昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

岩明均『ヒストリエ』その2

この後、屋敷はヘカタイオスが
仕切るようになり、家族も
家人たちも態度を変えます。

そんな中でもエウメネス
「ぼくはカルディア市の
所有物だから、品質管理をする
義務がある」と

かつての兄に毛布を用意させるなど
大物っぷりを発揮。

奴隷のカロンが感心したり、
侍女がエウメネスのために
本を持ちだしてくれたりと
ほっこりエピソードも。

しかし、ある日買い手の男が
やって来ます。

ヘカタイオスは遠くに追いやる
ことができて、なおかつ惨い扱いを
する主人を選んだのでした。

屋敷を出る際の「よくもぼくを
だましたなァァァァ!!!!」も
有名なAAになってますね。

単に怒っているだけでなく、
叫んでる間に切なさとか色んな
感情が混じるのがまたいい。

涙する養母やカロンの励ましなども
含めて印象深いシーンです。

新たな主人と共に船出した
エウメネスでしたが、その晩
今まで虐げられてきた奴隷たちが
放棄、主人は殺害されてしまいます。

自由になったと喜びもつかの間、
船が嵐で転覆。

再びエウメネスの人生が
大きく変わります。

エウメネスは一人、蛮族の村人に
助けられてそこで暮らすことに。

穏やかな日々も長くは続かず、
その村はギリシャ人・
ダイマコスが率いる兵士たちの
襲撃を受けます。

エウメネスは村人たちに策を与え、
敵側に自分はギリシャ人と偽って
潜入、情報を与えて巧みに操ります。

今まで積み重ねてきた知識や
意外と高い身体能力、村人との
交流や絆などが全て活かされる
4巻の戦闘シーンは圧巻です。

戦闘中に英雄ぶった台詞を叫ぶ
ダイマコスが

「……知ってるよ イリアスだろ?」
と、見下してる蛮族に言われる
シーンが実に滑稽でいい。

しかし最大の名場面は、襲撃を
退けた後の種明かしシーン。

ダイマコスの弟・テレマコス
「村人たちは自分の策に乗った
だけ」と言い放ち、

テレマコスの怒りを自分だけに
集中させます。

憤怒の表情のテレマコスと、
背後の村人たちが意図を悟って
感謝に満ちた顔を浮かべている
対比は漫画でしか表現できない
漫画史上屈指の名シーンです。

続きはまた後日。

ヒストリエ(3) (アフタヌーンコミックス)

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