『乙女戦争』(13~)は15世紀ボヘミア(チェコ)の
内戦「フス戦争」を描いた作品です。
※凄惨なレイプや殺戮シーンが多数ありますので
痛ましい場面が苦手な人にはオススメできません。
宗教改革を唱えたといえばルターやカルヴァンですが、
それ以前にフスという人が登場し、カトリック教会に
異端として火あぶりにされています。
そのフスの支持者たちもまた異端と
されたため、フス派とカトリックで
国を二分する内戦に突入したのです。
この作品は主人公の少女・シャールカの住む
フス派の村が、カトリック側の襲撃を受ける
ところからはじまります。
シャールカは一人生き延び、倒れているところを
ヤン=ジシュカ率いる傭兵団に助けられます。
※ジシュカは実在した人物です。
ジシュカはシャールカに仲間に入るように言い
笛(ピーシュチャラ)という武器を渡します。
使い方は細い鉄筒に弾を込めて
爆ぜた火薬で撃ち出す、つまり銃です。
シャールカをはじめとする少女たちはこの「笛」と
讃美歌を武器にフス派の戦力となります。
つまり中世の歌う『ガンスリンガー・ガール』……!!
ジシュカはシャールカを「戦いの天使」として
シンボルにまつりあげるのですが、
彼女にはむしろ「不死身のシャールカ」の
二つ名の方が似合うと思います。
何しろあらゆるトラブルに自発・多発問わず
巻き込まれ続けても必ず生き残る。
どんな酷い目に遭っても優しさを失わない
その強さは尊敬に値しますが
一緒に行動した人には死亡フラグが……。
少女たちが傷つきながらも、たくましく
生きていく物語でもあり
チェコだけでなく神聖ローマやオスマンなどの
15世紀の世界史を学べ
戦術を駆使した集団戦やアクションも
楽しめるという実に素晴らしい作品です。
あと『HELLSING』の
「我々をなめるなよ異教徒。キリスト教の歴史は
戦いの歴史だ。
異端審問と異教弾圧で屍山血河を築いてきた
最強の世界宗教だ」
というセリフに心から納得できます。
次回に続きます。
乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ : 1 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ (アクションコミックス)
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