昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

青池保子『修道士ファルコ』その3(1巻感想1)

だいぶ間が空いたので
念のため解説:

中世ドイツの修道院
舞台にした、

剃髪(トンスラ)のない
元騎士の修道士、
ファルコの物語。

修道士の日常だけでなく、
アクション&推理ものの
要素も多分に含むので

歴史モノが苦手な人でも
問題ありません。

心の平穏を願って
剣と世俗を捨てたのに、

たびたび起きる揉め事に
駆り出されては懺悔する
日々……。

実は本作は『逃げ若』や
『天穂のサクナヒメ』と
同じ時代なんですね。

1、2話は結構前に
感想を書いてるので
第三話から。

第三話冒頭では修道院
近隣に住む領主が

館と荘園を修道院
寄進し、自分と息子は
僧院で暮らすという
約束をした直後に死亡。

・二度目の結婚は失敗
だったと嘆く台詞がある。

・寄進する屋敷から
財宝が出てくる。

そして領主の死亡後に嫁が
寄進の約束を反故にすると
宣言。

屋敷には嫁の兄弟と
いうガラの悪い連中が
居座り、息子は行方不明。

この流れで自然死と思う
読者はいないでしょう。

ファルコの同僚のオドも

オド「どうやら領主の死は
財産目的の殺人だな」

(オドの元の職業は市警の役人)

修道院には荘園と屋敷の
かわりに古着をくれて
やる、と言われて怒り
心頭の副院長。

直後、近隣の主婦が
「親を亡くして行き場の
ない」少年を連れて来て、
働かせてほしいと言います。

親に虐待されて
口がきけない、と
説明されて

オド「皇帝と同じ名だ
りっぱな男になるぞ
カール」

オドの優しさと同時に
この時代がいつなのかも
読者に伝わります。

ちなみに神聖ローマ
皇帝カール4世のこと。

(1316~1378年没)

『乙女戦争』に登場する
皇帝ジキスムントは
カール4世の息子。

今回は犯人も動機も
序盤から明らかなので

どうやって犯人を
捕えるかがメインに
なりますが

修道僧ならではの
イデアも、コミカルな
やり取りも秀逸。

ファルコの腕っぷしと
オドの人脈も活かされます。

そして「カール」少年は
領主の一人息子でした。

(本名はヨハン)

ラストは亡父の望み通り、
ヨハンと亡父の執事が
僧院で暮らすことに
なるのでした……。

続きます。