昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

特撮の悪の女王・曽我町子さん

先日、東映特撮YOUTUBE Officialにて
時空戦士スピルバン(86~)の公開が
始まった記念に

悪の組織「ワーラー」のパンドラ女王を演じた
故・曽我町子さんについて語りたいと思います。

団塊ジュニアなら曽我町子さんといえば
電子戦隊デンジマン(80~)の
悪の侵略者ベーダー一族のヘドリアン女王

ヘドリアン女王は、途中で出てくるバンリキ魔王の
クーデターに遭います。

バンリキ魔王はデンジマンに倒されますが
女王は南極で眠りにつくというオチ。

しかし次回作の太陽戦隊サンバルカン(81~)で
悪の組織ブラックマグマのヘルサターン総統に
起こされ、敵幹部のナンバー2として迎え入れられます。

戦隊の歴史上、役者さんが連続で登場したのは
何度かありますが、同じキャラが二作品続けて
出たのはヘドリアン女王くらいでしょう。

他にも世界忍者戦ジライヤ(88~)の
妖忍クモ御前。

また恐竜戦隊ジュウレンジャー(92~)では
大魔女バンドーラを

アメリカ版のパワーレンジャーでも
同一の役を「魔女リタ」として演じました。

ジュウレンジャー』のバンドーラ一味は
とてもアットホームな悪の組織で

ラストに息子がジュウレンジャーに倒され、
嘆くバンドーラの前に

「見つけたぞ!バンドーラ!!」と
ジュウレンジャーたちが踏み込みんだ際は

「バンドーラ様をお守りしろ!!」と
団結する幹部たちに正直、
感情移入してました……。

(この息子、子役時代の高橋一生だと最近知りました)

結局、バンドーラ一味は壺に封印され
宇宙空間を漂うことになりますが

女幹部ラミィが生んだ赤ん坊を皆で囲み、
歌って踊っていつも通り楽しそうです。

威厳も迫力もあって怖い悪役ながら、
どこかコミカルでチャーミングというのが
曽我町子さんの演じる悪の女王たちでした。

シリーズの垣根を越えたコラボや○年記念作品が
増えた今、ご存命であればと残念でなりません。
ご存じない方はぜひ一度『スピルバン』をご覧ください!

杉田圭『超訳百人一首 うた恋い。』

超訳百人一首 うた恋い。』(2010~)は

百人一首の句をもとにした、
かなり創作成分を含んだ物語です。

コミカルな話から悲恋の物語まで、内容は色々。

2012年にはアニメ化もされました。

百人一首は教科書にも載っているし、
授業で習うこともありますが

先生や教科書の説明だけでは
すぐに頭をすり抜けてしまいます。

しかし物語になったことで、藤原定家小野小町
在原業平文屋康秀紀貫之清少納言紫式部

「名前だけは聞いたことがある」歌人たちが
現代人と同じように人間関係や恋愛の
悩みを抱えていたと知ることで、
どれほど身近な愛おしい存在に見えてくるか。

あと意外と百人一首歌人たちは
血縁関係が多いのがわかります。

清少納言の父、清原元輔の歌
「ちぎりきな かたみにそでをしぼりつつ
末の松山 波こさじとは」

これは兄の失恋をもとに父が読んだ、ということに
なってますが実際のところはわかりません。

しかし、そう描かれたことによって
より深く心に届くようになっています。

小野小町の物語もあり、在原業平
文屋康秀の3人で仲良くわちゃわちゃしてるのは

百人一首に選ばれている彼女の歌
「花の色は 移りにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに」が

悲しげだったからこそ、余計に微笑ましくなり
彼女の人生がこんな風に楽しいことが多かったら……と
願わずにはいられません。

清少納言藤原行成と仲良しですが、彼女が仕えた
中宮定子の没落を知っていると

「楽しいこと」だけを『枕草子』に記したのだと
笑顔で語る彼女を前に泣けてきますし、
それを知った上で読む枕草子は特別なものになります。

 

