「あるある」と言うほど多くはないけど
確実にその時代に結構な数があったものに
隠し子や私生児の設定があります。
一口に私生児と言っても、未婚のまま出産したか
離婚後に妊娠が発覚したのか、
一緒に暮らして育てたか、どこかに預けてたか
親子仲は良いのか悪いのかなどで話は全く変わってきます。
里中満智子『アリエスの乙女たち』(73~)
水穂路実ことロミオ(主人公の笑美子がつけたあだ名)は
有名デザイナーの娘ですが、夫との離婚後に生まれていて
元夫(実は笑美子の父親)には報告せず、シングルマザーの
まま育てたので、認知されていない私生児扱いでしょう。
一条ゆかり『ハートに火をつけて』(73年)
主人公ジョセフィンは人気女優セシルとは表向き姉妹と
いうことにしていますが、実は母娘。
セシルが再婚することになりますが、相手の息子は大反対。
実は息子ギランも母親は女優であり、捨てられた子供
でした……。
上原きみ子『舞子の詩』(77~)に登場する
男性キャラ・天才ダンサー鳳流衣(おおとり るい)も
有名女優の私生児です。
一条ゆかり『風の中のクレオ』(71~)は
母親はクレオを生んだ後、追い出されるように離婚。
その後有名作家になったため「隠し子」とは違いますが
クレオは母親がどうしているか、目の前に作家として
現れるまで知りませんでした。
『キャンディ・キャンディ』(75~)のテリィも
イギリス貴族と有名女優の間に生まれた息子です。
三原順『はみだしっ子』(75~)の
アンジ―の母親に至っては、私生児の息子を姉の家に預けて
二週間ごとに二日間だけ会いに来る無責任さで
挙句に女優として芽が出たと判断した時に
足が不自由になった彼を捨てていきました。
アンジ―がどんな思いで屋根の上にのぼって
旗を振っていたかお前……お前ぇぇぇぇぇ!!(大激怒)
……何にせよドラマが作りやすい設定なので一時期
多用されました。
当時、何か元ネタになるような映画やドラマが
あったのでしょうか?