昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

川原泉『ブレーメンⅡ』

ブレーメンⅡ』ブレーメン ツー 
98~)は西暦2306年、人類が宇宙に進出し、
人手不足を補うために新たな労働力となった
「働く動物」(=ブレーメン)クルーと
人間で主人公の女性船長・キラ・ナルセが乗る
大型輸送船「ブレーメンⅡ」が様々な事件に巻き込まれ、
トラブルを解決するコメディタッチなSFものです。

ブレーメンたちは遺伝子工学によって
体格を人間並みにしてあり、種の特性は
そのままに、高い知能を備えた二本足で歩く動物。

副長のマウンテン・ゴリラのダンテさん、
ウサギの航宙図士のシルビアさん、
黒ヒョウの航宙士オスカーさんなど種族は様々。

何故動物かというと、高性能なロボットは
高価だから。

善良で我慢強く、人の役に立つことを喜ぶ彼らは
危険な労働ばかり割り当てられたり
いわれなき差別を受けることも……。

タイトルの元ネタ「ブレーメンの音楽隊」をはじめとして
各エピソードに童話モチーフが使われています。

キラが唯一の人間クルーと思われていましたが、
実は上司で社長のナッシュ・ユーグ・レギオンがお忍びで
乗り込んでるのが発覚します。

ツッコミ属性のキラとボケ属性のナッシュはいいコンビ。

ナッシュを皮切りに、善意の一人テロリストや
会話が成立しない自称火星人リトル・グレイ、

(通称「くつくつ虫」)

刑務官に化けた凶悪犯罪者ヘルツォーク
彼を追うシベリアタイガーの刑事、

ナッシュとは幼なじみでライバル社の社長
ラウル・ダ・シルバ、宇宙風水師の呂先生など

それぞれのドラマを背負ったキャラが船に乗り込み、

また船の側も外部の誰かからの依頼、あるいは
自分たちの意志で彼らの事件に関わっていきます。

 基本的にほのぼのふんわりイメージの
作品ですが、シビアな面もちゃんと描かれます。

ブレーメンが差別を受けている描写があるからこそ
虎のシャキール刑事と人間のハークネス刑事との友情や
キラとクルーの信頼関係がより泣けるわけです。

 SFだからと敬遠せず、川原作品が好きな人には
ぜひ読んでほしい名作です。

ブレーメンII 1 (白泉社文庫)

ブレーメンII 1 (白泉社文庫)