シュトヘルを読んだ時も思いましたが、
千年も前に書かれたものが、同じ言語のまま
同じ国の人間に伝えられるというのはどれほど
素晴らしいことか。

そんなわけで、5巻をいつまでもお待ちしています……。

なお、セルフパロの『うた変。』も面白いですよ。

 

超訳百人一首 うた恋い。

超訳百人一首 うた恋い。

 
超訳百人一首 うた恋い。【異聞】 うた変。

超訳百人一首 うた恋い。【異聞】 うた変。

 

 

伊藤悠『シュトヘル』

シュトヘル(09~)は現代の高校生男子
須藤がある日「鈴木さん」という女子高生と
出会ったことから意識が過去に戻り、

モンゴル軍によって処刑された西夏の女兵士
シュトヘル」(=亡霊)として

西夏文字を後世に伝える玉の文字盤「玉音同」を
護ろうとする少年・ユルールと共に戦う
壮大な歴史ファンタジーです。

今時のラノベの「異世界転生で無双」モノと
言えないこともないですが

シュトヘルは無敵の女戦士とはいえ、
何度も何度も死にかけ、酷い目に遭います。

シュトヘルは彼女独自の意識があり、
たまに須藤の人格が出ることはあっても
基本別人です)

もう一人の主人公の少年、ユルールは
ツォグ族という遊牧民の長の次男として
育てられますが

長の妻はチンギス・ハーン
一時奪われていたので
父親はそちらだとみなされていました。

(ユルールの生母は自害したため
異母兄ハラバルの母親の西夏族の女性が
ユルールを育て、文字を教えた)

ハラバルはモンゴル軍と共に
シュトヘルのいた部隊を皆殺しにして
仇として狙われます。

ユルールとの出会いも、彼と共にいれば
異母兄が現れるはずと考えたからです。

しかしユルールによって、文字を教わった
シュトヘルの心が少しずつ変化していきます。

モンゴル側も、次代のハーンとなるトルイと
その双子の兄ナラン、

チンギス・ハーンの側近兼愛人の
金髪の美女ヴェロニカなどの思惑が絡み
全く先が読めません。

そして圧倒的恐怖として描かれる
チンギス・ハーンが何故、

玉音同にこだわり、西夏文字
執拗に滅ぼそうとするのか……。

南宋やモンゴルが舞台のマンガは
結構ありますが、西夏が出てくる
作品は珍しい。

また序盤に出てくるアラブ系の商人・
アルファルドの言葉から
十字軍の影響がわかります。

歴史好きな人、または人間ドラマや
アクションが好きな人には
おすすめしたい名作です。

この作品を読むと「文字を次世代に伝えること」
「誰もが自国の言葉で文字を綴れること」
の大切さがよく伝わってきます。

 

 

『少女革命ウテナ』その2

物語の重要な鍵である姫宮アンシーについて。

褐色の肌の美少女はララァやナディアなど他作品にも
いますが、メガネっ娘は珍しい。

「私は薔薇の花嫁。決闘で勝った方の思いのままです」
と宣言し、実際に従順なアンシー。

天然で可愛いところもあるのですが、
決闘に負けてしまったら「ごきげんよう」と
背を向け、今までの態度は全てリセットされます。

そうでなくても言いなりなのは表面上だけで、
心は決して許していないのは何となく伝わるので

第一話で西園寺がアンシーを引っぱたいたのは
それが原因でしょう。(これでウテナと決闘することに)

 

