昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

仲川麻子『飼育少女』

『飼育少女』(17~)は天然ボケの女子高生・
鯉住のぞみが、ひょんなことから生物教師の
対馬先生から小さな水棲生物ヒドラを貰った
ことをきっかけに、様々な水棲生物を飼育、
観察する楽しさに目覚めていくお話です。

きっかけは掃除中に猫を見たのぞみが
「うちも何か飼いたいけどマンション
なんだよねー」と友達の亜依ちゃん
話しているのを対馬先生が聞いたため。

実は対馬先生には最初から
下心がありました。

「自分にはない発想をする女子高生を
観察・飼育したい」という……。

普通に「専門家と素人が一般には
馴染みのないジャンルを
読者にボケツッコミしながら解説」
という理系漫画の一面もありながら

男性教師と女子高生の禁断の恋を
描いた作品でもあります。

天然なのぞみはヒドラの動きを
(バク転してる……アイドル!!)

フジツボの脚を見て
(貴婦人の扇のよう……)

発想が実にユニーク。
対馬先生でなくてもリアクションを
期待して何か教えたくなります。

オオグソクムシが掘る姿を見るために
人工海水を寒天で固めるエピソードが
特に秀逸。

対馬先生は何を考えてるのかよく
わからないタイプで、人の気持ちを
察するのが苦手なようです。

亜依ちゃんには不気味がられていましたが
3年の女子、熊谷先輩からはモテていました。

のぞみは先生と一緒に生物を飼育するうちに
恋愛感情も育てていきます。

このまま穏やかに「観察」の日々が続くのかと
思っていましたが、ある偶然から突然終わります。

「教師が専門知識を利用して、目をつけた
生徒を一方的に観察、逐一ノートに生徒の言動を
細かく記録していた」と書くと確かにキモいですが

当ののぞみがノートを見てもショックも嫌悪も
感じなかったのに社会的な断罪が必要だったのか……と
思わなくもない。

オチに賛否はあるでしょうが「飼育されている」
ことを知らないままよりは、知った上で受け入れて
新たな関係性を築く終わり方、好きです。

ふた昔前だったら、何の問題もなくくっついて
終わってたかもしれませんね。

飼育少女(1) (モーニング KC)

飼育少女(1) (モーニング KC)