昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

大西巷一『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』その1

『乙女戦争』(13~)は15世紀ボヘミアチェコ)の
内戦「フス戦争」を描いた作品です。

※凄惨なレイプや殺戮シーンが多数ありますので
痛ましい場面が苦手な人にはオススメできません。

宗教改革を唱えたといえばルターやカルヴァンですが、
それ以前にフスという人が登場し、カトリック教会に
異端として火あぶりにされています。

そのフスの支持者たちもまた異端と
されたため、フス派とカトリック
国を二分する内戦に突入したのです。

この作品は主人公の少女・シャールカの住む
フス派の村が、カトリック側の襲撃を受ける
ところからはじまります。

シャールカは一人生き延び、倒れているところを
ヤン=ジシュカ率いる傭兵団に助けられます。

※ジシュカは実在した人物です。

ジシュカはシャールカに仲間に入るように言い
笛(ピーシュチャラ)という武器を渡します。

使い方は細い鉄筒に弾を込めて
爆ぜた火薬で撃ち出す、つまり銃です。

シャールカをはじめとする少女たちはこの「笛」と
讃美歌を武器にフス派の戦力となります。

つまり中世の歌う『ガンスリンガー・ガール』……!!

ジシュカはシャールカを「戦いの天使」として
シンボルにまつりあげるのですが、

彼女にはむしろ「不死身のシャールカ」の
二つ名の方が似合うと思います。

何しろあらゆるトラブルに自発・多発問わず
巻き込まれ続けても必ず生き残る。

どんな酷い目に遭っても優しさを失わない
その強さは尊敬に値しますが

一緒に行動した人には死亡フラグが……。

 

少女たちが傷つきながらも、たくましく
生きていく物語でもあり

チェコだけでなく神聖ローマやオスマンなどの
15世紀の世界史を学べ

戦術を駆使した集団戦やアクションも
楽しめるという実に素晴らしい作品です。

あとHELLSING

「我々をなめるなよ異教徒。キリスト教の歴史は
戦いの歴史だ。

異端審問と異教弾圧で屍山血河を築いてきた
最強の世界宗教だ」

というセリフに心から納得できます。

次回に続きます。