昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

隆慶一郎 原哲夫『花の慶次-雲のかなたにー』その3

加賀を出た慶次は京都へ向かい、
千利休や秀吉、直江兼続石田三成など
歴史上の大物たちと出会います。

どんな創作物であれ、実在した偉人・有名人を
登場させ、主人公はすごいと言わせれば
作中での主人公の格は上がります。

しかしこの作品の素晴らしいところは
その人物の偉大さ・有能さを読者に
思う存分見せつけた上で

そんな人物が慶次を認め、惚れ込むと
いう流れが納得いくように
描かれています。

特に秀吉、大変な大物で曲者ですよね……。
それでいて今だ信長への敬愛の情が
あるのもいい。

個人的に大好きなエピソードが
佐渡編、河原田城一騎駆けです。

危険極まりない戦法なのにも
関わらず

慶次「一騎駆けこそ いくさ場の
花ではないかね」

と平然と言える度胸。

力が強すぎて何人も殺してしまい、
囚人となった大男・蛮頭大虎が
深手を負い、死を目前にした際に
馬印を慶次が手渡し

「よいか その馬印に
我らも 上杉も 皆続く!」

「お主に 上杉の総ての
男達が つき従うのだ!」

これに応えなきゃ男じゃない!
男の魂を奮わせる名シーンです。

蛮頭は自らの足を槍で縫い止め、
見事な立ち往生を遂げます。

そして坂田雪之丞も炎に包まれた城から
慶次と共に人質の子供たちを救い、
子供たちの盾となって戦死します。

囚人と蔑んでいた彼らを、上杉の兵たちが
鐙を外すという、最上級の敬意を示して
送るというのがまたいい……。

そして身分の低い兵が男を見せる中、
彼らを嘲笑った本間左馬助や
敵の城主本間高茂に裁きが下ります。

慶次「男が死すべき場所を誤るは
あわれなものよ……」

慶次の敵に対する憐憫の情や
死生観がよく現れた台詞ですが

見せしめを含む一族郎党の処刑は
史実とはいえ、週刊ジャンプ
よく描けたなと思います……。

(しかもこのエピソードだけではない)

 そこまで死に場所、死に方に
こだわりがあるのにも関わらず、

処刑場に現れた骨が自分の命を
狙ってる忍と承知で酒を酌み交わし
毒か薬かと飲んだ後で聞くのもすごい。

 続きはまた後日。