『王家の紋章』(76年~現在も連載中)は
大雑把に説明すると、現代人のアメリカ娘キャロルが
不思議な力で古代エジプトに連れて行かれ
エジプト王メンフィスと出会い、妃に迎えられます。
金髪に白い肌というだけでも珍しいのに
考古学を専攻する学生だったキャロルの知識は
古代人を圧倒します。
「神の娘」(ナイル川から現れたので)「ナイルの娘」と
古代エジプト人たちから崇拝を受け、
他国の王や王子、さまざまな人間たちが
彼女を狙うのでした……。
こういう風に書くと今時のラノベっぽい。
キャロルを古代に連れ去ったのは
メンフィスの姉、下エジプト女王アイシスです。
ことの起こりは、キャロルの父親であり
資産家のリード卿がスポンサーとなって
エジプトで若き王のミイラを発掘します。
ミイラは若死したメンフィスのものでした。
その際、一緒に埋葬されていたアイシスの
ミイラが生身の姿を取り戻し
彼の遺体を晒し者にしようとする者たちに
報いを与えようとします。
しかし途中でアイシスの能力を遮る
呪術版が復元されてしまい、
彼女は力を失ってしまいます。
かくなる上はキャロルだけでもと
アイシスは彼女を拉致して古代に戻るのですが
罰のつもりが、最愛の弟メンフィスを
奪われるという皮肉な結果に。
その後何度もアイシスはキャロルの命を狙いますが
毎回失敗に終わります。
危なくなったらナイル川に落ちて現代へ戻り
手当てされて帰ってくる。
基本このパターンとはいえ、
読者を引き込むパワーに溢れた作品なので
ツッコミを入れつつ楽しく読めます。
そもそもキャロルさらわれすぎ!
エジプトの他にもヒッタイト・リビア・
アッシリア・バビロニア・ミノア・
メディア・アビシニア(=エチオピア)
更にアマゾネスまで様々な国や文明が登場。
この作品で古代メソポタミア史に興味を
持った人も多いと聞きます。
私のお気に入りはヒッタイトのイズミル王子ですが、
報われない恋を40年以上も続けてるかと思うと
不憫でなりません……。