昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

萩尾望都『Marginal(マージナル)』その3

この作品には多数の登場人物が
出てますが、読者が共感しやすいのは
メイヤードとネズでしょう。

ネズは2999年の世界側の
人間で、地球では市長の秘書。

ネズ「世界の不条理が肩に
重くて 息苦しくなるんです」

 センター側と市長側だけでなく
我の強い人々の間の板挟みで
時々具合が悪くなってました。
気の毒に……。

市長の跡継ぎの少年・
ミカルがいい子だったのは
彼にとっては救いでした。

メイヤードは地球の管理者で、
彼の上司的な役割として
「カンパニー」の存在がありました。

そのメンバーの一人で若い
美女のナースタースと
メイヤードは幼なじみなので
彼もまた同じ生まれでしょう。

それでもゴーグルなしでは
目も見えず、体中に機械を
埋め込まれ、

寿命が短いだけでなく、
危険な因子も受け継いでるので
子孫も残せないという……。

メイヤードが壊れゆく地球の
幕引き役を引き受けたのは
自分と重ねていたのかも。

地球に着いたばかりの頃、
瀕死の重傷を負って運び込まれた
子供時代のアシジンと会っています。

アシジンはその時の彼の
言葉を覚えていたり、

その後もセンザイ師によって
メイヤードの手駒に使われたりと
何かと二人は縁がありました。

利用されたことを怒ってたのに、
押し寄せる津波からメイヤードを
抱えて一緒に逃げてくれる
アシジンはいい奴……。

クライマックスはキラとセンザイ師の
対決と(&見守るグリンジャ)

作中の種明かしをするメイヤードと
それを聞かされるアシジンの
二手に分かれています。

彼の本音を聞き、最期を看取った
アシジンが、今際の際の言葉を
ナースタースに伝えます。

※彼女は名乗っていない。

アシジン「ナス……タス……
意味は分からないが」

愛はあってもその体のために彼女を
受け入れられなかったメイヤード。

ナースタース「愛のほかは
ぜんぶくれると言った!」

ナースタースの嘆きが
悲しい……。

わずかな出番で未来の特権階級でも
全然幸せじゃない、大きく欠落した
感じが伝わるのがすごい。

続きはまたそのうちに。

マージナル (3) (小学館文庫)

マージナル (3) (小学館文庫)

  • 作者:萩尾 望都
  • 発売日: 1999/08/07
  • メディア: 文庫