昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

山口つばさ『ブルーピリオド』その1

『ブルーピリオド』(17~)はいわゆる
陽キャ」の主人公・矢口八虎
(やぐち やとら)が、あるきっかけから
絵を描くことに目覚め、美大を目指す物語です。

一言でいうと美術×スポ根

何でもそつなくこなしてきた八虎が
絵に没頭することで全てを曝け出し、
苦悩し、不器用に進んでいく姿は
古き良きスポ根を思わせます。

序盤、八虎は高校二年生。酒やタバコ、
夜遊びを嗜みながらも成績優秀で
クラスの地味なタイプとも分け隔てなく
仲良くできる世渡り上手。

しかし八虎にとってそれは「ノルマを
クリアする」楽しさに過ぎず、
褒められるたびに虚しさを覚えていました。

ある日、美術の時間の課題に
「私の好きな風景」を出されます。

適当に山か海でも描こうと
思っていたところ

ふと朝帰りの渋谷の街を「いい」と感じます。

「は?ゴミくさくね?」と即座に否定されて
撤回しますが

天使の絵を描く女子美術部員、森先輩との
会話の中で

「渋谷なんだけど その……静かで青いんすよ」

「あなたが青く見えるなら
りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」

その一言で、青をベースに渋谷の風景を
描きます。

そこがターニングポイントでした。

真剣に考えている八虎が絵の世界に
没頭している脳内イメージとして

渋谷の海に浮かぶ八虎のシーンが
本当に素晴らしい!!!!

虚飾のない本音を絵の中に曝け出して
八虎は

(好きなものを好きって言うって
こわいんだな……)と感じます。

それだけに褒められると嬉しく、
「もしかして早朝か?これ」
「八虎にはこんなふーに見えてんだ」
と仲間に言われて涙ぐんでしまうほど。

(その時生まれて初めて
ちゃんと人と会話できた気がした)

絵を描く楽しさに目覚めた八虎が
(時間の無駄)と思いながらも

脳内イメージでは自宅の窓から見える景色の
屋根の上で跳ねているところとか
ほんといい……!!!

その後八虎は美術部に入部、本格的に美大
目指して勉強を始めます。

ここから変わっていく八虎を全力で
応援したくなる熱い作品です。

続きます。

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

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