『イノサン』(13~)はフランスに実在した
処刑人一族、サンソン家の歴史と家族模様を
18世紀フランス史を交えながら描いた
作品です。
主人公は4代目のシャルル-アンリ・
サンソン。
緻密で耽美な絵柄で、ルイ15世~
革命期までが描かれます。
※斬首や解剖シーンなどグロい描写が
多いので、苦手な人はご注意ください。
原作は安達正勝「死刑執行人サンソン」
物語はシャルルの少年時代から始まります。
処刑人の息子というだけで人々から忌み嫌われ、
パリの学校のどこにも受け入れ先がありません。
「ムッシュー・ド・パリ」の称号を持ち、
貧しい人々を無料で診察するなど施しもするのに
サンソン家は常に死神と蔑まれていました。
そんなサンソン家を支配していたのは
厳しいアンヌ-マルトお祖母様。
「私は我が息子バチストに7歳の時から
生皮を剥がせていましたよ」
しかし優しい家庭教師(病で顔が醜く崩れた神父)の
教えを受けたシャルルはナイーブで理想化肌。
処刑人になんかなりたくないと言って
父親から躾け(拷問)を受けます。
死ぬギリギリで引き戻され、父親の愛を感じた
シャルルは処刑人となることを決意しますが
はじめての友達はシャルルが自我を通した
ことが原因で処刑され、
貧しさから足を悪くした子供を救い
その父親に深く同情した矢先に
父親は国王ルイ15世暗殺を試みて失敗。
見せしめの残酷刑、車裂きを
シャルルが行うことに……。
4巻の処刑シーンは色んな意味で圧巻です。
表現としても凄まじいばかりの
美しさと迫力。
叔父のニコラが途中で心折れ、
シャルルが早く楽にしてやろうとしても
アクシデントが続く中、妹マリーが助け船を出します。
祖母から女が余計な口出しをしたと
サンソン家の紋章を胸に烙印されますが
髪に仕込んだ針で逆襲。
サンソン家の新しい時代の始まりを告げる
重要エピソードでしたが……。
続きはまた後日。
7巻と9巻のミュージカル演出には
度肝を抜かれました。
後日まさか本当にミュージカル化
するなんて……。