その後、さかさまの城から降ってくる少年にそっくりな
アンシーの兄・鳳暁生(おおとり あきお)が登場。

ウテナを助けてくれた王子様と同一人物……?と
ウテナも彼に魅かれていくのですが

本来「助けてくれる存在」の王子様こそが
アンシーを抑圧し、犠牲にしていたことが
明らかになります。

それを救おうとしたウテナがアンシーに
後ろから刺されるという衝撃展開が。

(どうして……!!)と当時驚くより
とうとうやりやがったいう感想だった記憶。

結局、この話はアンシーがウテナによって
兄の支配下から抜け出すまでの話とも言えますが
謎の大半は残ったままです。

ミッキーがいつも手にしているストップウォッチも
何の意味があるのか謎のままでしたね。

ストーリーの謎を追ったり、剣劇アクションを
見るのが好きな人よりも、

華麗な少女漫画的世界観やキャラクター、
意味ありげな演出の解釈をああでもない
こうでもないと楽しめる人向きです。

しかし百合風味含めて、何ともアンモラルな
香りのするこの作品が夕方6時に
放送とか、今では考えられませんね……。

キャラデザ・さいとうちほさんのコミカライズ版は
設定や展開がかなり違うのですが

最近出た完結編で西園寺と冬芽が
ライバル兼よき友となっていてほっこりしました。

虚ろな表情のアンシーの絵が、ウテナ
巡り合った時の顔を見たら涙出てきた……。

 

 

『少女革命ウテナ』その1

少女革命ウテナ(97)は王子様に憧れて
自分も王子様を目指す男装少女・天上ウテナ

「世界を革命する力」を持つ薔薇の花嫁こと
姫宮アンシーを巡って決闘者(デュエリスト)たちと
戦いを繰り広げる不思議なアニメです。

簡単に言うと(友人談)
ベルばら+セーラームーン÷2
それに加えて百合風味。

一応、現代日本が舞台の学園モノながら
設定は余りにも浮世離れしていて

J・A・シーザーの楽曲
絶対運命黙示録』をBGMに

鳥かごを思わせるレトロなエレベーターに乗り
着いた先の決闘場の上にそびえる
逆さまのお城。意味ありげな謎めいた会話。

空から降ってくる褐色の肌の美少年の幻影。

「世界を革命する力を!」
ウテナの叫びに応えるように

のけぞるアンシーの胸から剣が突き出てきて
それを手にして決闘が始まる……。

(何が起きてるんだ……?何だこのアニメ!?)

視聴者は皆、この演出に度肝を抜かれて虜になったのです。

ウテナ以外の決闘者は生徒会メンバー
生徒会長・桐生冬芽を筆頭に

フェンシングの達人で「美しき女豹」
縦ロールが似合う有栖川樹璃さん。

凛々しい女剣士が根性悪の女に
惚れてて頭が上がらないとか
そこも萌えポイントです。

双子の妹がいる優等生美少年・薫幹。
(通称ミッキー)

妹がかなりこじらせたブラコンなのも
また良し。

冬芽の幼馴染みで、アンシーに惚れてるのに
空回りする男・西園寺夾一。

1クール目はこのメンバーと戦います。

個人的にはアンシーへの肩想いや
冬芽への対抗意識やら色々と空回っている
西園寺が可愛くてならんのですが

生徒会メンバーは西園寺にもう少し
優しくしてあげて……!

