昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

須藤真澄『アクアリウム』

アクアリウム(92~)は魚と話せる少女・
杢子(もくこ)と、叔母のしずかをはじめとする
周囲の人々や魚との交流を描いた、コミカルで
ほのぼのとしたファンタジーです。

以下、作中で呼ばれる「もっこ」で語ります。

序盤、赤ん坊のもっこが水槽の中の金魚を
じっと見ているのですが

別の世界では、少女の姿のもっこ
仙人のような長いヒゲの老人、
「おじいちゃん」と水中で話していました。

老人は向こうの世界に馴染めば
しずかのように「目が固まり」
こちらの世界は見えなくなると言います。

しかし絵を描いていたしずかが突然水中の
世界に現れ、何事かと混乱すると

老人「おまえはどうやら 
おもしろいかたちで
目が固まってるらしいなぁ」

そしてもっこもまた、もう一つの
世界が見えるまま成長します。

正確には「魚と」ではなく、魚などに宿る
もっこからはヒトの姿に見える)
魂と会話しているようです。

人と違う能力を持つゆえに迫害されるとかは
ありませんが、

寿命の短い魚は、当然お別れも多く経験します。

金魚が死んで「おじいちゃん」が一度
消えますが、水族館でまた会えたり

しずかの絵を通して「おじいちゃん」と
話ができたり

イルカのキューちゃんとお話しできたのに
次に行った時は死んだと聞かされたり

実はキューちゃんが身近な人に
生まれ変わっていたり……。

切ないエピソードも結構ありますが

それでも世界は不思議で素敵に
満ちているという気分になるお話です。

須藤真澄作品はだいたい
・動物やモノなどの声が聞こえるなど
不思議な能力を持つ少女

・そんな彼女を理解し、見守る周囲の人々

・特に優しいじいちゃんばあちゃん

・突飛な現象も起きるが、皆受け入れる

・切ないエピソードもあるけど
基本的に優しい世界

というのがキーワードになっています。

短編が多いので、どれから読んでもいいですが
個人的には一番好きなので『アクアリウム』を
お勧めします。

それにしてもシンプルな絵なのに
ものすごく表情豊かに見えるのが不思議……。

アクアリウム

アクアリウム