『はいからさんが通る』(75~)は
大正時代の日本を舞台に、主人公・
花村紅緒の恋と人生を時にコミカルに
時にシリアスに描いたラブコメです。
78年にアニメ化、87年に実写映画化しました。
その後何度かの実写ドラマを経て
17年に劇場アニメが前後編で作られた、
少女漫画屈指の名作です。
時代設定は大正7年~12年。
わずか5年で濃厚な出来事が……。
序盤の紅緒は17歳の女学生。
軍人の父親に男手ひとつで育てられたため、
男勝りのじゃじゃ馬娘。
ろくに裁縫もできず、隣に住む
幼なじみで歌舞伎役者の美少年、
蘭丸を鍛えてやると言っては
竹刀で殴ったりしてました。
(紅緒も善意だし、蘭丸も紅緒を
慕っているので念のため)
ある日自転車で木にぶつかった際に
軍服を着た巻き毛の美形に大笑いされます。
更に木に登って落ちたのを受け止められたりと
妙なタイミングで出会ってばかり。
しかしその美形こそ、紅緒の許嫁、
伊集院忍少尉だと父に聞かされます。
理由は少尉の祖母と、紅緒の祖父が
かつての維新の動乱の中、結ばれない
恋人同士だったから。(父の代は双方息子だった)
紅緒は当然反発、蘭丸も紅緒を他の男に
渡したくないと駆け落ちを持ちかけますが
あえなく失敗。
友人の環が少尉に片思いしていたこともあって
紅緒は婚約破棄されるよう仕向けますが
少尉は紅緒が何をやらかしても
面白がるだけでした。
少尉の生い立ちは複雑なもので、
父親が留学中にドイツ貴族の女性と
恋に落ち、少尉が生まれたものの
二人は引き裂かれてしまいます。
父親は少尉を日本に残して海外で暮らし、
後に死没。
両親に捨てられ、祖母に育てられた少尉は
彼女の遠い昔の約束を果たすことを
使命のように感じていました。
今思うと大正時代の華族の家に
ハーフとして生まれたら、いくら優秀な
美形でも大変な苦労があったはず。
そんな少尉には、常に元気いっぱいで
型破りな紅緒がまぶしく映ったのでしょう。
やがて二人の間に本当の恋が育っていきますが
少尉はシベリア出兵に派兵され、訃報が……。
続きます。