昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

猫十字社『小さなお茶会』

小さなお茶会(78~)は、はなのめ村で
暮らす猫の夫婦、職業は詩人(猫)の「もっぷ」と
奥さんの「ぷりん」のほんわかメルヘン
漫画です。

人間の顔に猫耳がついてるタイプではなく、
シンプルな絵の猫なので、今見ると
もっぷがゆるキャラのようです。

はなのめ村では村猫たちがお祭りにまたたび茶を
飲みあい、大きなさかさキノコのまわりで踊り、

羊歯(シダ)の葉を楽器にして弾く音色に
みんながうっとりします。

楽しい乾杯をするたびに「乾杯糖」という
金平糖に似たお菓子が生まれ、

海へ行く汽車を待つ間、駅長さんとお茶会したりと
実にほのぼのした世界です。

亀や魚、フクロウも普通に言葉を喋り
お茶を飲んだりします。

そんな優しい世界で、ぷりんともっぷの
仲良し夫婦のほっこりしたやり取りがメイン。

どちらもロマンチストで発想が突飛なので
もっぷが言い出した

「“ほどほどにデカダンなケーキ”って
どんなケーキだと思う?」
この質問で延々議論できる夫婦っていいな……。

紅茶を飲むシーンが多いのですが、この当時は
ティーポットにお茶っ葉で淹れること自体、
相当オシャレです。

春夏秋冬の季節感や日々の生活の中に
もっぷとぷりんは美しいものを見出します。

ぷりん「秋ってきっと すごい絵具箱を
持ってるんだと思うわ」

もっぷ「すごい筆ももってるよ きっと」

言い回しが粋で、時に哲学的。

ぷりん「過ぎちゃった時間はどこへいくの
かしらね」

「今きている時間は どこからきたのかしら」

冬の終わりにくじで当たったもっぷとぷりんが
気球に乗って、積んである花の種を降らせる
エピソードは、絵本にありそうです。

しかもナレーションは
「枯草の下でまだ眠っている
春をゆり起しにゆく籠」
表現がとても詩的。

昭和の頃、80年代前半までは
少女漫画のモノローグにはポエムが
溢れていたものです。

(今も若干名残はあるものの
大分減りました)

あの頃の雰囲気が好きな方なら
「メルヘンだなァ~~~ッ」と
しみじみできる作品です。