昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

あしべゆうほ・池田悦子『悪魔(デイモス)の花嫁』その2

『悪魔の花嫁』の魅力は、何といっても
美麗かつ緻密な絵で繰り広げられる
基本1話完結の様々な物語。

デイモス・美奈子・ヴィーナスは
狂言回しで、だいたいゲストキャラが
話の中心となります。

ミステリー、ホラー、ファンタジー
分類に困るほどバリエーションが多く、

美奈子が出る時は現代日本が舞台ですが
海外が舞台の時もあり、ギリシャ神話の
時代からフランス革命、江戸時代に
唐の時代の中国、

幽霊や人間の復讐、殺人事件、
吸血鬼や死神、天使が登場したりと
色んなお話が楽しめます。

基本的には悪魔の誘いに乗って破滅する
因果応報が多いですが、たまにハッピーエンドも。

個人的に好きなエピソードは

牡丹の精になった皇帝の元寵姫が
鳥になった恋人をデイモスのおかげで
探し当て、悲恋が報われる『寒牡丹夜話』

フランス革命の時代、デイモスの懐を狙った
女スリ兼娼婦が「ほどこしをしてやろう」と言われ
願いが(ある意味)叶った
『ギロチンが招いた女』

ヴィーナスが好きなので
ちゃんとデイモスと恋人っぽい
オリンポスの果実

(王者の恋とか御託はいいから
早く美奈子の骸を持って来い!)と
ヴィーナス派の私は思うのでした。

シリアスな話ながら、ツッコミどころも多く

1:美奈子の友達、みんな性格悪っ!!

短いページ数でゲストキャラの人となりを
説明したり、話をスムーズに進めるためと
わかっていてもだいぶひどい。

2:そんな雑な死体遺棄や証拠隠滅で
ごまかせるほど警察は甘くないぞ。

これも短いページ数で(以下略)ですが
その後どうなったかは想像が膨らむところです。

3:お城みたいな館とか馬車で移動とか
本当に現代日本の話?

ゴージャスな夢の世界にうっとりしつつも
ついツッ込みたくなるのもファンのサガ。

真面目な話をすると絵やストーリーだけでなく

台詞回しやモノローグのボキャブラリーも
本当に詩的で素晴らしい。

70年代の作家さんたちの語彙が
いずれも見事なのはインプット量の
差なのでしょうか?それとも質の問題?

 

悪魔の花嫁―幻の未収録作品&秘蔵原画集

悪魔の花嫁―幻の未収録作品&秘蔵原画集