。

しかしアンデルセン神父は最高指揮官である
マクスウェル大司教を「お前は神でなく、
神の力に仕えている!」と断罪し、
十字軍の撤退を命じるのでした。

今までも大概人間やめてたと思うんですが、
アンデルセンが更なる力を求めて
聖遺物に手を出した時、アーカードが怒ります。

「化け物を倒すのは人間でなければならない」
=だからお前に倒されるわけにはいかない。

顔を合わせれば殺し合いを始める仲ながら、
どこかで認め合っていた二人。

神父の最期は本当に名場面でした……。

ところであの「汝らはなんぞや!?」の問答、
超カッコいいけど実はミーティングのたびに
やってたりするんだろうか。