『ゆり子には内緒』は同作者の
SF、ファンタジー、ラブコメ、
ほのぼのギャグなどを集めた
短編集。
短編集としては
二作目です。
この方の持ち味は
淡々として奇想天外。
ほのぼのコミカルな
味わいながら時々
泣かされる作風。
アイデアやオチが秀逸なので
ネタバレしない程度に語ります。
「ゆり子には内緒」=SF
明治時代(?)のオペラ
好き少年・フクローはある日、
彼の憧れの女優・蘭子に会わせて
やると言われるが
その際「ゆり子には内緒」以外の
言葉を口にしてはならないと
条件が付けられる……。
実はフクロー以下、主要人物には
ある共通点がありました。
一風変わったSFですが
何がどう変ってるかは
ぜひ読んで確かめてください。
「外天の暁」=ファンタジー
中東っぽい国から中華系の国に
嫁いできた姫様は、人形のような
物言わぬ人々にかしずかれる日々に
不安を覚えていたが、
ある日顔も見せない「誰か」の
言葉で意を決して変化を……。
「文字屋かわほり」もそうですが
特殊な設定ながら
「あることをきっかけに、
主人公が勇気を出して行動に
移す」話になっています。
「ENGIメーカー」和風ファンタジー
神社に頼まれて奉ってある
神様の縁起を捏造していたら
本物が現れて……。
コミカルな話です。
「不器用の作法」=学園コメディ
男子高校生・内藤くんは
マナーの授業が苦手で……。
脇役ほどキャラが濃いのも
作者の特徴。
190センチ、歌劇団の
男役出身、男子校勤めの
着物姿の女性マナー講師って
短編にチラッと出して終わるのは
勿体なくない……?
コミカルな話ばかりではなく、
ダーク寄りな物語もあります。
「四年目」=中華風時代劇
ある資産家の家に拾われた娘は
やがて使用人を経て妻に迎え
入れられる。
しかし娘の正体は……。
個人的に「こゆび姫」の
ヤクザと小さなお姫様の
会話で成り立つ話が
シュールで好きです。
1冊で完結してるので
読みやすくておススメです。
最新作は紫式部が主役のコメディ!
もっと広まってほしい!!