2クール目以降は生徒会メンバーの身内も
決闘者として登場。

冬芽の妹・七実回はだいたいギャグ。

美しく幻想的な世界観の中で、
自分が牛になると思い込んだり
暴れカンガルーが校内に出没します。

「何言ってんの?」と思ったあなたは正しい。
でも本当に何でもありな世界なのです。

長くなるので続きはまた明日。

少女革命ウテナ コンプリートCD-BOX

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昭和の局地的流行3 生まれ変わり

生まれ変わりの物語は江戸時代の怪談『累が渕』
(かさねがふち)のように昔からあります。

しかし何故か80年代のマンガに多かった気がするのは
オカルトブームのせいでしょうか。

池野恋ときめきトゥナイト(82~)では
主人公江藤蘭世と真壁俊くんは、前世でも恋人同士
でした。

日渡早紀ぼくの地球を守って(86~)では
前世の記憶と因縁に皆が振り回される話でもあります。

みずき健『シークエンス』(89)
自分が見ているのは前世なのか未来の姿なのか……?
というちょっと不思議なファンタジーもの。

知る人ぞ知る作品ですが、ドラマCDにもなった
人気作です。

桑原水菜炎の蜃気楼(ミラージュ)』(90~)は
上杉景虎とその部下「上杉夜叉衆」が何度も生まれ
変わりながら、戦国武将の怨霊を退治する
サイキックアクション……なのは間違いないんですが。

5・5巻の例の台詞が出るまでは
「ちょっとBLっぽいけど普通の小説」でしたよ!!

美少女戦士セーラームーン(92~)は
主題歌の「月の光に導かれ 何度も巡り合う」の
歌詞の通りのお話です。

少年マンガだと

車田正美風魔の小次郎(82~)の
「聖剣戦争編」では10本の聖剣を手にした戦士は
四千年間生まれ変わりを繰り返していました。

勝ったのに消滅した武蔵を見たら、そりゃ小次郎が
「こんなものがあるから……!」と破壊したくも
なるでしょう。

「生まれ変わってもまた(   )」の中に
「同じ相手と恋をする」が入るのが少女マンガで
「戦う」なのが少年マンガっぽいですが

「戦いつつも恋をする」選択肢がセーラームーン
ミラージュなど90年代作品になると入ってくるのが
ちょっと興味深いですね。

アニメだと『創世のアクエリオン(05)
ファンタジックチルドレン(04~)など
前世が重要なキーワードになり、なおかつ壮大な
スリードがある作品が連続したこともありました。

今は異世界転生が流行ですが、そのうちこっちに戻るかも。

昭和の局地的流行2 70年代「隠し子・私生児」設定

「あるある」と言うほど多くはないけど
確実にその時代に結構な数があったものに
隠し子や私生児の設定があります。

一口に私生児と言っても、未婚のまま出産したか
離婚後に妊娠が発覚したのか、

一緒に暮らして育てたか、どこかに預けてたか
親子仲は良いのか悪いのかなどで話は全く変わってきます。

里中満智子アリエスの乙女たち(73~)
水穂路実ことロミオ(主人公の笑美子がつけたあだ名)は
有名デザイナーの娘ですが、夫との離婚後に生まれていて

元夫(実は笑美子の父親)には報告せず、シングルマザーの
まま育てたので、認知されていない私生児扱いでしょう。

一条ゆかり『ハートに火をつけて』(73年)
主人公ジョセフィンは人気女優セシルとは表向き姉妹と
いうことにしていますが、実は母娘。

セシルが再婚することになりますが、相手の息子は大反対。
実は息子ギランも母親は女優であり、捨てられた子供
でした……。

上原きみ子舞子の詩(77~)に登場する
男性キャラ・天才ダンサー鳳流衣(おおとり るい)も
有名女優の私生児です。

一条ゆかり『風の中のクレオ(71~)は
母親はクレオを生んだ後、追い出されるように離婚。
その後有名作家になったため「隠し子」とは違いますが

クレオは母親がどうしているか、目の前に作家として
現れるまで知りませんでした。

キャンディ・キャンディ(75~)のテリィも
イギリス貴族と有名女優の間に生まれた息子です。

三原順はみだしっ子(75~)の
アンジ―の母親に至っては、私生児の息子を姉の家に預けて
二週間ごとに二日間だけ会いに来る無責任さで

挙句に女優として芽が出たと判断した時に
足が不自由になった彼を捨てていきました。

アンジ―がどんな思いで屋根の上にのぼって
旗を振っていたかお前……お前ぇぇぇぇぇ!!(大激怒)

……何にせよドラマが作りやすい設定なので一時期
多用されました。

当時、何か元ネタになるような映画やドラマが
あったのでしょうか?