『美味しんぼ』(おいしんぼ 83~)
は、東西新聞のグータラ社員・
山岡史郎と新入社員の栗田ゆう子が
東西新聞の創立百周年の企画
「究極のメニュー」作りに選ばれ、
様々な食や、それに関わる人々との
出会いを描いた物語です。
※政治ネタも多い作品ですが、
あくまで「料理マンガ」としての
エピソードだけ語ります。
83年にアニメ化、
94年にTVドラマ化。
96年の実写映画は
三國連太郎と佐藤浩市の
リアル訳あり親子……。
この作品は大きく分けて3つ。
1:食による「対決」
傲慢な食通や店主を山岡史郎が
その知識と技術で負かしたり、
父親・海原雄山から一本取ったり
取られたり。
後の「至高のメニュー」との対決含め、
本作と『ミスター味っ子』は
グルメバトルのフォーマットと
なります。
2:ゲストキャラ、もしくは
登場人物の誰かを食で「人助け」
初期にはボケかけたゆう子の祖母を
記憶通りの鶏肉で元気にしたり、
努力を重ねても今一つ成果が出ない
料理人に知恵を貸し、
名前も知らない人と恋に落ちた
同僚の花村さんのため、相手に貰った
煎餅を手がかりに店をつきとめたり。
食がもたらすほっこり・人情
エピソードも後の「食モノ」
漫画に大きく影響を与えています。
富岡副部長はトラブル起こしすぎ
じゃないかな……。
3:主人公・山岡史郎メインの話。
普段の言動はダメ人間っぽいのに
実は優れた知識と技術だけでなく、
すごい人脈やルーツ持ちと書くと
職業モノの理想の主人公です。
例:美術知識→『ギャラリーフェイク』
服飾→『王様の仕立て屋』
戦闘・学術→『MASTER キートン』
海原雄山との確執と和解、
栗田ゆう子との関係性の変化など、
彼自身にまつわるエピソードも。
当時は反体制・反権力思考が強い
時代だったのもあって、
傲慢だったりエラそうな人物に
言いたい放題、ケンカ売っては
凹ませる山岡の言動に
読者は気持ちがスッとしたものです。
山岡の方はかえって自己嫌悪に
陥ることが多いというのも
複雑なキャラクター性が出てていい。
続きます。