昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

平野耕太『HELLSING』その2

90年代には緻密な絵柄のガンアクションものが多く、
その中でもこの作品が突出しているのは

ヒラコー節」と呼ばれる独特の台詞回しと
一癖も二癖もある濃いキャラ造形。

殺伐とした世界の中で「やはり人間は素晴らしい」
という一貫した人間賛歌のポリシー。

ペンウッド卿のエピソードにそれが特に現れています。

無能だと散々言われながらも、最期までつとめを
果たそうとする彼に

「いつも通り座っててください。仕事の邪魔ですから」
「彼は無能だ。だが彼は男の中の男だ」

これが英国式ツンデレか……!!

ツンデレといえばインテグラが吸血鬼部隊に
一人で囲まれても臆さず

「人間をなめるな化け物め。来い、闘ってやる」
宣言したら助けに入ったアンデルセン神父。

大喜びして「こいつらこそが我々の宿敵。
誰にも渡さん」と熱く語ってますが素直に
「勇敢だったぞお嬢さん」と
褒めればいいのに英国式ツンデレは面倒くさいな!

半人前の吸血鬼だったセラスが覚醒したのも
ベルナドットさんの活躍あってこそです。

そんな彼女たちを裏切ってでもアーカード
戦いたい願望の方が勝ってしまったウォルター……。

 

若き日のウォルターと何故か美少女姿のアーカード
少佐たちと出会う本編の前日譚『THE DAWN』
まだ途中なんですよね。

何があったのかすごく知りたい……!!
あとドクは少佐が好きすぎだと思います。

HELLSINGはどいつもこいつもイカれたキャラが
揃ってますが最も狂ってるのはこの少佐。

「諸君、私は戦争が好きだ」
から始まる長い演説シーン、

言葉が重複するのはヒラコ―節の特徴ですが
少佐が言うとより偏執的な感じが出て
ゾワゾワしますね。

個人的にラストで「死の河」にシュレディンガー
混ぜたらアーカードが一時的に消滅したのは

シュレディンガー=「われ思うゆえにわれあり」と
いう近代哲学が実体化したようなキャラなので

中世生まれのアーカードアイデンティティ崩壊を
起こした説をこっそり唱えてみる。