昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

秋野茉莉『怪盗アレキサンドライト』

『怪盗アレキサンドライト』(06~)
19世紀末のパリを舞台に、財宝では
なく「本人の一番大事なモノ」を盗む
変わり種の怪盗、アレキサンドライトと
それを捕まえようとする青二才のお坊ちゃん、
ヴェルヌ警部との捕り物劇を描いた
オカルト風味の入った不思議なお話です。

アレキサンドライトは警官に変装
することが多いため男と思われて
ますが、実は女。

夜の顔は姉御肌の高級娼婦ルージュで
昼の顔はヴェルヌ警部の歳の離れた
妹・ポーリーヌの家庭教師、
真面目でお堅いジャンヌ先生。

彼女の依頼人は故人で
カラスが運んでくる依頼書を
きっかけに動き出します。

盗まれるのは故人のラブレターや
無名の画学生の描いたデッサンなど
金銭的な価値はないモノ。

そのまま盗みっぱなしでなく、
ちゃんと返してくれます。

この話の見所は三つ。

1:アレキサンドライトの言動を
きっかけに、盗まれた被害者が
本当に大切なものに気づく
ほっこり話。

ミステリー仕立てだったり
オカルトっぽかったりと
何でもアリです。

基本的にはハッピーエンドですが、
たまにバッドエンドも。

2:ルージュとジャンヌ先生の間で
揺れるヴェルヌ警部の不思議な
三角関係。

何度も捜査現場で見かけるルージュを
さすがにヴェルヌ警部もアレキサンド
ライトの仲間と推測しますが、

捕えて情報を吐かせるでもなく、
怪盗へのメッセージを預けたり

緑色の目の女を狙う殺人鬼が
現れた時は心配したりと
紳士なのがいい。

アレキサンドライトが殺人容疑を
かけられた時には
「僕が無実を証明してみせる!」と
意気込んだこともありました。

追う側が最大の理解者でもあると
いうのは怪盗物のお約束ですね。

3:19世紀末パリの文化の
耽美と頽廃の雰囲気を味わえる。

背景のアール・ヌーボーデザイン、
ジャポニズムなど文化的な流行から

ロートレックサラ・ベルナール
ロダンカミーユ・クローデル
ビアズリーユトリロなど
実在の人物も登場します。

19世紀末パリはロマンの宝石箱やで……。
なお怪盗の正体は(内緒)