この作品の特徴として、片方が絶対に加害者で
片方がひたすら可哀想な被害者としては描かれて
いません。
カトリック側も相当残忍ですが、オスマン帝国が
すぐ近くで虎視眈々と領土を狙っているため
国内で団結しなければならない事情があります。
フス派も決して100%被害者ではなく
過激思想の坊さんが政敵を窓から放り投げたり
カトリックの人を襲ったり、
フス派同士でも何度も内輪揉めがあったりと
公平に描かれています。
そして魅力ある人物が味方側にも敵側にも
沢山います。
まずは実在の人物であるジシュカ。
「オヤジ」と慕われるしたたかな傭兵隊長。
大半が農民や女性である兵士たちを操って
騎士階級で構成された十字軍を追い払う見事な手腕。
必要なら味方でも殺す冷徹さを持ちながら
シャールカには「これからは悪いことしたら
正直に言おうね」
なんて諭されたりする場面もあります。
どこまで創作かはわかりませんが、この作品の
彼女は「もし男だったらヨーロッパの
覇者になっていたのでは?」と思わせるほどに
器のデカい女傑です。
蜂起した鉱夫たちに囚われ、性奴隷にすると
脅されても臆するどころか
「わたしの扱い方次第で 帝国20万騎と
ハンガリー王国10万騎が 敵にも味方にも
なるわよ」と堂々と言い放つ。
効果がなければ去勢されてヘタれていた黒騎士を
鼓舞して戦力にする。
更には酷い目に遭ったのにタダでは起きず、
見てきた事実を基に新たな戦略を提案とか
皇后さまマジ策士……!!
これで気さくさと愛嬌を備えた男好きとか
本当に素敵なキャラです。
あと神聖ローマの皇帝や皇后はそう簡単に
あちこちの戦場に顔を出したりしないので
代理人として側近の貴族の青年、
ヨハン・フニャディがいます。
シャールカと恋愛フラグがあり、好青年なので
いつか家族3人で幸せに……なれると……いいな……
とにかく生き延びろ!!(切実)
今回はこの辺で。
続きはまた、近いうちに。
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