3人の皇子皇女を産んだことで
後宮で最大の勢力を持つように
なったヒュッレム。
第一夫人ギュルバハルと違い、
機嫌を損ねた誰かが突然
行方不明になったりしないので
甘く見た側室の一人が
クレオパトラ風に絨毯に
我が身を包んで皇帝の前に
運ばせることを計画。
金を積まれた宦官がすぐに
ヒュッレム側に注進し、
ことなきを得ます。
しかし「呼んでもいない女が
勝手に皇帝の寝所に現れた」
なんてことが起きたら
運んだ宦官含めてタダでは
済まないのでは……?
女は「殺されはしないだろう」と
捕まっても平気で居眠りする
有様でしたが
ヒュッレムの裁きは
「身一つでここから出ていきなさい」
命は取られなくても、贅沢の味を
覚えた側室には残酷な罰だと
後宮の女たちは大人しくなります。
血の流れない方法で力が欲しい
ヒュッレムは、皇妹ハディージェとの
会話から
本来なら母后にしか許されない
「寄進財団(ワクフ)」作ることを
思い立ちます。
後押しとなったのは、自分と一緒に
故郷の村から攫われた幼馴染、
オーリャとの再会でした。
ふっくらしていたオーリャは
痩せたみすぼらしい姿で
(お忍びで行った)
市場で物乞いをしていました。
主人に飽きられたらよそに売られ、
病気になったら捨てられる。
自分がいかに恵まれた立場にいるか
思い知らされたヒュッレムは
寄進財団を貧しい女性を救うために
作ることを皇帝に願い出ます。
(皇帝はイブラヒムに一任)
しかしヒュッレムが力を持つ
ことを恐れるイブラヒムは反対、
ヒュッレムは彼の許しを得ないまま
寄進財団を作ってしまいます。
帰国した彼に呼び出されても応じず、
溝は更に深まるばかり……。
事情を知らない人から
「もう母后気取りか!」と
言われてもおかしくない
行動ではあるのですが
善意からの使命感で始めたことが
二人の決定的な別離に繋がるのが
切ない。
続きはまたそのうちに。
『乙女戦争外伝Ⅱ』読んだ直後だと、
13巻のオスマン軍による
ハンガリー陥落に何気に
ダメージを受けます……。
(二作の間にはだいぶ時間差が
ありますが)