昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

帆(ほ)『クマとカラス』

『クマとカラス』(19~)
山の中で一人ぼっちだったクマと
都会から迷い出たカラスが出会い、
クマの仲間を探して旅をする
不思議な雰囲気の泣けるお話です。

前作『クマとたぬき』
山の中の四季を描いたほっこり
日常4コマでしたが
今作はストーリーマンガ。

ほのぼのした作風には
変わりないものの、

『クマとたぬき』2巻にあった
(本当にこれでいいのか?)と
考えさせられるネタがよく
登場します。

かといって一方的に否定
してるわけでないのもいい。

 

ネタバレ防止に詳しくは
言えませんが、泣けます。

カラス「小さなお月さんが
落ちてる」

=暗闇なのでツキノワグマ
模様がそう見える

というメルヘンちっくな
呟きから始まります。

都会育ちらしいカラスは
元の場所へ戻りたがっていますが
クマの背中も気に入っていて

カラス「ここに永住しても
いいかもしれない」

クマ「いや ちょっと……」

天敵が寄って来ない、
いつもあったかフカフカ
エサのあるところへ勝手に
行ってくれるんだから超便利です。

クマはずっと山にひとりきり
だったので、カラスに教えを
乞うほど、熊というものを
何も知りません。

「最近では自分がクマかどうかも
ちょっと自信が持てなくなって
きたりして」

アイデンティティも揺らいでる
有様に、カラスは他の山に行って
仲間を探そうと提案します。

基本のんびりやさんのクマを
カラスが世話を焼く感じですね。

熊を初めて見る鳥たちから
「おかしな獣」と言われたり

先手を打ってカラスの方で
「山の神」と言ってみたり

結局貼られたレッテルや
イメージの問題でしかないという
メッセージなのかも。

ふたりは旅の間に使われてない
林業用のトンネルや火山など
様々なモノを目にしますが、
同族の熊は見つかりません。

そしてクマとカラスとは別視点で
この物語が実は(秘密)なことが
ひそかに明かされます。

ふたりの旅はどうなるのか
あえて言いませんが、ハンカチの
準備をしてからお読みください。

思わぬ着眼点が本当に
絵本のよう……。

秋の夜長にぴったりな
優しい物語です。

クマとカラス (文春e-book)

クマとカラス (文春e-book)

  • 作者:
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: Kindle