遂に全三巻で完結!!
というわけで語ります。
『70年目の告白~毒と
ペン~』(20~)は
貸本時代からの大ベテラン
である作者の自伝。
※「事実を元にした物語ですが」と
注意書きにもある通り、
あくまでフィクションです。
作中でも「高階良子」でなく
「涼」という主人公の
物語として描かれます。
念のためざっと解説しますと
高階良子さんは70年代
序盤から「なかよし」で
妖しく美しい、時に怖い世界を
描いていた作家さん。
明るく健全な作品がメインの
「なかよし」の中では
異質な作風でした。
例:美女のフランケン
シュタインを作ろうとする
妖しいマッドドクターと
醜さゆえに居場所がない
優しい少女との出会いを描いた
『地獄でメスがひかる』(72~)
なお当時「なかよし」代表は
『キャンディ・キャンディ』
(75~)
本作は大雑把に分けて
3つの要素があります。
1:終戦直後に生まれた
少女「涼」が、母親から
虐待を受け続けながらも
漫画家になる話。
どう伝えられていたか、
一般人はどう思ってたかと
いうのは貴重な情報です。
2:当時「毒親」などという
概念はなく、自分を害する
母親との壮絶な闘いの記録。
昭和だと「子を思わぬ母は
いない」が大前提だったため、
母をうとましく思うことに
罪悪感があるという……。
毒とペンというか
毒親とペンな気もする。
3:漫画家となった後の
編集者、他の漫画家との交流、
創作エピソードなど。
長年の読者だと作品の
裏話が聞けて大喜び、
昭和の漫画家や出版社事情、
マンガ制作に興味がある人にも
興味深い話が載ってます。
(ほっこりエピソードの人は
実名やすぐわかる別名で
出てます)
1巻冒頭は毒親だった
母の遺体を前にしての
作者のモノローグから。
作者は魂だけ過去へ飛ぶ体で、
家族が空襲に遭いながらも
疎開先へ着くのを眺めます。
そこで涼が生まれるが
生活は苦しく……。
作者の分身である「涼」が
まだ幼いため、
作者が客観的な視点で
当事者の事情も解説
していきます。
続きます。