昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

萩岩睦美『パールガーデン』

『パールガーデン』(85年連載開始)は
人間の王子様との恋に憧れる人魚の少女ピアが
嵐で船から投げ出された三流サギ師の
グリーンと出会い

彼を王子様と思い込み、共に地上に出て
デンマークにいるという実の(人間の)父親を探す
現代が舞台のファンタジー作品です。

海底から上がる際に巨大魚に呑みこまれ、
引きあげられた先はロンドンでした。

というわけでロンドンからデンマーク
目指すことになります。

 

サギ師といっても、グリーンはそこまで
悪人ではなく、不幸な出来事が続いて
心がすさんでる状態。

その後出会う少年スリのマルコも同様で、
ピアの純粋さ、優しさにほだされていきます。

しかしピアは先日亡くなった富豪の伯爵夫人の
孫娘に似ていたため、グリーンの元恋人
カレンによって連れ去られてしまいます。

「王子様はお姫様としか結ばれないから
お姫様になる修行をしなさい」と
カレンはピアを丸め込み、
伯爵夫人からお金を受け取って去ります。

結局諸事情あってピアはそこから逃げるのですが、

たまたま出会った人間に人魚の姿を
見られて捕まりそうになり、

伯爵夫人が依頼した男たちも執拗に追ってきます。

助けに来たマルコが警官の息子だとわかり
「マルコにも裏切られた」とグリーンが思い込んで
しまったりと、しばらく辛い話が連続します。

そんな中の名場面

「さっきのあれ……うろこをはいだのか……」

「だって……グリーン……おなかいっぱい食べさせたいもの」

無一文の中、ピアが差し出したものを宝石と思って
質屋で換金。
後で苦しがっている時に発覚します。

ここはもう涙が止まりませんでした。

マルコやその父親の刑事、
助けに来たカレンの粋なはからいに
「人間っていいな……」と思わせる場面も多数あります。

父親とは会うことは叶いませんでしたが、
彼のメッセージは受け取ります。

最終的にピアは人間になり
ハッピーエンドを迎えるのでした。

 

銀曜日のおとぎ話』とか、この人の作品は
泣かせる名作ファンタジーが多いです。

 

愛蔵版 パールガーデン

愛蔵版 パールガーデン