『パレス・メイヂ』(12~)は
日本の明治~大正期をモデルに
した優しい和風ファンタジー。
帝の住まう城「パレス・メイヂ」を
舞台に、主人公の侍従の少年・
御園公頼(みその きみより)と
一代限りで独身を義務付けられた
女帝・彰子との日常と主従愛を
描きます。
フィクション作品で身分違いの
恋を描く場合、男の側の身分が
髙いのが定番なので結構
珍しいシチュエーションです。
冒頭で何故、子爵家の次男である
御園が城勤めをすることに
なったかが語られます。
父と兄の放蕩のせいで家が傾き、
兄が姉を成金に嫁がせると
いうのを阻止するため。
御園が誰かのために頑張る
尽くし型だというエピソードです。
しかし城では、以前兄が女官たちに
暴言を吐いて嫌われていたのが発覚。
歳の近い同僚たちは
人柄は良くても頼りなく、
御園は絵皿を割ったり画帳を破いた
犯人の疑いをかけられてしまう。
思い切って帝に訴えた
その言葉は……。
ここで帝が若い女性であること、
御園が機転が効く少年なのが
描かれます。
女帝・彰子は凛々しい美女で
ドレスより軍服を好んで
着るタイプ。
父である先帝亡き後、
幼い東宮への繋ぎとなるため
決まっていた婚約も解消し、
生涯独身の女帝となりました。
過酷な宿命を全て受け入れた
彰子と、見返りを求めずに
一途に仕える御園との間に
絆が生まれていきます。
しかしある時、婚約解消された
鹿王院宮(ろくおういんのみや)が
二人の関係に気づいて妨害を図る……。
大人の男で、身分も影響力もある
強大なライバルの登場です。
更にスキャンダルを嗅ぎまわる
新聞記者も御園の周囲を
うろつきはじめ……。
この物語は14歳のお坊ちゃん
だった御園が、様々な出来事や
彰子への忠誠と恋を通して
何があろうと決してくじけず、
前向きに成長していく話でも
あります。
禁じられた恋なので様々な
邪魔が入りますが、妨害者も
悪人ではないので後味は
さわやかです。
明治~大正あたりの日本史が
ベースになってはいても
世界自体は全く別物なので
この後どうなるのか読めず
ハラハラ感があります。
続きます。