『ユリ熊嵐』(15~)は『少女革命ウテナ』の
幾原監督のオリジナルアニメで
クマがヒトに化けて、人間の少女との恋を貫く
摩訶不思議な学園百合ファンタジーです。
このアニメを観る前に一言アドバイスすると
「考えるな感じろ」
「ユリ裁判」だの「排除の儀」だの
意味ありげな演出や台詞が山ほど出てきますが
特にラストまで説明されず、
キャラや不思議世界そのものを楽しむ
作品だというのも『ウテナ』を彷彿とさせます。
諸事情は省きますが、この世界ではクマが人を
食べるようになったため、両者は「断絶の壁」で
隔てられるようになりました。
しかし壁を越え、ヒトの姿に化けて
人間を襲う危険なクマが時折出るのです。
クマと言ってもリアルタッチではなく
ぬいぐるみっぽくデフォルメされた
一見可愛らしいクマ。
「クマショーック♪」の音声と共に、
丸々とした手と鋭い爪が振り下ろされるのは
なかなかシュールです。
メインキャラは3人。人間の姿に化けているクマ
「百合城銀子(ゆりしろ ぎんこ)」と
銀子のことが大好きなクマ「百合ヶ咲るる」
そして銀子が想いを寄せる、クマを憎む
人間の少女「椿輝紅羽(つばき くれは)」
彼女の母親も親友もクマに
喰われてしまったからです。
第一話は、銀子とるるが「嵐が丘学園」に
転入して来るところから始まります。
紅羽はSNS学園裁判こと「透明な嵐」に
混じらなかったのが理由で疎外されていました。
「クマに食べられないため」という大義名分の
もとに、集団の中に溶け込む=透明な存在に
なれという同調圧力。
従わないものは悪として排除すると
いうのは、今時のいじめ事情を
イメージしているのでしょう。
この作品では何度も「スキ」という言葉が
キーワードとして出てきます。
排除されても、断絶も、全てを乗り越えるのが
「スキ」の力だと言わんばかりに。
何となくこの話は「人魚姫」の
熊&百合バージョンではないかと
思っています。
シュールで可愛くて切ないという
言葉で説明するより、一度観てほしい
作品です。