昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

青池保子『Z(ツェット)』

『Z』(79~)は『エロイカ
より愛をこめて』のスピンオフ。
エールバッハ少佐の部下で新人
エージェント、Zの命がけの
任務を描いたお話です。

「怪盗エロイカ」こと
伯爵は登場しません。

そのためコミカルな要素は少なめで
NATOと東側の工作員たちとの
スパイ映画さながらの
ハードボイルド展開がメイン。

本作の時点ではZくんは
まだ研修を終えたばかり。
実戦経験なしのド新人です。

 第一話では、東側がクウェート
大使の子供を人質に使うという
情報を前提に、

沢山いる子供の中で、末息子の
監視を初任務にあてがわれます。

しかし下宿した先のおかみさんに
迫られたり、様々なドジを踏んでは
少佐に電話で怒鳴られる日々。

東側の本命はまさかの末息子で
目の前でまんまと攫われてしまい

少佐「きさまほど
無能なぼけなすは
はじめてだよ」

「この場にいたら
すぐにあの世に
送ってやる!」

散々にこき下ろされますが
そこから逆転するのが主人公。

なんとか根性を見せ、東側スパイを
倒して、誘拐された息子も無事
奪還します。

人を撃つのも初めてで
(バラを……撃ったんだーー!)
と自分に言い聞かせるシーンがいい。

少佐が厳しいのはいつものことですが
任務後にかける言葉が優しくて
萌え転がる……。

あまり出てきませんが、A(アー)さん
以下、いつものメンバーも先輩として
新入りのフォローについていることも
描かれます。

この当時の東と西の血で血を争う
対決はあらゆるフィクション作品で
描かれていますが

物語は骨太なのに美しさがあるのが
青池作品の最大の特徴です。

バラ作りの費用のために東側スパイに
なった男や、

スパイに利用され、恋人のつもりが
ただの情報提供者だったりと
当時らしい悲劇も描かれます。

折角スパイを突きとめたのに
狙いの新型戦闘機ごと連れ去られた際、
(スパイとはZくんがケリをつける)

助けに来てくれるパイロット姿の
少佐が映画『トップガン』の
ようなカッコよさ……!!

本編を知らなくても十分名作ですが、
やはりエロイカを見た上で読んでほしい!

Z完全版

Z完全版

  • 作者:青池 保子
  • 発売日: 2011/10/14
  • メディア: コミック