昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

川原泉『バビロンまで何マイル?』

『バビロンまで何マイル?』(91~)
主人公の現実主義の女子高生・仁希と
幼馴染みのハイスペック男子高校生・
友理が不思議な指輪でタイムスリップし、
ルネサンス期のバチカンで、ボルジア家の
兄妹に出会う歴史ファンタジーSF作品です。

あらすじを大雑把に説明すると

子供時代、池で溺れていたノームの
お爺さんを助けた仁希(にき)と
友理(ゆうり)はお礼にと
ソロモンの指輪・改訂版を
貰います。

「いつの時代のいかなる国の
言葉でも操れる」

(指輪が)「赤く光ったら行って
青く光ったら戻る」

その言葉通り、二人は突然
恐竜のいる時代へ……。

(ちゃんと元の時間軸に戻る)

仁希の風邪が恐竜を滅ぼしたと
いうオチがついた後、

二度目はルネサンス期のバチカンへ。

教会に現れたところを若い美女に
目撃され、天使だと誤解されます。

折角知り合いが出来たのだからと
彼女と一緒に行動しようとする
二人ですが

3人の前に現れたのは歴史に名高い
チェーザレ・ボルジアと部下たち。

美女は妹のルクレツィアだったのです。

ルクレツィアの願いもあって、
仁希と友理はボルジア家の別荘で
客人として過ごすことになります。

仁希に限らず、川原作品の主人公は
ギャグ~通常でも目が点で描かれ、
知的で冷静なツッコミ気質。

そんな顔も性格もあっさりした
キャラが、ボルジア家という
耽美と背徳の代名詞の中に
入り込むギャップが素晴らしい。

歴史マニアにはたまらない、
意味ありげな会話と重い空気の
中で響く

(食事中の書き文字)

もぎゅもぎゅもぎゅ……。

この時代は説明も難しければ
人間関係もドロドロですが

そんな中でもマイペースに
ボケツッコミを繰り広げる
二人の存在は和みであり、

薄幸なルクレツィアに
とっては癒しです。

チェーザレにとってもそうなのか
たまに仁希が頭ポンポンされます。

しかし指輪は気まぐれで、
ある日突然、現代に戻ることに。

二人は早速、図書館で
ボルジア家の行く末を
調べてしんみりするのでした。

全1巻なのが惜しい名作です。
別の時代も見たかったな……。

バビロンまで何マイル? (白泉社文庫)

バビロンまで何マイル? (白泉社文庫)

  • 作者:川原 泉
  • 発売日: 1997/12/01
  • メディア: 文庫